ペンシル再現実験バナー
カウントダウン
レポート
ペンシルロケットに
まつわるエピソード

ご意見・ご感想・
お問合わせはこちら


第3号【あきる野燃焼試験・試射実験の準備状況】平成17年7月13日

ペンシル再現チームは、今週からあきる野実験施設で本格的な事前試験に入っています。 今週、50年ぶりにペンシルロケットのいくつかの機体の再製作が完成しました。 ペンシル再現チームは、このペンシルロケットの機体を使って東京都あきる野市にある「あきる野実験施設」で 本格的な事前試験に入りました。事前試験は大きく「あきる野実験施設」と秋田県能代市の「能代多目的実験場」の 2箇所で行われます。これらの2回にわたる事前試験では、ロケットモータ(ミニ知識を参照)の燃焼試験、 機体の機械的特性、飛翔性能などを取得し8月19日のペンシルロケット水平発射の再現イベント本番に向け 万全の準備を行う予定です。

あきる野施設外観

上の写真はあきる野実験施設です。あきる野実験施設は、ロケットモータや人工衛星の推進装置に関わる 実験・研究を行うために設けれた、宇宙科学研究本部の付属施設です。 この施設は平成10年11月に開所された宇宙科学研究本部としては比較的新しい施設です。

ペンシル再現チームは18人のメンバーで構成されていますが、それぞれ所属部署も仕事も違うので なかなか全員が集まれる機会はありません。7月10日にミューロケット5型6号機(M-V-6)に よってX線天文衛星「すざく」(朱雀)が打上げられましたが、その打上げの期間、再現チーム18人中12人が 打上げオペレーションに参加していました。そのため、あきる野実験施設での準備作業は 相模原に残っていた6名で進められていました。打上げが無事終了し、今週に入ってから 鹿児島の長期出張に出かけていたメンバーも徐々に戻り、この事前試験に参加できる人数も増えてきています。

ロケットランチャ

7月5日より事前準備として、燃焼試験に使うテストスタンド、水平発射実験に使うロケットランチャと キャッチャの組み立て、そしてケーブルや計測機器のチェックといった作業が行われました。 ペンシルロケットの発射台「ロケットランチャ」は組み立てると3mの長さになります 。 上の写真はあきる野実験施設で水平発射実験をするために光学ベンチの上に据え置かれた「ロケットランチャ」です。

芯だし作業

この「ペンシルロケット水平発射」実験では、機体を製作するときの誤差によって発生する、 軌道のばらつきを調べることが重要な目的の一つとなっています。そのため、ロケットランチャ、 キャッチャ、そしてそれらの間に並べる「電気標的」の位置を、ロケットが飛行する軌道を中心として 正確に調整しておく必要があります。この軸合わせの作業を、現場作業者の間では「芯だし」と呼んでいます。 7月12日の作業では予想はしていましたが、この「芯だし」作業にてこずりました。 50年前の糸川博士の「生産技術研究」というレポートにもこの「芯だし」作業が大変だったと記載されています。

管制室

実験の計測データは管制室で見ます。上の写真は、管制室で試験を行ったときの様子です。 計測器を注視したり、モニタテレビを監視したりしています。地上燃焼試験は7月12日までに無事終了し、 本番で使用する推進薬の評価が行われました。いよいよ8月の本番に備えた最初のペンシルロケットの 水平発射試験が行われます。