本日も気液平衡スラスタのタンク温度の確認を行いました.
これについて,少し解説しましょう.

一般に推進系の燃料がどのくらい残っているかは
・噴射実績を積算する.
・タンクの温度と圧力の関係から推定する.
という二種類の方法で把握できます.

しかし,IKAROSの場合,気液平衡スラスタを採用していて,
タンクの圧力は蒸気圧で決まってしまうため,後者の方法を
とることができません.そこで,ヒータでタンク温度を上げて,
その変化の状況から残りの燃料を推定する方法にも挑戦しています.


さて,明日はいよいよイカロス君の誕生日ですね.
そこで,IKAROS打ち上げ前後に感じたことを紹介したいと思います.

IKAROSの開発スケジュールは非常に厳しかったため,
昨年の4月末にIKAROSをロケット側に引き渡したときは,
無事,開発をやり終えたという充実感がありました.
一方で,もうIKAROSに触れることができないというさみしさから,搭載後の
「記録」撮影が,思わず「記念」撮影になってしまったことを思い出します.

5月に入ると,ロケットが無事打ち上がるかという不安感と
新しい挑戦が始まるという高揚感が入り混じった複雑な気持ちになりました.
そして,打ち上げが近づくにつれて緊張が一気に高まっていきましたが,
5月18日の打ち上げ直前にまさかの延期となり,
5月21日のイカロス君の誕生を少しだけ落ち着いて迎えられたと思います.
ロケットの打ち上げは本当に感動的でしたが,その直後から
ミッション達成へのプレッシャーが急に重く感じられました・・

ところが,イカロス君は重圧をもろともせず,順調に各ミッションをクリアし,
期待をはるかに上回る成果を出してくれました.
・大型膜面を展開した時の興奮
・分離カメラ画像を取得した時の熱狂
・通信不可帯を通過した時の安堵
・金星をフライバイした時の歓喜
等々はすばらしい記録&思い出となりました.

たくさんの人に応援してもらい,
宇宙の大海原を航海するという夢を果たしているイカロス君を誇りに思います.

「イカロス君ありがとう!これからもよろしくね!!」(O)


5/20のIKAROS
太陽距離: 1.08AU
地球距離: 127386632km, 赤経=-10.1°, 赤緯=-6.8°
金星距離: 1.13AU(168475330km)
姿勢:スピンレート=1.4rpm, 太陽角=7deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.08AU
Earth Distance: 127386632km, RA=-10.1deg, Dec=-6.8deg
Venus Distance: 1.13AU(168475330km)
Attitude: Spin Rate=1.4rpm, Sun Angle=7deg


<イカロス君とゆかいな仲間たち>
いろいろなグッズを作っていただきありがとうございます.
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