前号へ 次号へ 宇宙科学企画情報解析センター ISASホームページ バックナンバー


第5号 1994年2月10日発行

目次


先頭へ


 

新スーパーコンピュータシステム稼働を開始

 新しいスーパーコンピュータシステムVPP500/7の運用が1月5日より開始され、順調に稼働をしています。すでに多数の計算ジョブが投入され、利用状況は期待通りといえます。システムの構成を表1にまとめておきます。詳細はPLAIN NEWS 第12号をもう一度ご覧下さい。

 プログラム編集はサーバーワークステーションやGSPにおいて行います。計算ジョブはGSP上からNQS(Network Queing System:UNIX環境でのバッチシステム)を利用してGSP、BEPのどちらの計算機にも依頼できます。GSPの利用の仕方は、O.S.がM1800の一部と同じUXPとなったことを除いてはこれまでのスーパーコンピュータと同じです。BEPは、通常のスーパーコンピュータとしても、また高性能の7台までの並列型計算機としても利用することもできますが、後者についてはプログラム並列化の知識が必要なため、利用者がまだ少ないのが現状です。ある種の計算では比較的容易に並列化をすることが出来ますので、今後積極的に利用していただきたいと思います。どういうプログラムがスーパーコンピュータに向いているのか、またどうしたら高速に計算処理が行うことが出来るのかを知っていただくために、次号から数回にわたって簡単にプログラムベクトル化や並列化についてご説明しようと思っていますので興味のある方はそちらをご覧ください。

 これまでと違って、このスーパーコンピュータではいわゆるベクトル化の低いプログラムでも汎用機M1800と同程度の性能が期待できます。これまでM1800のユーザーであった方は是非お試しいただきたいと思います。すでに手元でワークステーションを利用されている方も多いと思いますが、VPP500/7のBEPは標準的なワークステーションとバイナリーレベルでデータの互換性があります。フロントエンドのGSPはM1800のUXPと同じくUNIXといっても標準的なワークステーションとは異なるUXP仕様である上、M1800のMSP側では富士通のオリジナルフォーマットです。3つのデータ形式が存在し、少し混乱されるかもしれませんが、全体をUNIXのシステムに移行していく過渡的な状況ですので、しばらくはSEに相談するなどして、辛抱していただきたいと思います。

表1 新システムの概要
システムGSP(フロントエンド)BEP(バックエンド)
プロセッサ数17
性能1 GFLOPS 程度1.6 GFLOPS × 7
メモリー256 MB256 MB × 7
O.S.UXPUXP/VPP
データ形式M 形式IEEE
主な仕事
 
 
 
NQS ジョブのサブミット
プログラムの編集
ベクトルジョブの処理
スカラージョブの処理
並列ジョブの処理
ベクトルジョブの処理
スカラージョブの処理
 

(藤井 孝蔵)


先頭へ


 

衛星運用と計算機(第一回)

 現在宇宙研では「さきがけ」('85)、「あけぼの」 ('89)、「ようこう」('91)、「GEOTAIL」('92)、「あすか」('93)の5機の衛星を運用しています。
衛星の運用で使う計算機について

1)テレメータデータ系
2)コマンドデータ系
3)追跡データ系

に分けて説明します。(なお、「さきがけ」関係の記述は省きます。)

1)テレメータデータ系

@データ取得、転送

 KSCUDSC(臼田)に富士通ミニコンA400 を置きリアルデータ、データレコーダ再生データを収集、ディスクに記録します。「ようこう」、「あすか」のデータ取得では KSC の富士通ミニコンS3500 (QL/DL用)が、A400 バックアップの役割を果たしています。

 リアルデータはリアルタイムに SSOC(相模原)の M770/10#1 (以後#1と略記)に転送されます。
KSCでは10mと20mアンテナ系で同時に運用できますから、リアルタイム転送では64kbps(「あけぼの」)と32kbps(「ようこう」又は「あすか」)を同時に行う事が可能です。

