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第29号 1996年3月13日発行

目次


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SFU搭載IRTSの運用管制

 前回までの山田先生のSFU運用に関する解説に続いて、今回はSFU搭載の実験の一つであるIRTS (Infrared Telescope in Space)の運用管制系について紹介します。

 IRTSは、日本初の衛星搭載赤外観測装置です。IRTS の最大の特徴は、高感度観測のために、超流動液体ヘリウムによって、望遠鏡を含む観測器全体が絶対温度で2K(-271℃)という極低温まで冷却されていることです。冷却された望遠鏡を、太陽と地球(地球は大きな熱源です)から守るために、運用は複雑になります。

 SFU / IRTS の運用管制系の概要を、図1に示します。

 

図1 SFU / IRTS 運用管制系

IRTSの実験期間中は、日本局(KSCOTDS)に加え、NASA 深宇宙局 (DSN) も利用し、24時間体制で運用が行われました。衛星との送受信は世界中で行われますが、運用管制、および取得データ管理は、すべて宇宙研相模原キャンパスに設けられた SFU運用センターにおいて、一元的に管理されました。ただし、IRTSは複雑な運用をおこなうため、IRTS 関連の運用コマンドの作成は、SFU運用センター とは別に設けられた IRTS運用センターにて行われました。IRTS運用センターでは、これ以外にも、IRTSの冷却系と観測器系をチェックし、必要に応じてコマンド計画にその結果を反映させまた。

 SFU搭載実験機器のトップを切って、SFU打ち上げ後12日目にIRTSは観測を開始し、冷却用の液体ヘリウムを消費しつくすまで約1ケ月にわたって観測を行いました。この間、すべての観測器は正常に動作し、多くの貴重なデータを得ました。

 さて、本格的なデータ解析は、観測終了後に始まります(図2)。

図2 IRTSデータ解析の流れ

まず、望遠鏡の焦点部分におかれた各観測器のデータは、IRTS チームが分担をして解析を行います。また、IRTSの姿勢(実際に空のどの部分を観測したか)決定は、NASAの赤外線解析センターIPAC (Infrared Processing and Analysis Center) によって行なわれます。これらの結果をあわせて、研究論文発表となります。

 また、IRTS の観測データは、IRTSチームだけのものではなく、天文学コミュニティの貴重な共有財産として利用されるべきものです。IRTSの全データは、観測後30箇月で、IPAC を通して世界に公開されます。 

図3  IRTSによって観測された、宇宙に浮かぶ有機物の雲

(中川 貴雄)


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平成7年度PLAINセンター・シンポジウム

「新しいネットワークの有効利用法」のご案内

 宇宙科学企画情報解析センターでは「新しいネットワークの有効利用法」をテーマにシンポジウムを行います。ネットワークの発展・整備にともない、我々は新しい情報化社会の中で生活をしていることを身近に感じ、ネットワーク無しではもはや生活できなくなってきていると言っても過言ではありません。研究面では、電子メールやWWW、また、大容量のデータの配信・受信など、ネットワークに依存した研究環境になっておりネットワークとの関わりは深まる一方です。ネットワーク利用は、大学・研究所だけではなく一般社会での浸透も目覚ましく、例えば、中学や高校のクラブ活動としてWWWサーバーを立ち上げているサイトもあり、多種多様の利用形態があります。今回のシンポジウムでは研究者の立場から、ネットワークをどのように有効利用しているのか、また将来どのような利用を望んでいるのかを議論したいと考えています。多数ご参加下さるようお知らせします。

日時:平成8年3月22日(金)午前10時〜午後4時30分
場所:宇宙科学研究所、本館2階大会議室

10:00ー11:40 座長:星野真弘(宇宙研)

 科学技術計算と可視化におけるJavaの可能性について--インターネット新時代を迎えて 城之内忠正(核融合研)

 リアルタイム・ビジュアライゼーション--高速ネットワーク下での可能性 藤井孝蔵(宇宙研)

--- 昼休み ---
13:00ー14:00 座長:根来均(宇宙研)

 ISASホームページへの誘い  三浦昭(宇宙研) 

 Attractive な Web ページの作成術 山泉貴之(宇宙研)

 宇宙研理学系研究グループの WWW 活用状況 浅井和美(宇宙研)

-- 休憩 ---
14:10ー16:30 座長:長瀬文昭(宇宙研)

 どこにいてもスパコンのそばにいるみたいであってほしい  近田義広(国立天文台)

 公開天文台ネットワーク(PAONET)について   渡部潤一 (国立天文台)

 高速通信サービスと支える技術  吉田彰顕(NTT)

問い合わせ:星野真弘(内線2006)
e-mail:hoshino@gtl.isas.ac.jp

(星野 真弘)


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PLAIN センターからのお知らせ

 今回の大型計算機リプレースに伴い、大型センター計算機のアドレスが変更されました。ご連絡が遅れましたこと、 お詫び申し上げます。新規計算機アドレス・ホスト名一覧は下記の通りです。


なお、衛星運用計算機(GS8400/10)のアドレス等につきましては、周東技官(内線2081)まで直接お尋ね頂くことになっ ておりますのでよろしくお願いいたします。
また、これらの情報はWWW上
(http://www.isas.ac.jp/cpis/info/comp/address-j.html)と、PLAINセンターホームページの「What's New」からも御覧になれます。  
(長木 明成 )


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大型計算機に関するお知らせ

I. 課題更新手続きについて          

 現在利用されている課題の有効期限は、3月31日迄となっております ので、次年度も引き続き利用される課題の更新手続きは、3月19日(火)までにお 願いします。課題申請用紙は、2月29日(木)にお送りしましたので御利用ください 。                 
 課題更新用申請用紙のフォーマットについて
 課題申請用紙は3種類ありますので、申請目的にあった用紙を御利用く ださい。         
(1)GS8400/20 MSP用   新規申請用紙
(2)UNIX用   新規申請用紙                
(3)課題更新MSP、UNIX更新用々紙   

※MSPとUNIXは、各々別の予算管理をしておりますので、申請時には各々予算登録をしてください。
※更新用々紙には同一予算費目、同一内容のUNIX・MSPのセット 課題を上段 ・下段に記入し、提出してください。
※新規課題申請用々紙は、A棟4F、7F、B棟1F、C棟2F、D棟2Fの各サブステーションのレターケースの中にあります。
※衛星運用支援計算機の課題については周東氏と相談してください。

II. 大型計算機年度末処理について

 毎年行われている年度末処理を、今年は3月30日(土)・31日(日 )の2日間になり、 年度末処理では、次の事項を行います。

・システムバックアップ  
・年間ジョブ集計、課金集計処理
・課題登録、更新処理
・マスタファイルの切り替え
・重大障害修正作業と確認

※30日の朝から作業が行えるように、29日夕方に長時間ジョブのイニシエータを停止させて頂きます。(VPP500は29日0時0分)

※GS8400/20のMSPにおけるジョブ出力結果は、3月29日 までに取り出してください。又、取り出しできなかったジョブ出力は、MTにバックアップを取ってありますので、必要な方は4月1日以後、内線2063高橋まで連絡してください。

※課題の更新をしない方は、3月29日までにプログラム・データのMT吸い上げを行い、ファイルの消去をして下さい。データのバックアップにはSASAR,SASMVがあります。

III.3月・4月の計算機保守作業予定

 3月・4月は、下記の通り保守作業を予定しております。



(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
〒229 神奈川県相模原市由野台 3 -1-1 (Tel 0427-51-3911,内線 2611)