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第64号 1999年2月10日発行

目次


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宇宙科学データ解析研究バーチャル・センターの概要(前編)

 先月の PLAIN センターニュースで科学技術振興事業団の「計算科学技術活用型特定研究開発推進事業」に基づく「宇宙科学データ解析研究のためのバーチャル・センターの構築」計画の発足について御案内致しました。この機会に PLAIN センター発足に至る経過、DARTS システムの現状など宇宙科学データ解析研究バーチャル・センター提案に至る背景を振返り、本計画の理念、構想と具体的開発目標を紹介し、最後に宇宙科学データセンターとしての PLAIN センターの将来を展望したいと思います。

1. 背景

 昨今宇宙研の科学観測衛星プロジェクトは大型化し、その開発・製作に要する経費も一機100億円を越すようになってきました。当然これらの科学観測衛星プロジェクトで得られる科学的成果については、その研究上の生産性(論文数)のみならず、成果の質が厳しく評価されなければなりません。実際に現在では宇宙研のプロジェクトで得られる科学観測データは、国際的にも非常に価値の高い科学的資源と評価されるようになりました。そして、得られたデータは、単に衛星プロジェクトチームが一時的に利用するのみでなく、恒久的な資源、アーカイブデータとして長く維持管理され、利用し易い形式で一般研究者に公開されることが望まれるようになってきました。

 例えば太陽物理衛星「ようこう」やX線天文衛星「あすか」では米国航空宇宙局(以下 NASA)とは機器製作での協力に留まらず、アーカイブデータの構築やその解析ソフトの開発も協力・共同して行っています。国際データアーカイブ・ワーキンググループ会議からは、地球磁気圏観測衛星「ジオテール」のデータについても宇宙研が主導して、全データの組織的なデータベース化を早急に行うよう要請されています。イギリス、イタリア等のデータセンターのからは「あすか」アーカイブデータのミラーサイトになりたいとの申し出を受けています。これらはいずれも宇宙研の近年のプロジェクトで得られるデータの価値の高さを物語るものでしょう。

 このような状況に対応するため、宇宙研では平成5年に当センターの前進である資料解析センターを改組拡充して、宇宙科学企画情報解析センター(PLAIN センター)を設立しました。そして平成7年よりデータアーカイブシステム(愛称:DARTS)の構築に取り掛かり、平成8年より宇宙研の観測衛星で得られた資源の一部の一般公開を始めたところであります。

2.理念

 宇宙研 PLAIN センターの1つの役割・機能として、計算機・ネットワーク・衛星観測データの維持管理という観測業務的側面があります。計算機・ネットワークについては所内ユーザーの便宜を計ると共に衛星運用・管制系の維持管理が当 PLAIN センターの重要な役割であります。

 もう1つの重要な課題が宇宙研の衛星プロジェクトで取得されたデータを較正・編集してアーカイブデータとして全国の研究者に公開することです。当 PLAIN センターではそのために DARTS システムの構築を始めております。私達はこれを進めるにあたり、当センターが単にサービス機関として機能するのではなく、このアーカイブデータの構築に研究的な視点で取り組む事が重要と考えております。全国大学等共同利用機関としての宇宙科学研究所のデータセンターである限り、全国の研究者が学術研究用として利用し得るデータを発信することは当然の任務です。しかし一方優れた、利用し易いデータを発信していくためには、当センター自身が宇宙科学を研究する先端的なセンターでなければならないと考えています。そしてその研究員自身が宇宙科学において創造的、発見的成果を挙げる事のできる優れた研究者の集団でなければならないでしょう。

 このような視点で開発・研究をすすめておりますが、全国の研究者の期待に答えるには、現在の PLAIN センターの規模は極めて不十分である事も確かです。一方宇宙研では各衛星プロジェクトの遂行を、その分野で最先端の研究を続けている研究者が全国の関係大学・研究所の研究者と協力してその推進に当たっています。同様にこれら衛星プロジェクトチームや全国の関係大学・研究所と密接に協力・共同することで、たとえ当 PLAIN センターは小規模であっても、これを核としてアーカイブデータの構築やこれを用いたデータ解析研究を効率的に進める事ができるでしょう。これが DARTS からバーチャルセンターへの発展の原点です。次回は DARTS の現状とバーチャルセンター構想についてお話しします。

