PLAINニュース第193号
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2009 札幌 ADASS 報告

山内 千里
宇宙科学情報解析研究系 / C-SODA

 ADASS とは,Astronomical Data Analysis Software & Systems の略称で,その名前が示すとおり,天文データを扱うためのソフトウェアに関する国際カンファレンスです.毎年開催されており,本年度は札幌で行なわれました.日本での開催は ADASS 史上初であり,多くの日本人開発者・研究者の参加がみられました.

 ADASS は,自然科学系の研究会等と同様の口頭発表・ポスター発表のほか,フォーカスデモやフロアデモといった,ソフトウェアを実際に動かしながら紹介する発表もあり,その有用性をアピールする絶好の機会となっています.このほか,BoF といって,あるテーマに関心が高い人達が集まる小ミーティングもあり,毎年,FITS に関するテーマなどの会合があります. 我々,C-SODA グループからは,宇宙科学データ公開サービス“DARTS”,次世代 FITS I/O ライブラリ“SFITSIO”をポスターで,天体ナビゲーションツールである“JUDO”,「すざく」XIS 用 QL ツール“UDON”をフォーカスデモで発表しました.

 “JUDO”と“UDON”のフォーカスデモは,昨年度も行なったのですが,それでも 30人程度の方々に動作している様子を見てもらう事ができました.“JUDO”は現状ではナビゲーションツールとしてしか使われていませんが,今年度の開発によってより汎用的な QL 画像切り出しシステムに発展していく予定です.ご期待ください.

 FITS I/Oライブラリ“SFITSIO”については,いずれ PLAIN ニュースでももっと誌面を使って紹介する予定ですが,CFITSIO よりも圧倒的に簡単に FITS ファイルが扱える C言語プログラマ向きのライブラリです.今回の ADASS ではポスターの他,FITS の BoF でも座長のご好意で 5分間の発表をさせてもらう事ができました.チラシとマニュアルのコピーも在庫ゼロとなり,予想以上の関心の高さに驚きました.

 来年の ADASS はアメリカのボストンです.自分のソフトウェアをアピールするのにも,いろいろなソフトウェアに関する情報を集めるのにも,たいへん有意義なカンファレンスです.データ処理に深く関わっているそこのあなたも来年は参加してみませんか?



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