本日も,お馴染みになった,再生レンジング,HK取得,データレコードの再生を行いました.
最近,お馴染みばかりの運用でイカロス君もマンネリ気味なのでしょうか,
何か違うことをやりたくてうずうずしてるようですね.

その理由の一つかどうか知りませんが,IKAROSは先月28日にスピンアップしたのを最後に
まるまる1週間,推進系のスラスタ噴射を行っていません.

IKAROSは現在,風車効果によってスピンレートが自然に下がる傾向にあります.
スピンレートが落ちると,スピンの遠心力に対し相対的に太陽光圧が強くなるため,
膜が大きくたわんでしまう恐れがあります.
このため,推進系スラスタを使ってスピンアップする必要があります.

5/28のブログでRさんが説明されているように,
IKAROSにはスピンレートがある設定値を下回ると,
自動的にスピンアップ制御する監視機能が組み込まれています.
この「ある設定値」を,先週の運用にてこれまでよりも低く変更しました.
このため,これまでなら自動的にスピンアップしてるはずの日を越えて,
スラスタ噴射しない状態が続いているのです.

そしてこの設定変更により,IKAROSは昨年5月に打ち上げられて以来,
最も低いスピンレートの状態になろうとしています.
IKAROSはずっと,1rpm(1分間で1回転)以上のスピンレートを保ってきました.※
しかしついに,今週末から来週はじめにかけてこれを下回る見込みです.

この未知の領域でいったい何が起こるのか,予想はすれど世界で誰も知りません.
特に膜が大きくたわむと,風車効果の傾向が変わり
急激にスピンレートが下がる可能性もあります.
Rさんが説明されていたスピンレートを「常時」監視する機能の追加,というのは,
このような現象が起こってもちゃんとスピンレートを維持するための,万全を期した対策です.
この機能のおかげで,少しずつ,未知の領域に冒険することができるのです.

次回の運用は6月7日(火)の予定です.
どんな状態で可視を迎えるのか楽しみです.(Y2)

※この記録,Yさんに「本当?」とか疑われて自信がなくなったので,
念のため過去のデータを丹念に調べているうちに,
意識が遠のいて椅子で気持ち良く寝てしまいました.
ブログ更新最遅記録なんて事態にならないよう,
自動的に起こしてくれる居眠り監視機能が欲しいですね.


6/4のIKAROS
太陽距離: 1.07AU
地球距離: 120436739km, 赤経=2.885°, 赤緯=-2.370°
金星距離: 1.25AU(187550863km)
姿勢:スピンレート=1.0rpm, 太陽角=8deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.07AU
Earth Distance: 120436739km, RA=2.885deg, Dec=-2.370deg
Venus Distance: 1.25AU(187550863km)
Attitude: Spin Rate=1.0rpm, Sun Angle=8deg