Last Modified:
10/27/2020 15:53:18
2011年度冬学期 東京大学大学院 理学研究科 天文学専攻 「高エネルギー天文学特論IV」
担当教官 海老沢 研 (宇宙科学研究所)
2012年2月6日(月) 16:30-18:00、試験を行いました。
受験者14名。試験問題、解答
100点満点で平均点58.3点、中間値55.5点、最高 85点。
80点以上を優(2人)、50点以上を良(7人)、49点以下を可(5人)として報告しました。
答案は返却しますので、天文事務室に取りに行ってください。
テーマ:X線天文学の基礎、全15回(予定)
内容:X線輻射、検出の素過程。
X線観測からわかる天体の性質。
X線天文学の具体的な手法。
講義後に、本HPから講義資料、ノートを公開します
2006年度の講義ページも参考に
プロジェクタも使いますが、主に板書をするので、ノートを取ってできるだけ「手を動かして」理解してください。
具体的な数値を多く扱うので、計算機を持ってくること。
天文学では、大雑把な物理量の見積もりが大事です!
講義ノート (pdf; 最終更新日 2012年1月30日):
第1回(2011/10/03):講義概要、宇宙物理概略、X線天文学の歴史、X線観測装置、プランク時間、プランク長、プランク密度
講義で用いたスライド(ppt, pdf)
講義で見せた「すざく」打ち上げムービー
講義で紹介した2002年ノーベル物理学賞の解説記事 X線天文学とニュートリノ天文学のすぐれた解説です。
番外編:10月4日に、ノーベル物理学賞が発表されました。受賞者は、ダークエネルギーの存在の証拠と考えられている、
宇宙膨張の加速を発見した三人の天文学者です。詳しい解説は、こちら。
番外編その2:今年の京都賞(基礎科学部門、地球科学・宇宙科学)をラシッド・スニアエフ氏が受賞しました 「膨張宇宙を探索する宇宙背景放射揺らぎ理論の提出と高エネルギー天文学への多大な貢献」が受賞理由です。
11月12日に京都で開催されるワークショップ「観測的宇宙物理の進展:宇宙背景放射とX線天文学」は、オススメです。
第2回(2011/10/17):相対性理論
講義で見せた「重力を消す方法」(You Tubeより)
番外編その3:ニュートリノの速度に関する"anomaly"
についてプレスリリースが出て、世間で話題になっています。訂正報告が出るのを待ちましょう(笑)。
第3回(2011/10/24):ブラックホールの観測
講義で見せたプレゼン「ブラックホールとは?(一般向けのお話)」:(ppt, pdf)
第4回(2011/10/31):ブラックホールの観測続き
第5回(2011/11/07):座標変換、人工衛星による観測 -- 人工衛星の姿勢
ハンドアウト(赤道座標、銀河座標、黄道座標)
オイラー角による赤道座標から銀河座標への変換
それを一度のオイラー回転で実現
衛星の第三オイラー角とロール角の関係のアニメーション(パワーポイント)
「あかり」衛星の観測方法を示すプラネタリウム用ショートクリップ:私たちが製作したプラネタリウム番組、「見えない光で宇宙を探る」の一部から。
第6回(2011/11/14):人工衛星による観測 -- 人工衛星の姿勢と四元数
第7回(2011/11/21):人工衛星による観測 -- 四元数続き、人工衛星の姿勢の平均、二体問題とケプラーの法則、人工衛星の軌道、六要素、Two Line Elements
ハンドアウト:軌道六要素、Two Line Elements
授業で見せたムービー:四元数p, qで表される人工衛星の姿勢(X,Y,Z軸が赤、緑、青)に対し、姿勢pからqへの変換(qp-1) と、pとqの平均(三軸を赤、緑、青の破線で表示)。
第8回(2011/11/28):人工衛星の軌道つづき、準天頂衛星、X線天文学ことはじめ
「あかつき」の軌道について
第9回(2011/12/05):X線天文学ことはじめ(続き)、X線観測装置、X線データの眺め方
番外編:過去に知られていたブラックホール(約63億太陽質量)よりも重い、約100億太陽質量を持つ二つのブラックホールの発見がNatureに報告されました。
第10回(2011/12/12):X線観測装置、X線データの眺め方(続き)
講義で紹介したレビュー論文、"Deep Extragalactic X-ray Surveys", W N. Brandt, G. Hasinger, 2005, ARA&a, 43, 827
講義で紹介した将来ミッション:Generation-X, MAXIM
---------(2011/12/19):休講
第11回(2012/01/10):輻射輸送、黒体輻射
------(2012/01/16):休講
第12回(2012/01/23):熱制動輻射
第13回(2012/01/30):コンプトン散乱、シンクロトロン輻射
参考書:
- "Handbook of X-ray Astronomy", Cambridge 最近出た、X線天文学の手法をまとめた良いハンドブックです。
- "Handbook of Space Astrohomy and Astrophysics", Zombeck
- 「ブラックホールと高エネルギー現象」、 シリーズ現代の天文学9、 日本評論社
- Katz, "High Energy Astrophysics" Addison-Weslesy
Katz先生がlatexの元原稿を公開してくださっています。PDFはこちら。
ただし、図は含まれていません。
- Rybick and Lightman, "Radiation Process in Astrophysics" Willey-inter science
- Longair, "High Energy Astrophysics", Cambridge
- Taylor and Wheeler, "Exploring Black holes", Addison Wesley Longman. 一般相対論、GPSの議論で参考にしました。
- Fraser, "X-ray detectors in astronomy", Cambridge
- Shapiro and Teukolsky, "Black holes, White dwarfs and Neutron stars", Wiley-interscience
- Krolic, "Active Galactic Nuclei", Princeton
- Bevington and Robinson, "Data reduction and error analysis for the physical sciences", McGraw-Hill
- Press et al. "Numerical Recipes", Cambridge
- "Classical Electrodynamics", Jackson, 第1版。
アメリカで標準的に使われている、大学院レベルの電磁気学の教科書。第1版は日本語訳も出ています。
特殊相対性理論の議論を参考にしました。それに関しては、第2版よりも第1版のほうが、(厳密さには
欠けるが)簡単でわかりやすいと思いました。
- "Classical Mechanics", Goldstein, second edition, ISBN 0-201-02969-3
座標変換、オイラー角、四元数に関する議論。日本語訳も出ていますが、版は古いかもしれない。