 再生データは時刻づけ(テレメータデータ内のカウンタから観測時刻を計算する)をしないで、再生データの受信終了後 SSOC へ転送されます。

 KSC、UDSC の A400 ではデータ収集、記録、転送の他に、リアルタイムデータの時刻補正を行っています。復調器と計算機 A400 の間にある I/F 装置で毎フレーム時刻を付加しますが、その時刻からフレームの同期時間を差し引いた値に置き換えます。

余談その1)
 GEOTAIL 打上げ直後、KSC と UDSC で同時にテレメータデータを受信しましたが、同じデータでも時刻に百数十ミリ秒の差がある事が加藤(輝)氏によって発見されました。衛星と KSC、UDSC との距離の差にしては値が大きすぎ、そこで疑われたのがこの時刻補正でした。補正前後の値が保持されていたので結論は「白」となりましたが、その後この問題はどうなったのでしょうか。

余談その2)
 相模原では ASTRO-D 初期運用リハーサルも終え、後は衛星誕生を待つばかりの時です。SIRIUS 使用手引書(暫定版)を読み直していると、データ取得時の時刻補正と同じ処理を行う(つまり補正が二重になる)と記述されているではありませんか。「ぎんが」('87年)以来、データ取得伝送用の計算機で行ってきたので周知のことと思っていましたが、それにしても気が付いてよかった。こういう行き違いは見つけにくいし、影響も大きいから本当に怖い。

 次回は M770/10#1 での処理について述べる予定です。
(周東 晃四郎)


先頭へ


 

大型計算機に関するお知らせ

氈D課題更新手続きについて

 現在利用されている課題の有効期限は、3月31日迄となって居りますので、次年度も引き続き利用される課題の更新手続きは、3月18日(金)迄にお願いします。課題申請用紙は3月7日(月)にお送りします。

.VPP500 用マニュアルについて

 VPP500 用マニュアルをA棟4F,7FサブステーションとB棟1Fオープン室に用意しました。御利用下さい。
マニュアルは、下記の通りです。

  
UXP/M
 PEXライブラリ 使用手引書
 FORTRAN77 EX/VP 使用手引書
 C/VP 使用手引書
 VPP FORTRAN EX/VP 使用手引書 V12用
 VPP FORTRAN EX/VPP 使用手引書 V12用
 VPP ANALYZER 使用手引書 V10用
共 通
 FUJITSU PEX 文法書 C言語編
〃 
 FUJITSU PEX 文法書 FORTRAN編
〃 
 FUJITSU PEX 解説書

。.システム・プログラム相談窓口について

 システム・プログラム相談の窓口は、原則として SE 高橋氏(内線2063)が受け、相談内容の切り分けにより各担当者が対応しますので御協力お願いします。

 尚、VPP500 並列処理プログラム相談については、3月31日迄、坂下氏(内線2072)が対応します。

1/10 〜 3/ 4
 月、水、金曜日
3/ 7 〜 3/31
 火、木曜日

「.大型計算機年度末処理について

 毎年行われている年度末処理を今年は、3月30日(水)・31日(木)に予定して居りますのでよろしくお願いします。
詳細スケジュール、内容については3月号でお知らせします。

」.大型計算機2月・3月の保守作業予定

M:システムメンテナンス

2月18日(金)
9:00 〜 13:00
3月18日(金)
9:00 〜 13:00
3月30日(水)9:00
〜 31日(木) 21:00
M1800 M M、年度末処理
VPP500 MM、年度末処理
M770#2  M、年度末処理

以上を予定しておりますので、ご協力お願い致します。
(関口 豊)


先頭へ


 

大型計算機共同利用研究公募中

 企画情報解析センターでは、来年度の大型計算機利用による研究を受け付けております。研究テーマは、宇宙科学研究所が行っています飛翔体による宇宙観測と直接、間接に関連するもので、宇宙研の大型計算機(M-1800,VPP-500)及び各大学の大型計算機センターの計算機を利用する事が出来ます。応募書類は、2月10日付けで各大学の長、又は学部長、及びこれまで共同研究に参加された研究グループ宛に送付してあります。公募に関係するお問い合せは、宇宙研研究協力課共同利用係(内線2234)又は当センター迄お願い致します。
(小原 隆博)


先頭へ


編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
〒229 神奈川県相模原市由野台 3 -1-1 (Tel 0427-51-3911,内線 2611)