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第49号 1997年11月17日発行

目次


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衛星運用工学データベース(EDISON)

 近年、宇宙研の科学衛星も次第に大型化・高機能化し、得られる科学的成果も大きく飛躍してきた。現在活躍中の「ようこう」は太陽物理学、「あすか」はX線天文学、「あけぼの」 「GEOTAIL」は太陽地球系物理学のそれぞれの分野で世界をリードしているといっても過言ではない。これまで当センターニュースでお知らせしてきたように、PLAINセンターでは、それぞれの衛星プロジェクトと協力しながらこれらの科学的成果を広く一般の研究者に活用してもらうべく「サイエンスデータベース」を構築中である。一方、これらの科学的成果は衛星の機能が滞りなく働いていているからこそ得られてきたもので、日々の衛星運用・管制には細心の注意が払われていることはいうまでもないことである。 「工学データベース」というのは、これら衛星運用上必要な工学的共通データベースのことである。このような工学データベースの必要性・重要性はいうまでもないことで、以前から相模原衛星管制室の衛星運用計算機で作られていた。しかし、衛星管制・運用支援システムが最近の UNIX システムへ移行するに伴って今や時代遅れのものとなり、実用的でなくなってきた。そこで、当センターでは新たにここで紹介するような「工学データベース」を構築すべく現在その準備を進めている。

 このデータベースには上記主旨をそのまま表した宇宙科学研究所衛星運用工学データベース、英語名が Engineering Database for ISAS Spacecraft Operations Needs : EDISON(初代センター長、中谷一郎命名)と言う立派な(立派すぎる?)名前が中身も出来ていない現段階で既に付けられている。これまで検討してきた EDISON の大まかな構想は以下の通りである。

1)データ内容 2)データの配布 3)データ形式 4)対象衛星 5)データ範囲  現在、具体的な対象項目の選定、ネットワークとの関連、サーバの機種選定など厳しく限られた予算内で実現するための具体方法の検討を始めたところである。構想が見えてきた段階で関係者各位のご意見を頂いて、Edison の顔を潰さないよう価値あるデータベースを構築するように努力していくつもりである。皆様の貴重なご意見を頂ければ幸いです。
(向井 利典、橋本 正之)

(連絡窓口)
 宇宙科学企画情報解析センター、橋本正之
 内線 2007, E-mail: masashi@nnl.isas.ac.jp


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DARTS FAQ

 本年 5 月に DARTS SYSTEM が試験公開されてから、はや半年が過ぎようとしております。その間に、ユーザーの皆様から、使ってみてわからないところ、改善して欲しい点など、いくつか御意見/御要望をおうかがいすることが出来ました。そこで、今回はいただいた御質問/御意見を、いくつか選んで紹介させていただき、併せてそれらに対する回答を載せさせていただこうと思います。なお、本文のうちの一部は、FAQ として、DARTS のホームページから辿れるようになっておりますので、どうぞ御利用下さい。

 また、DARTS システムに関する御意見/御要望は、お気軽に comments@darts.isas.ac.jp までお知らせ下さい。皆様の御意見を反映し、できるだけ使いやすいシステムとしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。

Q : オンライン解析で作ったファイルの転送方法は?

A :   作成されたファイル等は以下の手順で転送することができます。DARTS.オンライン解析システムでは、セキュリティ保持のため通常の ftp コマンドが使用できないようになっています。悪しからずご了承下さい。また、近いうちに、下記の 1. 2. の作業をしなくてもいいように、改善いたします。

  1. DARTS のホームページから、データ検索画面に入り、検索を行います。(特にデータ検索の必要がなくても、とりあえず何かしらの検索をしてください)

  2. 適当なデータを選択し、「ANALYZE」ボタンを押します。(特に必要なデータなくても、とりあえず何かしらファイルを選択してください)

  3. 「DARTS File Transfer」という画面が出てくるはずですので、ここで、解析の時お作りになった「User ID」と「passwd」を入力して下さい。
  4. 「DIRECTORY」というボタンが、箇条書の4番めにありますので、こちらをクリックしてください。このボタンで、ホームディレクトリを見ることができます。

  5. 「DIRECTORIES and FILE」という画面が開きます。この画面では、ファイルの転送 (down load のみ) の他に、ファイルの削除、移動、ディレクトリの作成、削除などができるようになっています。御希望のファイルを下の段のボックス から選択して、「download」というボタンを押して下さい。ファイルが転送されます。

Q : 前にユーザー登録して作ったデータがなくなっている!?

A :  オンライン解析システムのデータ保持期間は ID 登録後 1 週間です。 この期間を過ぎますと、ID 及びデータディレクトリは自動的に削除されます。作成されたデータは、早めにご自分のワークステーションに転送されることをお勧めします。

Q : ファイルのディレクトリ構成が見えるとうれしいです。

A :  現在、ASCA, YOHKOH のデータに関しては、解析用ワークステーションから nfs マウントしてデータディレクトリが見られるようになっております。このため、asca なら、/pub/asca/[seq-id]、yohkoh なら、/pub/yohkoh/[date]、というディレクトリからデータを辿ることが出来るようになっております。シェル等で連続検索/解析などを行う場合、こちらを御利用下さい。

Q : より細かい条件で観測対象の検索を行いたい。

A :  X 線衛星 (ASCA, Ginga) のデータ検索画面の左下に「Further Search」というボタン があります。こちらをクリックしていただくと、より詳しい条件で検索が行えるようになっております。

Q : アーカイバル天体(できれば観測ずみ天体、観測予定天体も含む)について、例えば BL Lac 型天体、低質量X線連星などと天体ごとに種別(例えば NGC4151 に対して AGN, セイファート銀河)をデータベースの検索パラメーターの一つに含めることは出来ないのでしょうか?

A :  現在、ご希望とされるような詳細な分類が出来るパラメータはありません。しかし、詳細検索画面(astrophysical database から "FURTHER SEARCH" のパラメータが あり、"AGN", "X-ray binary" というレベルでのしぼりこみは可能です。(ただし、それだけを選択されると膨大な数になり、全てを出力できないので、適当に、観測時期や、"PV/AO phase" パラメータと併用して使うことをお勧めします。)

(宇野 伸一郎)


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新 人 紹 介

 11月1日付で PLAIN センターの助手に着任いたしました篠原育と申します。 PLAIN センターでは現在、DARTS と呼ばれるサイエンスデータベースの構築/公開という大きなプロジェクトが進行しておりますが、私に与えられた大きな課題の1つは GEOTAILあけぼの両衛星のデータベースの構築です。現在の、各国の衛星が相互協力して太陽地球系環境を総合的に理解しよう、という世界的な流れの中で DARTS に対する期待や DARTS の果たせる役割は決して小さくないでしょう。このような重要な仕事を任されることになり身の引き締まるような思いが致します。微力ではありますが、皆さんの御要望・御意見などを採り入れて使いやすいシステムを構築したいと考えておりますので、どうか宜しくお願い致します。

 最後に余談ですが、名前の「育」と字はそのまま「いく」と読みます。子供の頃から名前だけを聞いて女の子と間違われますことが多いです。 そんなでしたから、昔は自分の名前を言うのが恥ずかしくてしょうがなかったのですが、名前を覚えていただきやすいというメリットもあるのかな、等と大きくなってからは思ったりします。名前程も可愛くない男ですけれども御見知りおき下さい。
(篠原 育)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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