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第75号 2000年1月14日発行

目次


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新年を迎えて

 あけましておめでとうございます。

 ニューミレニアム、西暦2000年を迎え、世の中を騒がした Y2K も大事に至らず迎えられたことはご同慶の至りであります。来月には ASTRO-E の打ち上げ。成功裡におさめ、これが宇宙研にとって真のニューミレニアムの幕開けとなることを願っています。今年は PLAIN センターにとっても21世紀への飛躍につながる大切な年になることでしょう。数少ないスタッフですが、一同、全力を尽くす所存ですので、これまで以上に皆様のご協力・ご支援をいただきますよう、よろしくお願い致します。

 まず、この1年間の当センターの活動を振り返ってみますと、「科学衛星データベース」DARTS(Data ARchive and Transmission System)の機能強化、センター計算機のリプレース、ネットワークの強化など、いろいろなことがありました。当センター活動の中心となっている DARTS では、国立天文台と共同で天文学データの多波長解析機能の開発や米国 NASA の太陽地球系データベース(CDAWeb)のミラーサイト構築などが進行中です。また、宇宙研が学術情報ネットワーク(SINET)のノードとなったことは宇宙研ネットワークの対外接続容量の大幅な増加になりました。さらに、米国 NASA の NSI(NASA Science Internet)との間に PVC 接続することが学術情報センターの計画調整会議で承認されましたので、一層の強化が計られる見込です。

 さて、昨今の最大の問題はネットワークの安全性の問題です。宇宙研では、衛星運用 LAN などについては従来から厳重なセキュリティの下で管理・運営されてきましたが、研究用のネットワークについては必ずしも統一したセキュリティ管理がされているとは云えませんでした。本研究所は全国共同利用機関として全国の宇宙科学関連の研究者との共同研究の推進を旗印にしており、また、大規模な国際共同利用プロジェクトが進行中です。従って、全ての衛星プロジェクトに数多くの所外の研究者が参加しており、その中には重要な責任を持っている主任研究者、さらに外国の主任研究者もいます。また、宇宙研の科学衛星の観測結果はいずれも世界的にもトップレベルになってきていますので、衛星で得られた科学データは単にプロジェクトチームのメンバーだけでなく、広く一般の研究者の利用に供することが求められています。それに応えるのは本研究所の重要な責務であり、DARTS はその中心的存在です。宇宙研の科学衛星データベースや計算機の資源も所外からできるだけ使い易くする努力をしてきました。一方、セキュリティの確保についてはサブネット管理者の努力により行われてきたわけですが、今や、パソコンからスーパーコンピューターに至る多種多様な計算機が所内外のネットワークを介して接続されており、それらの管理も限界に達しているように思われます。そのため、最近では不正侵入/踏み台/メール不正転送などが増加し、所内ばかりか所外へ新たな被害を生む温床となる例が増えています。不正使用されたマシンの利用者は、攻撃にあったことすら気付かないことが多く、往々にして二次的な攻撃を受けたサイトからの指摘で気付くこととなります。おりしも、昨年8月には「不正アクセス行為禁止法」が成立し、不正アクセス行為の禁止、処罰だけでなく、アクセス管理者による防御措置努力が求められています。場合によっては、踏み台にされただけで損害賠償の対象になる可能性があり、セキュリティの確保は必須の社会情勢となりつつあります。このような事情により、PLAIN センターでは本ニュースの昨年12月号でお知らせしましたようにファイアウォールの導入を検討しています。そのためのアンケート調査が皆様のお手元に届いていることと思いますが、ご協力の程よろしくお願い致します。    

(向井 利典)


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平成11年度宇宙科学企画情報解析センターシンポジウム

「ハイパフォーマンスコンピューティングの現状と展望」のご案内

 表記シンポジウムを下記要領で開催します。最終プログラムではありあませんが現時点での講演内容のリストを記します。チュートリアル的な講演などもありますので、最近の並列計算の動向などを知るよい機会になると思います。ふるってご参加くださるようお願い申し上げます。



  開催日時: 平成12年1月20日(木) 午前10:00〜午後5:00

  会場 : 相模原市立博物館




  「並列科学計算におけるプログラミングフレームワークの利用」


 太田 高志(日本 IBM)
  「MHD コードの並列計算とベクトル並列機の将来は?」


 荻野 竜樹(名古屋大学太陽地球環境研究所)
  「Skelton PIC Code on PC Cluster」 及び 「3D EM PIC Code using High Performance Fortran」


 蔡 東生、李 尭亭、陸 全明(筑波大学電子情報工学系)
  「並列プログラミングインタフェースの現状と課題」


 妹尾 義樹(NEC C&C メディア研究所)
  「並列化有限体積 TVD スキームによる宇宙空間 MHD シミュレーション」


 田中 高史(通総研)
  「地球シミュレータ計画の概要」


 谷 啓二(日本原子力研究所 地球シミュレータ開発特別チーム)
  「VPP800/12 による再突入体周りの流れ解析」


 寺本 進(宇宙科学研究所)
  「スーパーコンピュータで解く惑星間空間」



 中村 雅夫(京都大学超高層電波研究センター)
  「3次元電磁流体コードを用いた、原始星フレア・ジェットのシミュレーション研究と各種並列/超並列システムの性能評価」


 林 満(国立天文台・天文学データ解析計算センター)
  「3次元 Nested Grid を用いた、連星形成の研究」


 松本 倫明(法政大学 人間環境学部)

*以上、講演順序は未定。

(篠原 育)


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CDAWeb ミラーリング開始のお知らせ

 PLAIN センターでは現在 DARTS の新サービスとして NASA/GSFC の CDAWeb のミラーリングサイトの運営を準備中で、近日中に公開開始の予定です。詳しくは次号以降の PLAIN センターニュースで再度アナウンスしますが、今号では CDAWeb の簡単な紹介をしておきます。 CDAWeb とは "Coordinated Data Analysis (Workshop) Web" の略称でオリジナル・サイトのアドレスは http://cdaweb.gsfc.nasa.gov/cdaweb/about.html で、NASA のデータセンターで運営されています。 CDAWeb は ISTP と IACG によって企画された国際的なプログラムを補助する為のデータベースで、このデータベースから世界中の人工衛星や地上観測データ等の太陽地球系物理学に関連する様々なデータセットが公開されています。特に、CDAWeb のデータベースはすべての公開された ISTPkey parameter データを含んでおり、例えば WIND 衛星や POLAR 衛星などの ISTP 衛星群のデータを簡単に閲覧できるようになっています。CDAWeb から提供されるデータセットは ISTP/IACG ガイドラインに従って共通データフォーマット (CDF) で作成されており、これらのデータセットから複数の観測項目に渡って対話的にプロットやダウンロードができるような機能をもっています。 DARTS では太陽地球系物理学関連のデータとして Geotail 衛星の高時間分解データを提供してきましたが、CDAWeb との連携によって Geotail 衛星に関連する衛星のデータが簡単に閲覧出来るようになります。宇宙研でこのデータベースのミラーサイトを運営することが国内外の研究者に大きな利便性をもたらすものと期待しています。   

(篠原 育)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
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