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第81号 2000年7月18日発行

目次


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パソコンによる動画作製・デジタルビデオ編集(III)

1.はじめに

 今回は連載の3回目で、前回途中までになっていたパソコンで扱うことができる動画の続きです。


2. パソコンで扱える動画像(続き)

 前回までに、動画像のデータ量が巨大なものになり、圧縮する必要があることと、圧縮方法としてgif、JPEG、MPEG について説明しました。動画はデータを圧縮するための方法とは別に、ファイル形式による違いもあります。前回、ファイル形式としては Windows 環境での avi について触れました。ファイル形式は圧縮方法の違いを吸収するためのしくみと考えれば良いでしょう。たとえば今回取り上げる QuickTime [http://www.apple.com/quicktime/] では、圧縮形式としてモーション JPEG や DV など、16種類が扱えるようになっています。利用者には互いにどんな圧縮形式を使ったかを知らなくても、見かけ上は全く同じ QuickTime のファイルとして取り扱えます。この QuickTime は元々はアップルの提唱した画像と音声の時間管理方式とファイル形式であり、パソコンの性能によって再生時間に影響が出ないようになっています。現在では UNIX ワークステーションや Windows でもサポートされており、異なる機種でファイルをやりとりしてもプラットフォームによる問題はありません。動画の圧縮形式には16種類が利用できますが、自然画像ではモーション JPEG が、シミュレーション結果などはアニメーションか Cinepack あたりが妥当なところでしょう。ただし、出来上がったファイルを異なるプラットフォームでやりとりする場合は圧縮無しを選んだ方が無難です。この QuickTime も PowerPoint 中に挿入することができます。

 QuickTimePro は $29.99 と有料ですが、番号付けされた一連の静止画画像を読み込み、QuickTime の動画にする機能があり、最も手軽で安価な動画作成ツールとして利用できます。マックでも Windows でも利用可能です。


3.パソコンで扱える動画のまとめ

 以上で動画の圧縮形式とファイル形式の紹介が全て終わりました。以上をまとめると、パソコンでの動画表示には gif アニメーションと MPEG1 を用いるのが最もお勧めです。gif アニメーションは十枚から数十枚の画像があれば十分制作できます。これにはフリーウェアが各種あり、手軽に利用できます。Gif アニメーションはパラパラ漫画のようなものですから、滑らかに動き十分に長い動画を作るのなら MPEG1 の方が適しています。


(1)画像ファイルからの MPEG1 ファイル作成

 MPEG1 の動画を画像のファイルから手軽に作るにはフリーウェアを使うのがいいでしょう。 http://ftp.sunet.se/mpeg1/mpegfaq/index.html にある FTP サイトには UNIX や Windows、マックのフリーウェアが集められています。 マックや Windows では一旦QuickTime や AVI を経由します。QuickTime や AVI ファイルの作成には QuickTimePro が安くて便利です。


(2)実写ビデオからの MPEG1 ファイル作成

 最も手軽な方法はハードウェアエンコーダ(電子回路でビデオから MPEG への変換を行うもの)を使って USB 接続する機器を購入することです。編集用のソフトも一緒に入っているものを選ぶと、ビデオデッキを使うように簡単にハードディスクに記録できます。必要なシーンより少し前後長めに録画して、編集ソフトで前後をカットするようにするのがこつです。Winows 用と MAC 用があります。たとえば I-O DATA の USB-MPG [http://www.iodata.co.jp/products/usb/usbmpg.htm] がおすすめです。これはパソコンで動画を編集した後、ビデオに出力することもでき、接続も USB なので手軽です。定価は3万7千円です。

 PowerPoint を使ったプレゼンテーション中に動画を使う場合は QuickTime、AVI、MPEG1 の3つが使えますが、QuickTime か MPEG1 の方が web などへも応用できるので有利ではないかと思います。


4.次回の予告

 次回はビデオクリップの作成とデジタルビデオ編集について紹介しましょう。

(理化学研究所 姫野 龍太郎 himeno@postman.riken.go.jp)


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DARTS コーナー:
「あすか」 revision 2 アーカイブの公開について

 DARTS では従来からX線天文衛星「あすか」のアーカイブデータを提供してきましたが、revision 2 と呼ばれる最新データを公開する目処がようやく立ちましたので、その概略を御紹介します。新システムへの移行は8 月初旬を予定しています。URL の変更はありません。

 Revision 2 への移行により、これまで多くの方から御指摘いただいてきた各種の不具合は解消されるものと考えています。また、従来は1996年7月21日以前の観測データしか提供していませんでしたが、新システムでは公開されている全データへのアクセスが可能になります。


アーカイブの revision とは?

