IKAROSは,最近は落ち着いており,定常的な運用が続いています.
ここでちょっとIKAROSがやっている特殊なことという意味で,技術的な話題をひとつ.

IKAROSは,通信機から発信されたドップラー信号をかなり有効活用しています.
ドップラーとは,周波数の変動そのもので,電波そのものに含まれた情報です.
テレメトリは,ここからさらにデジタル的に復調する必要がありますが,ドップラー情報は
電波さえキャッチすれば計測できるので,一段階とりやすい情報なのです.
IKAROSでは,ドップラーの大局的な変化から軌道情報(IKAROSの太陽系での位置)を生成し,
短い周期の変動から姿勢情報(スピンレートとスピン軸の向き)を割り出し,
より細かい変動から電波の質を計測しています.

救急車のサイレン音のドップラー効果にたとえると,
サイレン音が自分の前を通り過ぎる時に高い音から低い音に変化していくのを捉えて,
救急車の位置を割り出し,
ピーポーピーポーの高低の変動から救急車の車体の向きや振動を捉え,
ピーポーピーポーに含まれる細かい雑音から,音の質を計測している
というようなことになるでしょうか.

ドップラーは偉大です.(Y)

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10/9のIKAROS
太陽距離: 0.86AU
地球距離: 29457920km, 赤経=-127.1°, 赤緯=-26.2°
金星距離: 0.15AU
姿勢:スピンレート=1.5rpm, 太陽角=10.8deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.86AU
Earth Distance: 29457920km, RA=-127.1deg, Dec=-26.2deg
Venus Distance: 0.15AU
Attitude: Spin Rate=1.5rpm, Sun Angle=10.8deg