本日は,運用開始後に通信エラーが多発しましたが,
その後通信状況が改善し,エラーが出なくなりました.
これは,臼田局の天候が雨(みぞれ)から曇りへと推移したこと
に起因します.

さて,今回はIKAROSの開発について少し紹介しましょう.

IKAROSは金星探査機「あかつき」と相乗りということで
2007年度後半に急きょスタートしたプロジェクトであり,
打ち上げまで2.5年しかなく(絶対に遅れることは許されない)
非常に厳しいスケジュールとなっていました.

そこで,IKAROSのソーラー電力セイルミッションに直接関係する
部分以外は極力,他のプロジェクトの余剰品を活用したり,
既開発品を再製作してそのまま用いることで,開発リスクを
軽減しました(気液平衡スラスタやアンテナは例外です).
これらはマンパワーの分散を避け,コストダウンにもつながりました.

システム試験でも工夫しました.チーム内でスケジュールリスクを
共有した上で,電気的な噛み合わせ試験を各機器の開発が完了する
前の早い段階で実施し,後に長めに改修期間を設けました.
機器の開発が遅れていたため,思い切って噛み合わせを先行して行い,
どうしても繋げない機器は単体で試験を実施することにしたのです.
これにより早期に不具合を洗い出せて,不具合対応の作業が
スケジュールマージンで何とか吸収できました.
もし機器の開発を待って,組み立てた後に噛み合わせ試験を行って
いたならば,さらなる時間と資金が必要となったかもしれません.

さらに,他のプロジェクトと試験設備をshareしているため,
実際にはもっと複雑なスケジュール管理が必要でした.
試験の順番を入れ替えたり,各試験の間にスケジュールマージンを
入れるなど,他のプロジェクトとの干渉を極力避け,不具合発生時
のインパクトをなるべく小さくしました.

ギリギリの活動を支えていたのは,絶対に間に合わせるんだという
各メンバーの熱意だったと思います.
このような背景があって,先日のブログに書いた打ち上げ前の
気持ちにつながるのです.
「昨年の4月末にIKAROSをロケット側に引き渡したときは,
無事,開発をやり終えたという充実感がありました.」(O)


5/24のIKAROS
太陽距離: 1.08AU
地球距離: 125554790km, 赤経=-6.8°, 赤緯=-5.6°
金星距離: 1.16AU(173863137km)
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=8deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.08AU
Earth Distance: 125554790km, RA=-6.8deg, Dec=-5.6deg
Venus Distance: 1.16AU(173863137km)
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=8deg


P.S.
イカロス君の1歳のお誕生日プレゼントをたくさんいただきました.
皆様の応援が私たちの原動力となっていることを改めて実感しました.
心より感謝いたします.ありがとうございました.

<誕生日プレゼント集合写真>
見ていると思わずニヤニヤしてしまいます.
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<IKAROSe(イカローズ)>
紙のバラでできています(しかもパズルになっていました).
すごいです.
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