IKAROSチームの 津田 雄一(つだ ゆういち)です.
このblogを見ていただいているみなさま,いつもIKAROSを応援していただき,
ありがとうございます.

開発メンバーの自己紹介第2弾ということで,少しだけ筆を執らせていただきます.
とにもかくにも,セイル展開が完了した6月10日,あんなに晴れ晴れした気持ちになったのは,
後にも先にもここ以外にありません.

ソーラーセイルという技術の可能性は,100年ほど前に理論化され,以来世界中で
研究がなされてきたものですが,単に学術界だけではなく,未来の究極の宇宙技術として,
SF小説や映画,漫画に描かれ続けてきたという意味では,ソーラーセイルは夢の技術の
代表格的な存在でしょう.

ソーラーセイルが原理的に可能であることは,IKAROSをやるまでもなくわかっていたことです.
しかしわかっていることとやれることには100光年からの差があります.ソーラーセイル技術を
実証できた意義は,いろんなところでお話させていただいているのでここでは置いておくとして,
ともあれ世界で初めて,「ソーラーセイリング」を実現したのです.

人類の夢実現の片棒を担げたかと思うと,IKAROS殿も少しばかりむずがゆい思いを
しているのではないでしょうか.

IKAROSが成功したのは,大学とJAXAの人間から成るIKAROS開発チームの努力のたまもの
であり,失敗しなかった理由は,IKAROSのバスシステム(通信・姿勢・推進・電源・
データ処理等の宇宙機の根幹をつかさどる機能)を開発した我が国のメーカー群の確かな
実現力と高い技術力によるものです.
非常にチャレンジングなこのIKAROSミッションの足跡を振り返るに,特に後者の点を
感じずにはいられません.
日本は,もう少しばかりこの点を堂々と誇ってもよいのではないかな,と感じたりもします.

あ.

言いたいことを言っている間に,いつのまにかIKAROS紹介になってしまいました.
自己紹介に戻しましょう.

私は,IKAROSチームのサブチームリーダーを務めながら,IKAROSの軌道・航法・姿勢制御を
担当しています.
私がソーラーセイル研究に携わって7年.この新しい航法を実現するために,私自身,セイルの
折り方からスタートしました.折り紙から始めて,ついに"航法"にまでたどり着いたのです.

生みの親(のひとり)としては,ここまでやってくれたわが子であってもさらに多くを期待して,
まだまだ沢山の実験を用意しています.
IKAROSは,ソーラーセイルができるかどうかではなく,今後のソーラーセイル技術のために
どれだけのことをできるかを見せるステージに来ています.

これからのIKAROSのフライトに,引き続き応援をどうぞよろしくお願いいたします.