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第34号 1996年8月6日発行

目次


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新SIRIUSシステム
(第3回:最終回 脅威的に増え続けるデータに対応して)

 現在活動している宇宙研の5つの科学衛星によって年間取得されるデータが400ギガバイト(これでも膨大な量だと思いますが)に対し、2000年に打ち上げが予定されているASTRO-E衛星では、年間500ギガバイトのデータの取得が見込まれています。その2年後に打ち上げが予定されているIRIS衛星も同程度のデータ取得が見込まれています。この2衛星だけで年間1テラバイト(1,000,000,000,000バイト)と言う脅威的なデータを取得することになります。新SIRIUSシステムは、この様な正に脅威的な量のデータに如何に対応するかを課題として現在開発が進められています。

 新SIRIUSシステムの主眼とするところは、データの高速アクセス、そしてデータの高速転送にあります。スーパーコンピュータが並列演算によって超高速演算を実現している様に、新システムでは多数のワークステーションを平行運転することにより負荷を分散し平均的なデータアクセス速度やデータ転送速度の向上を図ろうとしています(下図参照)。そして、衛星ごとに独立したシステム構成とし、相互に干渉しないシステムを考えています。

 新システムの基本的な考え方は、

1)複数のワークステーション(ファイルサーバ)を一つの衛星に対し割り当て、CPUやファイルアクセスの負荷を分散する。
2)ハードディスク上に最新の3、4カ月(出来れば6カ月)のデータを置けるようにし、データアクセス速度を向上させる。
3)各ワークスステーション間を高速ネットワーク(現時点では100MbpsのLAN)で結合しシステムを一体化したものとする。
4)衛星ごとに独立した大容量ファイル装置(CD−ROM、DVD等)を割り当てる。
5)全衛星データのバックアップ系として大容量の磁気テープライブラリ装置を設置し(DLT,IBM−3590等使用装置)機器やデータの異常時に対応する。
6)その時々の最高速(能力)のワークステーションやデータ格納用ファイル装置を順次追加できる柔軟なシステムとする。と言うことです。
 今回で、新SIRIUSシステムの紹介は最後になりますが、細かな機能については省略させて戴きました。このシステムは、ASTRO-E衛星をターゲットとして開発を進めていますが、LUNAR-A衛星より小規模システムが稼働する予定です。 



(加藤 輝雄)


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JPL訪問記

 少し報告が遅くなったきらいがありますが、去る3月の末、宇宙科学研究所のインターネットホームページを担当するメンバーを中心に、カリフォルニア工科大学ジェット推進研究所を訪ねました。ここはNASAの惑星ミッション推進の中心的研究機関で、まず入ってすぐのビジターセンターにて、木星探査機ガリレオの実物大模型を見てびっくり(大きい!)その後、クリーンルームにて今秋打ち上げ予定のカッシーニの実機を見てさらにびっくり(これ又大きい!)の連続でした。JPLの全体の様子については、宇宙研におなじみのリチャード デッキンソンさんが説明して下さいました。道すがら立ち寄ったライブラリーも情報の電子化が著しく進んでおり、情報の王国アメリカを実感致しました。本当の驚きはそれからでした。JPLの情報管理を一手に行なっているコンピューター情報サービスセンターを訪ねてのことです。ATM技術を駆使してJPL構内はスーパーリンクがはられており、スピードに関する不満はほとんど無い状況です。 このセンターは総勢30名ほどで、ネットワーク管理には常時8名の人が配置されていました。JPLに一日にくる電子メールは30万通に達すると聞いてまたびっくり。職員総数6000名で単純に割っても一人あたり毎日50通の勘定です。メールは全部で64のポストに分かれているとのこと。JPLには50を越えるプロジェクトオフィスがあると聞きました。問題は万一の事故に備えてのこれらのバックアップのようです。現在このセンターには6名の人がこの電子メールシステムについて担当していて、安全な管理システムの構築も行なっているとの事です。マネージャーのDr トーマスソントンさんが、情報センターのホームページを紹介してくれました。デモンストレーションが行なわれた会議室には、壁にネットワークの端子があってこれに単にジャックを挿すだけです。JPLの構内ならどこでもノートブックを即ネットワークにつなげる事が出きるとのこと。 矢継ぎ早に話されるソントンさんに、押されてばかりはいられません。こちらも「宣伝」を心掛けました。三浦昭さんが、我々の宇宙研ホームページをJPLの人達にご披露しました。特に、MUSES-Bにつきましては、JPLのホームページにも紹介されているだけあって、もうすっかりおなじみの様子。それはと言えば、JPLと宇宙研の共同研究がMUSES-Bについておこなわれているからです。多少、手前味噌ですが、宇宙研のホームページは良く見えました。と言うのは、JPLのそれは組織が大きすぎるので、個々のプロジェクトの単純集合との印象です。これに対してISASは手頃な大きさ(?)であることも手伝って、筋が通せます。しかし、昨日撮った百武彗星の写真が翌日には掲載されていたり、スピーデイーな運用でした。このあたりが、担当がいることの強みでしょうか?運用上の課題を感じました。ひとしきりの視察を終えて宿に戻ると、的川先生がにこにこして迎えてくれました。先生は日本の用事でどうしても初日には間に合わなかったのです。 訪問した、山本さん、長木さんは身近にホームページの作成に関与されているだけあって、多くのアイデアが浮かんだようでした。井上さん、小山さん、村沢さん、瀧澤さんは管理部の視点から新しいネットワークの利用を「やるぞ」という気概でした。私も、これから21世紀に向けて益々ネットワークは身近なものになっていく中で、本物の情報を発進出きる宇宙科学研究所が大変貴重な存在に思うと共に、さらに多くの人に分かりやすい宇宙の知識について伝えていきたいと思った次第です。とくに、教育用のホームページの必要性は大変大きく、しかも緊急性をもった課題と思います。次の目標は、この種の教育啓蒙用のホームページ(CDロムも含む)の開設と思っています。
(小原 隆博)


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KSCインターネット開設

 この度、今まで高速インターネットの輪から取り残されていたKSCが、鹿児島大学と1.5Mbpsの専用線で接続されることになりました。9月上旬のロケット実験前を開通目標として各担当で、準備しています。

 このネットワークが完成した暁には、SAテレメータ・コントロール・M組立て棟・総務で相模原と変わらないネットワーク環境が実現します。(各ユーザ側に、ネットワークコンセント工事等の経費負担が発生しますが。。。)

 前段階として、8月中旬のロケット実験前に、相模原−KSC間のデータ伝送回線を利用して、仮設のインターネット回線を開通予定です。その後、鹿児島大学との回線へ移行する予定です。

 インターネットが、データ伝送回線から鹿児島大学との回線へ移動した後、将来の衛星運用システムで使用する(予定で検討中の)ネットマスクを6ビット・アンマスクした場合のルーティング及びネットワーク・システム運用の試験を兼ねた衛星運用系汎LAN等の試験運用を計画しています。
(斉藤 宏)


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大型計算機に関するお知らせ

I.ネットワークプリンタについて

 A棟4階・7階サブステーションに設置されているネットワークプリンタ の一部に不具合がありましたが、7月16日に完全に修復されて、正常に動作するようになりまし た。

II.8月の定期保守

 8月の定期保守は第3回目の月曜日、19日 8:00〜13:00にGS8400/20, Alphaの保守作業を予定しております。

III.VPP500 OS 緊急修正について

 PEのソフトファイルに関する緊急修正を9月16日(月)9時より行います。又17日(火)は定期保守のため、朝から13時まで運用停止になります。
(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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