 「あすか」のアーカイブに関する限り、revision の違いはテレメトリからアーカイブデータを作成するスクリプトの (メジャー) バージョンの違いに対応しています。細かなパラメータ調整は頻繁に行なわれている模様ですが、revision 番号が変わるのはスクリプトの構成が根本的に変わった場合だけです。これまでに revision 0, 1, 1+, 2 が作成され、現在の最新 revision は 2 です。各 revision に関する詳細は http://adfwww.gsfc.nasa.gov/asca/processing_doc/proc/processing.html で説明されています。

 Revision 2 アーカイブは 1997 年 6 月末から作成がはじまり、現在では全ての観測データが revison 2 に移行しています。1996 年 7 月 21 日以降の観測データについては revision 2 だけが公開されています。


revision 2 と revision 1 の違い

 Revision 2 と revision 1 の主な違いは以下のとおりです。

 ・観測時間全体を積算した画像を提供するようになった。
 ・視野内にある X 線源のエネルギースペクトルと光度曲線を提供するようになった。
 ・観測やアーカイブ作成に関する情報を HTML 文書として提供するようになった。
 ・revision 1 ではテレメトリデータを FITS 化したファイル (通称 "science fits") が大量に存在したが、revision 2 ではこれらを統合したイベントファイル ("unscreened" event file) だけを提供するようになった。

 全般的にみて、revision 2 ではファイルが整理・統合されて分かりやすくなりました。各アーカイブに含まれるファイルの内容は、アーカイブ内のファイル一覧で簡単に説明されているほか、"ASCA Getting Started Guide for Revision 2 Data" (http://adfwww.gsfc.nasa.gov/asca/processing_doc/GS/getting_started.html) の第4章で詳しく説明されています。


revision 2 用ユーザーインターフェース

 若干表示内容が変わるものの、ユーザーインターフェースに大きな変更はありません。

 新たな機能としては、ダウンロードするファイルを選択する際に「当該観測のアーカイブデータ全体」あるいは「当該観測データの一部をサブディレクトリ単位で全部」選択できるようにしました。たとえば当該観測のアーカイブデータ全体をダウンロードするためには、従来はファイル一覧のチェックボックス全部にマークをつける必要がありましたが、新インターフェースでは太字で表示されている "Whole the Data" をチェックするだけでよくなります。

 また、 8月の公開には間に合わない可能性もありますが、ネームリゾルバとして SIMBAD を利用する方向で作業を始めています。


anonymous ftp によるデータの提供

 各観測に割り当てられているシークエンス番号が分かっている場合には、下記の匿名 FTP サーバーに直接アクセスしてアーカイブデータを取得することもできます。このサーバーは既に稼働しています。

 ftp.darts.isas.ac.jp:/pub/asca2/SEQUENCE.VER/

ここで SEQUENCE の部分が8桁のシークエンス番号、VER は3桁の processing version です(2桁以下の場合は0をつめて 001 のようにする)。複数のバージョンが存在する場合は、原則としてバージョン番号が最大のものを使用してください。 8 月に公開する新システムでは、最新のprocessing version も画面上で確認できるようになります。


データの更新について

 特に事情がないかぎり、DARTS の「あすか」アーカイブデータとデータベースは数日〜1週間に一度の頻度で更新しています。従って今後新規に公開されるデータに関しても、NASA/GSFC で公開が始まってから1週間以内に DARTS からも提供できる見込みです。

 新システム公開後は、数日程度の公開の遅れを除けば、DARTS と NASA/GSFC が提供する「あすか」アーカイブデータは完全に一致することになります。

(山下 朗子)


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大型計算機に関するお知らせ

1.大型計算機の7月・8月の保守作業の予定



7月の定期保守はありません

※1 M:システムメンテナンス


2.GS8300/10N モデム経由公衆電話回線の停止について

GS8300/10Nマシン用の公衆電話回線は、長期にわたり利用件数が 0 となりましたので、サービスを停止しました。


(三浦 昭 )


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