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第38号 1996年12月6日発行

目次


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あけぼの」サイエンスデータベース

 宇宙からのオーロラ観測と、オーロラ粒子の加速領域を調査する目的で、第12号科学衛星「あけぼの」は1989年2月22日に打ち上げられた。その後、史上最大の磁気嵐を観測するなど、多くの成果を出しながら、現在もなお観測を続けている。私は、フライトモデルの製作がはじまる時期に宇宙研に職を得たが、振り返ると、はや10年が経過している事になる。

 「あけぼの」衛星の運用およびデータ処理システムの担当として、具体的にシステムを構築を開始した時期(86年ごろ)は、UNIX計算機が巷に出始めた時期でもあった。一部の分野でこそUNIX計算機は活躍しはじめていたが、「あけぼの」衛星の運用、データ処理システムは、リスクを避ける意味もあって、すでに確立されたシステム(即ち、汎用大型計算機を用いたシステム)で、行なう事になった訳である。

 「あけぼの」の運用上、特筆される事に、相模原からのリモートコントロールがある。今でこそ、ネットワークを介してのリモート運用はあたりまえであるが、「あけぼの」は、専用回線を利用した運用形態をとったはじめての衛星である。この利点は、科学観測の結果をすぐ見られる(クイックルック出来る)事にも現れた。その結果、多くの新しい発見が、クイックルックのモニターを見ながら行なわれたのである。

 さて、テレメータのビットレートは65kbpsと、これまでの衛星のレートに比べると1桁ほど大きくなった。さらに、南極の昭和基地、カナダやスエーデンなど、世界の地上局に「あけぼの」の受信を支援して戴く事になったので、衛星からのデータ量は、じつに1日に150MBを越える膨大な量になった。そして8年、都合1テラバイトを越えるデータが、貴重な財産として我々は手に出来ている。

 グループ内のみならず共同研究を推進する目的で、コンパクトなデータベースの作成をスタートさせたのが、93年初頭。そしてこれに「あけぼのサイエンスデータベース」とのネーミングを与えたのはマネージャーの鶴田教授である。打ち上げから数年が経過した93年、世の中は、UNIX計算機の全盛時代を迎えていた。インターネットと呼ばれるネットワークも宇宙研に接続された。そのような時代背景にあって、迷わず「あけぼのサイエンスデータベース」は、UNIX計算機が管理するネットワーク対応のデータベースになった。

 宇宙研の汎用大型計算機下に存在する衛星の生データを呼び出しつつ、同時に加工、物理量に変換する作業を、衛星搭載の全観測機器(9つある)について行なう作業が、それぞれの担当の努力で行なわれた。そしてー昨年までの観測データについては、今秋、おおむねデータベース化が 終了した。

 今年の9月19日の第40回「あけぼの」運用会議にて、このデータを一般に公開することが決められた。あけぼの衛星のデータに興味のある研究者は、ネットワーク経由でデータをftpすることが出来るようになった。

 さて、「あけぼの」プロジェクトでは、当PLAINセンターの協力を得つつ、これから本格的に、データ利用の宣伝に乗りだす予定である。「あけぼのサイエンスデータ」は、20GBに及ぶ大きなものであるが、昨今のネットワークの発展は、数10GBのデータの転送を容易にしている。さらに、将来的には、媒体を利用した配布も計画されており、これまでの運用チームの労力は、これからの共同研究の成果に結実することになる。

 私自身、今回の仕事を通じ、衛星に関する多くの事柄を実地に経験出来た。この事は、これからの他の仕事においても、役立つものである。データベースの完成の時期に、一言、感想めいた事を書かせて戴いた。 



 *付記;「あけぼの」衛星は、筆者の知るかぎりに於て、放射線帯中を飛翔する衛星としては、最も長命な衛星になった。記録にこだわるわけではないが、どこまでギネスを伸ばせるか?もう一つの楽しみでもある。
 (小原 隆博)


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KSC ネットワーク整備経過

 現在、鹿児島宇宙空間観測所は相模原キャンパスとの間を結ぶ専用線(DMIX)を経由して、所内外のホストへの IP 接続が行われています。当初は9月中に行われた作業で「学術情報ネットワーク」の 1.5 Mbps の回線に接続されることになっておりましたが、現在に至っても技術的問題が解決されないため正式な接続作業を見合わせております。

 これより先の期間は鹿児島へ行かれる方々も飛躍的に増加すると思われますので、「ピーク時までには」と 原因の究明には全力を挙げておりますが、今しばらくの時間が必要と思われます。現在の回線容量では、使用時に皆様にご迷惑をおかけすることになるとは思いますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申しあげます。
(長木 明成)


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大型計算機に関するお知らせ

I.12月・1月保守作業予定 M:システムメンテナンス     



  ・
VPP500の12月16日 (月) の定期保守は中止して12月28日に行います。

  ・
SIRIUSデータファイル定期保守のお知らせ
平成8年12月15日(日)9:00〜16:00
この間 SIRIUS アクセス不可。(担当者:加藤)

II.大型計算機の年末・年始の運転スケジュ−ル


 12月28日の作業は OS の修正作業のため、システム内にジョブが無い状態で作業をしますので、保守作業開始までに終了出来ない可能性のあるジョブ (27日の夕方及び 28日8:00の時点で実行中のジョブ) はキャンセルさせて頂きます。又、VX 及び DEC については特に入力制限は行いませんが、各自計画的に入力して下さい。


III. 計算機登録予算の移算締切りについて     

 前年度と同様、今年度も下記日時で計算機登録予算の移算処理を締め切 らせていただきます。

締切日 平成8年12月27日(金)15:00

 尚、上記日時以後も予算追加は出来ますが、その追加予算は翌年度移算となりますので配当が確実なものに限って下さい。

IV.手引書のご案内        

 簡単な利用手引書ができましたので、必要な方は下記に申し込んで下さい。

申し込み先:内線 2051, 2053, 2063, 2072
 1
MSP からネットワ−クプリンタ (F6471NT) に出力するための手引書
 2
VPP500ジョブ実行制御機能説明書
 3
ネットブレ−サ使用手引書
公衆回線から TTY 手順で宇宙研内にログインする方法
(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
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