本日の運用では,スピンアップ,HKデータの取得,データ再生,
最後に再生レンジングを行いました.

相変わらず地球角が大きいギリギリの通信条件での運用が続いており,
今日もロックオフが発生する状態でした.
しかしよく粘ってテレメトリも受信できています.
IKAROSの状態は至って良好です.


前回のブログでも触れましたが,先週末に相模原キャンパスの中庭で
「イカロス君の上でピクニック」というイベントがありました.
こちらは何も準備していないのに楽しんでいただけるかな...なんて不安視しておりましたが
参加されたみなさまはいかがだったでしょうか?
私は途中参加でしたのであまりお話しできませんでしたけれども,
思いのほか楽しませていただきました.

このイベントでは,ビニール製のIKAROS模擬セイルの折りたたみ,
探査機本体模型への巻きつけ,最後に一次展開・二次展開実演も行われました.
参加者は,IKAROSチーム側も含めれば50人近くいたと思われますが
人海戦術というものの強みを改めて実感する興味深いイベントでした.
大軍(しかも士気が高い?)で挑めば膜作業も怖くありません.

ちなみにIKAROSフライト膜の最終巻きつけは12名で行いました.
膜の折り畳み作業は6人くらいで行うこともありました.
もちろん本物の膜を巻きつける方法とは相違点が多々ありましたが,
今回の人手のかけかたというのは「何て贅沢な!」と感じしまうところでした.
中庭という膜を完全に広げられるスペースがあることも贅沢なところですね.

「膜作業,募集してくれれば駆けつけますよー!」という方もいらっしゃいました.
とても嬉しいですね.ありがとうございます.
何度も練習が必要だったり,簡単じゃないですよ,
連日深夜まで作業が続くと少しずつ笑顔も消えていきますよ...と思ったのはさておき,
こうやって興味を持ってくださる方を広く募集できればいいですね.
きっと他にもいろいろ問題があるんだと思いますが.


次の木星圏探査計画では,50m級のセイルを想定しています.
IKAROSをミニラとすれば,次はゴジラ(昭和)を相手にしなければなりません.
これほど巨大なセイルに対する膜作業上の問題は,
「IKAROSのときよりも人数をかけ広い場所を確保すればよい」
という単純な比例関係で解決するのは難しく,
特に手作業から機械作業への移行というのが重要な課題となっています.

巻きつけの精度(4方向の膜を均等に巻きつけているか,など)や
作業の再現性を管理するところは,人の手よりも機械のほうが秀でていたりします.
こういう観点で,IKAROSでは「収納装置」を導入したりしてきました.
これからは,「手作業の代わり」をする装置も必要となりそうです.
しかし人の手というのは機械にできない実に複雑な作業をこなすことができますので,
何もかも機械任せにはできません.

どれだけの人数が,どれほどのスペースを確保して,どんな装置を使うのか...
ゴジラセイルの膜作業風景がどんなものなのか,まだまだイメージが固まりませんね.(Y2)


P.S.
今日のコマンダーさんは,IKAROS運用の担当は今回が最後ということでした.
最後まで頼りないスーパーバイザーの姿しかお見せできなかったのが残念なところです.
これまで本当にお疲れさまでした!


8/31のIKAROS
太陽距離: 0.83AU
地球距離: 115763235km, 赤経=104.7°, 赤緯=19.0°
金星距離: 1.46AU(217966558km)
姿勢: スピンレート=0.4rpm,太陽角=2°

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.83AU
Earth Distance: 115763235km, RA=104.7deg, Dec=19.0deg
Venus Distance: 1.46AU(217966558km)
Attitude: Spin Rate=0.4rpm, Sun Angle=2deg