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第77号 2000年3月21日発行

目次


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関口さん、ごくろうさま

 この 3 月末をもって関口さんが定年退官されます。今月は大型計算機の年度末処理や課題更新手続きなどもあり、関口さんの特集号になりました。

 ご存知のように、関口さんにはロケットのレーダ班とセンター計算機の管理運営という2つの顔があります。この一見無関係な 2 つの仕事を担当されるに至った経緯については関口さんご自身が次項で述べられていますが、 2 つとも宇宙研の特別事業の遂行には大切な責任の重い仕事です。多分、野村先生は関口さんの持ち前の緻密・几帳面さ、そして責任感の強さを見込まれたのではないかと想像しています。宇宙研に大型計算機が導入されたのは 35 年以上も昔のことですから、 関口さんは当時、電子計算機のことがわかる数少ない人であったのかもしれません。私が駒場の東大宇宙研に職を得たのは30年以上も前のことですが、関口さんは既に計算機室の主でした。当時は電子計算機といえば、センターの大型計算機のことでしたが、近年の情報技術関係の進展はめざましく、 今では PC クラスの性能が普通の大型計算機以上の能力を発揮するようになりました。昨年夏にリプレースされた大型計算機システムは 1 つの大きな計算機というよりも目的に応じて最適のものを使い分ける分散処理型になっています。いつの時代でも最高速のスーパーコンピュータ(その内、 この言葉も使われなくなり、 HPC; High Performance Computer と言われるようになる)の必要性は残るでしょうが、計算機センターの機能・役割も昔に比べると大きく様変わりしました。

 関口さんは、計算機システムの急速な進展の中でいかにしてシステムの信頼性・安全性を保っていくかに腐心してこられました。これまであまり心の休まる暇もなっかったと思いますが、今後は趣味を楽しまれながら、いつまでもお元気に過ごされる事を祈念いたします。本当に長い間、ありがとうございました。  

(向井 利典)


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宇宙研大型計算機の思い出

 昭和 36 年 4 月(1961.4)に港区竜土町にある東大生産技術研究所第 3 部(電気工学)の高木研に入って以来、研究所は東大宇宙航空研究所、宇宙科学研究所と変わり、場所も竜土町、駒場から相模原へと移転しました。秋田県道川にあったロケット実験場から鹿児島宇宙空間観測所(KSC)に移った現在までレーダ班として実験に参加しています。

 初期の頃はレーダのロケット追跡データの解析をするために、殆ど毎日の様に計算機室に出入りしていた関係もあって、ロケット実験に追われて、あたふたしている時に昭和 39 年 12 月から大型計算機の運転が開始されるので、面倒を見てくれと野村先生から頼まれて以来 HITAC 5020Fから VPP 800 まで 9 世代 18 種類の計算機と付き合うことになりました。

 各年代毎の宇宙研で稼動していた大型計算機は大型計算機導入経過一覧を参照してください。 HITAC 5020Fの運転管理を担当した経験から次期システムでは是非実現したい事項として計算機の自動化運転と計算機利用のセルフサービス化を目指して日夜仕様検討を行いました。担当メーカーには大変無理を云って宇宙研システム用にセンタールーチンを新規開発してもらい、 昭和 49 年 10 月から稼動した FACOM 230 / 75 で実現しました。

自動化運転を行うためには、

(1) 電源装置は CVCF を入れて電圧・周波数の安定化と共に商用電源断信号を検出してバッテリー負荷により実行中のジョブをセーブします。

(2) 防災監視機能として空調機運転監視と温湿度チェック・漏水検知・煙感知をして異常の場合は、実行中のジョブをセーブした上で計算機の停止を行い、火災の場合はハロン消火設備により消火します。

(3)本体室出入者チェック(入出用カード)

(4)地震検知機による震度情報により3段階の制御モードの出力をします。

(a)警報のみ

(b)実行中のジョブをセーブして計算機の電源を切断します。

(c)強制電源切断のいずれかを行います。

(5)計算機利用者毎の利用実績集計及び課金のオンライン集計と月末集計を行いました。

 しかし、最近のス−パーコンピュータについてはメモリーが大きくなったため、実行中のジョブをセーブするための時間が 40〜50 分かかるのでバッテリー容量が不足のためと、ジョブセーブ用ディスクの容量確保の問題で停電や地震によるジョブセーブ機能はギブアップしています。

