ご無沙汰いたしております、ばあやです。5/16から20まで新潟で開かれた、Asteroids, Comets, Meteors という国際学会(略称はACM)に参加して参りましたよ。この学会のお名前は、直訳すると、小惑星、彗星、隕石です。つまり、これらの太陽系小天体の研究者たちが世界各国から集まってきて、最新の情報を交換したり、議論をしたりするの。この学会は、世界中のいろんな国で開かれているのですが、今年の開催国は日本でした。

http://chiron.mtk.nao.ac.jp/ACM2012/ (学会のサイト。英語)

ACMでは、小惑星、彗星、隕石に関する、ありとあらゆる発表が行われたわ。会場の熱気までは持ち帰れませんでしたが、せめて、雰囲気だけでも皆様にご紹介いたしましょうね。一つ一つ詳しくご説明すると、とてつもない量になってしまいますから、あくまでざっくりとしたご紹介だけで許して下さいね。

探査機関係でいえば、はやぶさ君が観測したイトカワ本体やその微粒子の解析結果や、NASAの探査機ドーンが観測した小惑星ヴェスタの最新情報が盛りだくさんでしたよ。ヴェスタは直径500 kmもある、大きな小惑星で、イトカワとは別のタイプの小惑星よ。真ん中が少し盛り上がった形の、とても大きなクレーターがあるのでも有名なの。ディープインパクト、改めエポキシという、彗星探査機の報告もあったわ。

直接小天体まで、出かけて行った子たち以外にも、あかりちゃんのように大気圏外から観測する衛星たちの観測結果もたくさん発表されていたわよ。太陽にあぶられた小惑星の表面は、赤外線で見るとそれなりに明るいから、あかりちゃんが活躍できるのよ。赤外グループの皆さんは、例の赤いはっぴを着て発表していたわ。

もちろん、地上の望遠鏡達も頑張っていたわよ。地球に衝突するかもしれない小惑星をいち早く発見するための望遠鏡とかね。また、レーダー観測で地球に近づいた小天体の形を観測した発表もあったわ。はやぶさ君を見守るのを手伝ってくださった、DSN70mさんの名前を聞いた時は、とても懐かしかったわ。小天体が地球にぐんと近づいたときだけ。とは言ってましたが、最大解像度が4mだなんて、レーダー観測もすごいのね。

太陽系の外側をめぐる彗星や、カイパーベルト天体についても観測が進んでいるようですね。

もちろん、比較的地球の近くに来る小惑星に関しては、もっと、いろいろと詳しいことが分かってきたみたいですよ。例えば、高速で回転していて、赤道部分が膨らんだ、鈴カステラやどら焼きみたいな形の小惑星があること。衛星を持っている小惑星があること。この観測事実を受けて、コンピュータで計算する人たちは、小惑星を構成する岩のかけらが、小惑星の自転によって、鈴カステラ型になって、更に、盛り上がったところが飛び出して、衛星になる様子を計算で再現してましたよ。小惑星イダに衛星ダクティルがあったことも、ダクティルが案外丸かったことも、今からすると、そこまで珍しいことではなかったのですね。NASAの探査機ガリレオさんが、衛星を持った小惑星を初めて見つけてくれたときは、ずいぶんびっくりいたしましたが。

ありとあらゆる観測手段を使って見つけた小惑星たちは、何回も観測されて軌道を推定されていくの。観測条件にもよるけど、単純にいえば、何回も観測すればするほど、軌道の予想制度は上がるわ。だから、地球にぶつかるかもしれない小惑星たちが見つかったら、それらを更によく観察するのよ。そうやって見つかってしまうかもしれない、地球に衝突する可能性の高い小惑星たちを、どうやったら避けられるかという研究もあったわよ。具体的には、計画的に小惑星を地球と衝突しない軌道に押しやる方法が提案がされているそうですよ。

もちろん、隕石そのものの研究、流れ星の研究、その他、ありとあらゆる太陽系小天体に関する議論が行われたのよ。本の一部しか、ご紹介できないのが残念です。

これからの小天体探査に関するセッションも行われていて、もちろん、はやぶさ2君やはやぶさマーク2の進化型の紹介があったわよ。外国の探査案も目白押しです。とてもわくわくしますよね。

そんな興味深い口頭発表が次々と続く公演会場の入り口横には、「はやぶさ」と「はやぶさ2」のポスターが貼り出されていましたよ。ポスターは英語でサイズも大きいので、オリジナル版とともに、サムネイル版、日本語版なども合わせてご紹介させていただきたいと思います。ただし、量が多いので、準備が整い次第、順次ご紹介させていただきますね。表題を合わせて、全部で11枚ありますよ。詳しくはこちらをご覧くださいね。

ACM2012 「はやぶさ」と「はやぶさ2」の展示コーナー紹介(はやぶさ帰還サイト)

はやぶさ君のデータや、微粒子君たちのデータの解析は、たくさんの研究機関とJAXAとの共同研究という形で行われているわ。最後になりましたが、その成果を帰還ブログにも転載することに快く同意してくださったポスター制作者の皆様方に心から感謝申し上げますよ。(ばあや)