本日も,というより昨日になってしまいましたが,IKAROSの探索運用を行いました.
残念ながら,応答は確認できませんでした.
2歳となったイカロス君,ケーキはお預けです.


3/14のブログにて少し詳しく書きましたが,
IKAROSと再び通信ができるようになるためには,少なくとも,
IKAROSが「発電できる姿勢」かつ「通信できる姿勢」になっていなければなりません.

一般的な探査機であれば,この前提条件クリアしているのかどうかの判定は,
昨年12月に見失ったときまでのデータを元にすればかなりはっきりと推測できます.

しかしIKAROSの場合は,姿勢運動が大きなセイルに受ける太陽光圧に
大きく影響されるため,この推測がとても難しいのです.


前回くらいまでの運用では,この前提条件がクリアされているような
姿勢運動をしている可能性はかなり低い,というような予想でした.
「可能性」というのもあまり正確ではない表現なのですが,
今後少しずつ,これが高くなってくると予想しています.

このあたりの姿勢推定についてはY3さんが進めていますので,
今日のブログで詳しい説明を書いてもらいたかったところなのですが,
「臼田からのご報告をY2さんにお願いm(_ _)m(笑)」と言って
うまくかわされてしまいました.


ということで,本日はわたくし,初めて臼田局におじゃまして運用に参加しました.
64メートルアンテナには,やはり圧倒されました,
業務もそこそこに新人研修のようにいろいろ施設の説明・案内もしていただき,
たいへん勉強になりました.
今さらながらアンテナから管制室までのデータの流れがよくわかるようになりました.
もっとスーパーバイザーなどをやり始める前に新人研修として来たかったですね.

実際の運用ではアンテナ管制室にメーカーの方が詰めて,
アンテナを操作したり受信信号を確認するスペアナを操作したりします.
どうやればIKAROSの電波を捕まえらえるか,プロとしてのご意見をいただきながら
相模原から指示を出して機器を動かしてもらいます.
いつも音声通信を通じてやりとりするときは落ち着いた声が聞こえていたのですが,
思ったよりも管制室は電波が受信できないことへの「餓え」を感じるような雰囲気でした.
「今日こそ,IKAROSの電波は来るのですか?」「ブログ読んでます!」
とダブルでプレッシャーをかけられてしまいました.

目前の64mアンテナが,IKAROSのいる方向に正しく向いて,
電波を受信してデータの雨にまみれる日が再び訪れるように,
機会を逃さぬよう試行錯誤を続けたいと思います.



ところで,次のソーラー電力セイル・木星圏探査計画において検討中のセイルの
膜面の大きさというのが,だいたいこの臼田局の64mのパラボラの大きさといい勝負になります.

このサイズのセイルを折りたたんで,宇宙で展開して,航海する,というのは
いつも議論していてもなかなかピンとこないものでしたが,
視覚に訴える,なかなかいい指標が見つかりました.

皆さまも臼田のアンテナをご覧になったときは,
直径2メートルほどの大きさからこのアンテナのサイズまで広げられるセイルが
いつか深宇宙を航海する姿に想いを馳せてみてください.


次回の運用は6/14(木)の予定です.(Y2)


※以下の軌道情報は,参考値です.
5/30のIKAROS
太陽距離: 0.97AU
地球距離: 212601776km, 赤経=25.4°, 赤緯=7.5°
金星距離: 1.27AU(189752797km)
姿勢: スピンレート=---rpm,太陽角=---°

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.97AU
Earth Distance: 220217266km, RA=25.4deg, Dec=7.5deg
Venus Distance: 1.27AU(1897527979km)
Attitude: Spin Rate=---rpm, Sun Angle=---deg