(長瀬 文昭)


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大型計算機共同利用研究公募のお知らせ

 宇宙科学研究所 PLAIN センターでは、全国共同利用研究の一貫として、本研究所が行っている飛翔体(科学衛星、ロケット、大気球)による宇宙理学及び宇宙工学の研究と密接に関連する次の二分野で共同研究課題の公募を行います。


(1)宇宙科学観測の総合解析に関する共同研究
(2)数値シュミレーションに関する共同研究

本研究所で利用できる計算機としては、MSP システムの GS8400 / 20(汎用スカラー計算機)と UNIXシステムの VPP800/12(12並列ベクトル計算機)、DEC AlphaServer (高速スカラー計算機)があります。なお、GS8400/20及びDEC AlphaServerに関しては平成11年の8月に新しい計算機にリプレースされる予定です。また、本共同利用研究では各大学の大型計算機センターを利用することも可能です。平成11年度の締め切りは、2月26日(金)で、応募書類は各大学の事務室宛に送ってあります。
尚、本公募に対するお問い合わせは、
 宇宙科学研究所
 研究協力課共同利用係(042-759-8019:ダイヤルイン) までお願いいたします。

(篠原 育)


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転任にあたって

 宇宙研では5年間お世話になりましたが、その月日の経つ早さに驚くばかりです。この5年間は、主にジオテイル衛星データ解析やその理論研究などと同時に、 PLAIN センターでは、計算機・ネットワークの管理・運営やサイエンス・データベース(DARTS)のプロジェクトに関わりました。取分け力を注いだのは DARTS プロジェクトですが、本当に多くの方の協力を得て、何とか形だけは整えられたと思っております。どのようなサイエンス・データベースが研究者に必要なのか、またその要求に応えるデータ・システムは、どの程度の規模のプロジェクトとして開発を進めればよいのか、いつも DARTS メンバーと悩みながら歩んできました。幸い DARTS の利用者も国内外とも少しずつ増えてきており、その有用性も認知されつつあることをうれしく思っております。まだ沢山の課題が残っておりますが、今後とも微力ながらも何か協力できればと考えております。特に、次期計画として走り始めた、全国の大学・研究所の研究者と協力してデータ構築を進める「データベース・バーチャルセンター構想」では、転任先の東大からも参加させていただこうと思います。これまでどうも有難うございました。

(星野 真弘)


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大型計算機に関するお知らせ

1.課題更新手続きについて

 現在利用されている課題の有効期限は、3月31日迄となっておりますので、次年度も引き続き利用される課題の更新手続きは、3月19日(金)迄にお願いします。課題申請用紙は3月2日(火)にお送りします。

2.大型計算機年度末処理について

 毎年行われている年度末処理を今年は、3月30日(火)・31日(水)に予定しておりますのでよろしくお願いします。詳細スケジュール、内容については3月号でお知らせします。

3.2月・3月の計算機保守作業予定

 2月・3月の定期保守作業及び年度末処理は下記の通り予定しております。尚3月の VPP 500 の保守はリプレースが予定されているので中止します。


M:システムメンテナンス

4. スーパコンの VPP 500 は3月19日(金)にリプレースが予定されて居ります。スケジュールは現在検討中ですので詳細な内容については3月号でお知らせします。


5.2月15日センター計算機の一時運用停止について

(1) 2月15日の GS 8400 / 20、DEC Alpha の定期保守と同時に VPP 800 / 12 の導入に伴なう事前作業として、機器移設・電源工事・ Giga Router 定義変更を行います。

(2) そのため VX / 2 (システム凍結)、 VPP 500 / 7(システム凍結)は 8:00〜13:00 の間運用停止します。

(3) 一時的にネットワークが切断される計算機(10:00〜11:00)は以下の通りです。 利用者管理サーバ・多目的/デバッグサーバ・SGI PowerIndigo2・NetBlazer・GigaRouter

(関口 豊)


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