セルフサービス化:

 計算機利用の機会均等・平等を前面に出して、誰でも自由に計算が出来、又最少限のセンター職員で運転が出来る様、利用者の皆様にはプログラムの作成から、ジョブの入出力までをセルフサービスで行ってもらいました。

 そのためジョブ入出力管理・ジョブ管理・ユーザ管理・防災管理等を行うため宇宙研専用のセンタールーチンを作り、各ユーザには磁気 ID カードを配布して管理しました。今では大型計算機では当り前の事ですが、その当時自動化運転とかセルフサービスで大型計算機を運転している所は国内では少なかったため、色々なセンター関係者が、宇宙研システムの見学に来ました。

 大型計算機のリプレースのタイミングは 4 〜 5 年毎のため、導入後やっと安定期に入ったかと思う間も無く次期システムの検討に入ると云うサイクルのため、あっと云う間に 39 年が過ぎて定年を迎えることになってしまいました。大型計算機のリプレース後の最新のシステム構成図を添付しましたので、ご参照下さい。

 平成 11 年度で大型計算機の一連のリプレースも終わり利用手引書も完成して一段落した所で定年を迎えられるのも、偏に皆様方の温かいご支援があったからと感謝しています。長い間ありがとうございました。        







(関口 豊)


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大型計算機に関するお知らせ

1.課題更新手続きについて

 現在利用されている課題の有効期限は、3 月31 日迄となっておりますので、次年度も引き続き利用される課題の更新手続きは、3 月 17 日(金)までにお願いします。課題申請用紙は、 3 月 3 日(金)にお送りしましたのでご利用ください。

課題更新用申請用紙のフォーマットについて

課題申請用紙は3種類ありますので、申請目的にあった用紙をご利用ください。

(1) GS8300 / 10N MSP 用 ----
                 |新規申請用紙
(2) UNIX 用 -----------------

(3) 課題更新 MSP・UNIX 用 更新用申請用紙

MSPと UNIX は、各々別の管理をしておりますので、申請時には各々予算登録をしてください。

更新用紙には同一予算費目、同一内容の UNIX ・ MSPのセット課題を上段・下段に記入し、提出してください。

新規課題申請用用紙は、A棟 4 F、 7 F、B棟 1 F、C棟 2 F、D棟 2 Fの各サブステーションのレターケースの中にあります。

2.大型計算機年度末処理について

 毎年行われている年度末処理を、今年は 3月30日(木)・31日(金)の 2 日間に行います。年度末処理では、次の事項を行います。

・システムバックアップ

・年間ジョブ集計、課金集計処理

・課題登録、更新処理

・マスタファイルの切り替え

・CE ファーム改版作業

・重大障害修正作業と確認



長時間ジョブの イニシエータ は特に事前の停止は行いませんので、各自の判断で入力してください。 3 月 30 日の 9:00 までに終了しないジョブはキャンセルします。

GS 8300 / 10Nの MSP におけるジョブ出力結果は、 3 月 29 日までに取り出してください。又、取り出しできなかったジョブ出力は、MT にバックアップを取ってありますので、必要な方は4 月 3 日以後、内線 8391高橋まで連絡してください。

課題の更新をしない方は、3 月 29 日までにプログラム ・ データの MT 吸い上げを行い、ファイルの消去をしてください。 MSPの場合はデータのバックアップユーティリティには SASAR 、SASMV があります。


3.3 月・ 4 月の計算機年度末処理及び保守作業予定

3 月・ 4 月は、下記の通り年度末処理及び保守作業を予定しております。

M:メンテナンス





※13 月 21 日(火)に予定されていた VPP 800の保守作業は年度末保守が予定されているので中止します。

※2VPP 800は年度末処理に引き続き、FPFS 性能試験、システム動作試験等の作業を行いますので 4 月 1 日も運用します。運転再開は 4 月 1 日 22 時からです。

※34 月 17 日 8 時より 13 時まで Alpha Server の定期保守作業が予定されています。イニシエータクローズは特に行いませんので利用者の判断で入力してください。

(関口 豊)


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