6/28の運用では,薄膜太陽電池の計測,カメラ撮影,データレコーダの再生,
最後にスピンアップを行いました.
最近の運用はやることが盛りだくさんで,フルパスでもせわしなくなっております.

この6月は週末を除いてほとんど,風車効果でスピンレートが下がるのに身を委ねる
風まかせの運用となっています.
定常運用開始後のスピンレート履歴をグラフにしてみると,
そろそろこの先が不安になる傾きをもっています.
現在約0.2rpm,スピン1周に5分近くかかっています.

「このままだと膜の形はどうなるの?」「どこまでやってもだいじょうぶなの?」
といった質問をよくお受けします.※
もちろん,数値シミュレーションなどを使って,
どのスピンレートで膜面がどのようにたわむのか予測はしていますし,
どこまでスピンレートを下げてもよいのか,という検討もしています.
ですが,結局のところいちばん自信を持って答えられるのは,

「わ・か・り・ま・せ・ん!」

という一言です.
理論を実証するための実験というよりも,現象を知るための実験ですので
ここはお許しいただきたいと思います.
「何が起こるかわからない」ということは,やってみた結果は貴重な知見となります.
リスクも伴いますので,これまで紹介されたように
「マクロ」を組み込んだり回転ガイドを移動したり,
万全の対策をとりながら少しずつスピンレート下げています.

そんな運用がずっと行われているので,
最近は当番でもないのに興味と不安とおやつに駆られて毎日運用室に顔を出してしまい,
テレメを確認するまで帰れないという寝不足に陥ってしまっています.

次回の運用予定は明日(6/29)です.今日はもう帰ろうかな...(Y2)



※ご質問と同時に,「私はこうすべきと考えているのですが...」と
いろいろご提案される方がいらっしゃることをとても嬉しく感じます.

IKAROSはおもしろい船です.
船頭多くして...?いえ,そんな心配なさらず,
ぜひみなさんも船長の気持ちで,IKAROSがどんな運動をするのか,
どのように運用をすればよいのか,あれこれ考えてみてください.


6/28のIKAROS
太陽距離: 1.03AU
地球距離: 110428854km, 赤経=25.6°, 赤緯=5.3°
金星距離: 1.40AU(210063162km)
姿勢:スピンレート=0.2rpm, 太陽角=1deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.03AU
Earth Distance: 110428854km, RA=25.6deg, Dec=5.3deg
Venus Distance: 1.40AU(210063162km)
Attitude: Spin Rate=0.2rpm, Sun Angle=1deg


※6/24のIKAROS情報のEarth Distanceに誤記がありましたので訂正いたします.
(誤)1111889039km→(正)111889039km
木星探査を夢見るあまり,イカロス君を10億kmの彼方に飛ばしてしまいました.
申し訳ありません.