本日の運用では,前回運用に引き続き,データレコーダに
貯まったデータの再生を行いました.

但し,本日の運用では,姿勢が地球の方向から離れて
しまっていたため,前回運用時の半分のビットレートでの
運用となりました.

今日降ろしたデータは,逆スピンを行った後のデータに続き,
逆スピン運用を行う前の,大マヌーバを行った時のデータも
降ろしました.

そういえば,以前Hさんから振られていた,
Y,Y2,Y3の3兄弟の誰かが説明することになっていた,
大マヌーバ運用に関する説明を長らく忘れていたので,
少しご紹介したいと思います.
(Hさん,ごめんなさい…)

9月の後半で2回ほど行った,大マヌーバ運用というのは,
イカロス君の軌道を変更するために実施した実験です.

皆さんご存知のとおり,ソーラーセイルの軌道というのは,
姿勢(つまり,セイルの向き)を変えることで変化させることが
出来ます.

これまでも幾度となくセイルの向きは制御してきましたが,
アクティブに”軌道を制御するためだけ”に,
数10deg姿勢を変更するという運用は,この時の実験が初めてでした.
結果として,100%成功したわけではないのですが,
その当時(9月下旬)の,データが中々取得できない状況で行った実験にしては,
それなりに上手くいったものと自負しています.

一方で,浮き彫りになった課題も多々あったので,
現在も引き続き解析を行っています.

この時の実験では,せいぜい 1~2週間程度の期間だけ,
姿勢を動かしていたので,軌道が変わったと言っても,
大幅に変化したわけではありません.
(金星と地球軌道の間の楕円軌道を回っていたものが,
火星に向かう軌道に移るような話ではありません)

それは,あれだけ大きなセイルを展開していても,IKAROSのセイルによって
生み出される力というのが,地球上での1円玉の10分の1程度の
重さ分の力にしかならないことを考えると,ご想像に難くないと思います.
つまり,ソーラーセイルの軌道を大きく変えようとすると,
長期間(数ヶ月であったり,数年であったり)姿勢を
目的の方向へ向けなければならないということです.

気の長ぁぁぁぁい話ですね.

軌道の変動自体は,天文学的なスケールで見ると,
とても小さな量でしたが,今回の実験が,
将来のソーラーセイルミッションの礎になることを
考えると,大きな成果だったのではないかと思います.

どうか皆さんも,長ぁぁぁぁい目で温かく見守って下さいね.
次回運用は明日…というか既に今日10月26日(水)です(Y3)
(遅くなってごめんなさい…)


10/25のIKAROS
太陽距離: 0.72AU
地球距離: 174244020km, 赤経=174.1°, 赤緯=4.1°
金星距離: 1.36AU(203538241km)
姿勢:スピンレート=-0.5rpm, 太陽角=11deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.72AU
Earth Distance: 174244020km, RA=174.1deg, Dec=4.1deg
Venus Distance: 1.36AU(203538241km)
Attitude: Spin Rate=-0.5rpm, Sun Angle=11deg