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第68号 1999年6月11日発行

目次


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汎用機リプレース概要

 センター計算機と衛星運用計算機およびそれらの周辺機器がリプレースの時期を迎え、現在作業が行われ始めています。今回のリプレースは、科学衛星の運用システムの高度化や、宇宙科学データ処理・蓄積の高速大容量化等の背景をふまえて、データ処理機能の高速・大容量化を目指したものとなっております。またシステムの分散化、UNIX 化等に呼応した、多くの衛星運用ワークステーションや高機能端末の導入を実現しています。

 このリプレース計画は、PLAIN センターほか宇宙研の方々のご意見等をもとに検討を重ね、計算機運営委員会等での討論をもとに進められてきたものです。利用者の皆さんへの影響はできるだけ小さくするように努力致しますが、新システム移行に際しては、サービスの中断等、ご迷惑をおかけすることとなるかと思われます。

 よろしくご理解の上、ご支援をお願いいたします。

技術的概要

 新システムは衛星運用システム関連とセンター計算機関連、 UNIX サーバ関連、大容量ファイルサーバ(データベース)関連の4つに大別されます。

 衛星運用システムは、衛星運用支援計算機、衛星運用支援ワークステーション群等で構成され、専用のルータ経由で相互接続されています。衛星運用支援計算機は、現行システムと同等の性能を実現できる装置が導入されます。衛星運用ワークステーションは、運用に関する各機能ごとに、相応の性能の装置が各々導入されます。また、衛星運用支援計算機をリモートで使用できるようにするための端末サーバが導入され、高機能端末からの利用が可能となるように構成されます。

 センター計算機は、従来の MSP に対する需要を満たすに足るメインフレーム計算機が導入され、ルータ経由で所内の研究用 LAN(センターLAN)に接続されます。また、センター計算機をリモートで使用できるようにするための端末サーバが導入され、高機能端末からの利用が可能となるように構成されます。

 UNIX サーバ関連は、高速のスカラー計算を実現する高速計算サーバ、利用者のデータを格納するファイルサーバ、種々のI/O機能を備えた多目的サーバが導入され、先にリプレースされたスーパーコンピュータを加えて高度な科学技術計算等のサポートを行います。

 データベース関連では、従来より衛星運用システムとセンター計算機とで共用されてきた大容量データベース SIRIUS の他にも10TB 級のファイルサーバが使用目的ごとに導入されます。すなわち UNIX ベースの新 SIRIUS システム、公開用データベースとしての DARTS I、非公開データベースとしての DARTS II 等の大容量データベースが導入されます。

 これらの各構成要素の間は、高速のスイッチによって接続され、また KSC UDSC との間はマルチメディア多重化装置を用いて従来と同様の通信を行えることとなります。

 各研究室等に設置される高機能端末は、コンパクトな筐体と液晶ディスプレーを備えた省スペース型のパーソナルコンピュータが導入されます。

 なお,スーパーコンピュータの周辺機器として高性能の画像処理サーバが今年度末に導入される予定となっており,スーパーコンピュータと機能が重複する高速ベクトル計算サーバ(VX/2)および画像処理サーバは今回のリプレースには含まれていません.また,センター計算機としては MSP 機の導入は今回のリプレースが最後となる予定です.すなわち今回のリプレース期間中に SIRIUS を新システムに完全に移行することにより,次回のリプレース以降は MSP センター計算機は導入しない方針が計算機運営委員会により示されています.





(三浦 昭、篠原 育)


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新スーパーコンピュータシステム稼働開始

 新スーパーコンピューターシステム VPP800/12 が5月にテスト運用を無事に終え6月1日より正式な運用を開始しました。すでに多数の計算ジョブが投入され期待通りの利用状況になりました。(なお、従来の VPP500/7 システムはVPP800/12 の正式公開にともない運用を停止しました。)VPP800/12 システムは12個のプロセッサからなり、1つのプロセッサの性能が約8 GFLOPS、システム全体のピーク性能としては96 GFLOPSのベクトル並列計算機です。メモリーは1つのプロセッサあたり 8 GB(12プロセッサ中8台)または 16 GB(12プロセッサ中4台)、全体で 128 GBを搭載しています。従来機の VPP500/7 でのフロントエンド(GSP)とバックエンド(BEP)の区別が無くなり、VPP800では12個のプロセッサの内1台を TSS に、別の1台を I/O 用に割付けています。実際の計算は非並列、4並列、10 並列の計算ができるようになっており、ジョブは NQS (Network Queing System) を通じて実行されます。ジョブクラスに関しては今秋に新しい NQS システムへのアップデートを控えており、新しい NQS の下ではより自由度の高い運用が行われるようになる予定ですが、当面は VPP500/7 の時とほぼ同等の運用を行うこととなります。

 OS は従来機と同じく UNIX(UXP/V)が採用されており、Fortran 95、C、C++のコンパイラ、SSLII等の数値計算ライブラリ等、が利用できます。データ形式は IEEE で標準的なワークステーションとバイナリーレベルでデータの互換性があります。磁気ディスク装置は一時データ領域として約 1 TBが用意されています。メモリ容量が増えたこともあり、データ保存領域が不足しがちになるかと思われますが、スーパーコンピュータの周辺機器としてさらに1 TB の磁気ディスク及び約 10 TBのテープライブラリ装置を導入する計画が現在進行中です。しばらくの間はディスク領域に窮屈な思いをすることもあるかと思いますが、辛抱していただきたいと思います。最後になりましたが、VPP800/12 システムの利用の手引きを現在準備中です。スパコンユーザーの方々には早急にお送りしますので、利用方法の詳細は手引きをご覧下さい。

(篠原 育)


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大型計算機に関するお知らせ

1.大型計算機の6月・7月の保守作業の予定



※1 M:システムメンテナンス
※2 VPP 800 / 12 のクローズ処理を19日8:00から行いますので、それまでにバッチジョブ・TSS ジョブは終了してください。又、今回はイニシエータクローズを前日の20:00に行います。19日8:00の時点で BEP 側で実行中のジョブは強制終了により保守作業を行います。又今回は VPP 500 撤去作業とVPP 800 仮設電源撤去及び電気系統振り直しを行います。

・VPP 800 の運転再開は21日(月)9:00からになります。
※3 VX / 2 は8月にリプレースが予定されて居るため7月の保守作業は行いません。


2.計算機各種イベント

(a)VPP 800 の課金について
   VPP 800 の一般運用開始と共に6月1日から計算機使用料金が課金されます。料金パラメータは VPP 500 と同一のレートです。


(b)GS8400 / 20 のリプレースについて
  GS8400 / 20 は7月11日から14日にかけて GS8300 / 10N にリプレースされます。新システムは7月15日(木)9:00より運転開始です。尚使用料金は8月31日まで無料です。


  (1) 計算機停止前日10日(土)18:00で、長時間イニシエータの停止を行います。11日(日)8:00システム停止(GS8400 / 20 運用終了)
  (2) 計算機停止当日、実行中のジョブは全てキャンセルされます。
  (3) SYSOUT ジョブは、一応バックアップしておき、新システムで SYSOUT が必要になったユーザには、個別で対応します。尚 SYSOUT データはバックアップ処理の時点で課金されますので、不要なジョブは各自で事前に消去して下さい。
  (4) ファイル関係は新システムにセンター側でコピーしますが、安全のため、各自コピーを取って下さい。コピー用ユーティリティには SASMV と SASAR があります。コピー用 MT を無料で差上げますので山本(内線8388)まで申し込んでください。


(c)ネットワーク工事に伴う計算機アクセス停止について

  7月11日(日)9:00〜7月12日(月)の間ネットワーク工事のため大型計算とのアクセスは全て出来なくなります。対象機器は相模原キャンパス内センター計算機です。


3.その他 

(a)グラフィックスサーバ利用料金について

  今年度の課題登録時にグラフィックスサーバ利用するとして申請された ID には3万円の課金をしました。しかしグラフィックスサーバが 8月にリプレースされ、次期システムが年末になる様ですので、今年度は無料とします。課金されたものについては予算額に充当し、それ以外のものについては請求金額を修正します。

(b)OA ディスク

  センターで使用していた OA ディスク(W120×D80×H67 cm)複数台が不要になりましたので、研究室で利用されたい場合には無料で差上げます。

(c)新 FMV 端末

  5月に FMV 端末のリプレースに関するアンケート調査を行い、ご協力ありがとうございました。新 FMV 端末に多少の残数がありますのでご希望の研究室は申し込んで下さい。

(d)VPP 800 利用手引書

  VPP 800 の利用手引書(暫定版)が完成しました。手引書は次の人の所に有りますので、ご利用ください。

  ・藤井 (8258) ・篠原 (8404) ・山本 (8388) ・関口 (8386)


(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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