1.　はじめに

　2008年度までに「すざく」衛星データ向けの DARTS に追加されたサービスについて紹介します。「すざく」の 第五回公募観測 の締め切りが 11月 20日に迫っています。観測提案を検討するにも、現在、どのような天体が観測されていて、どのようなデータが取られているか、DARTS を使って調べてください。

2. 公開データテーブル (Public data List)

　このページに、すべての公開データがリストアップされています。観測のカテゴリーごとのリストアップも可能です。このテーブルには、該当するデータが使われた論文もリンクされています。また、DARTS内の検索サービス (MASTER)、QL/ftp データ、QL (UDON)、天球上での場所 (JUDO) へのリンクも張られています。2009年 10月現在、1113個の観測シークエンスが公開されています。目当てのデータがすでにある場合には、このページからスタートしてください。

3. 検索サービス

　「すざく」向けには、(1) Simple、(2) Advanced (MASTER)、(3) XISLOG の検索サービスを提供しています。
　まずは (2) を使ってみてください。使い方は、一般的な検索システムと同様です。次のような特徴があります。

1. 観測提案のアブストラクトが読めます　(“Line is full”で選択)。
2. HTMLに加え、CSV、VOTABLE (XML) 形式で結果を表示できます (“Format is”で選択)。
3. 観測のアブストラクトの中のキーワードで検索することもできます（画面中ほどの Pattern Match/Abstract）。
   

　“GET URL”というボタンが追加されました。これは、パーマリンクと呼ばれるもので、一度、入力した検索条件を URL の形で保存および編集できます。適当な条件を入力後に、SEARCH を押す前に、このボタンをクリックしてください。保存すべきURLが出てきます。

例：アブストラクト中に「black hole」を含む検索に対応するパーマリンク (最大 500 行、アブストラクトも表示)

4. JUDO

　JUDO は、全天をマウスでナビゲート、拡大して、「すざく」による X線カラー画像を表示するシステムです。
　便利な機能を紹介します。

1. 「あすか」衛星、ROSAT、IRAS のイメージが追加されました。したがって、ROSAT の全天 X 線イメージ上に、「すざく」の観測視野を重ねて表示することも可能です。
2. パーマリンク機能により、特定の場所および表示オプションを保存・編集できます。この URL の中には、天体座標が含まれていますので、任意の座標に、直接アクセスできます。また、画像 (PNG) への直接アクセスも可能です。天球の左上の permlink をクリックしてください。
   

   例：銀経 74.41, 銀緯 -8.25 (Cygnus loop) 周辺のJUDOページ (Suzaku, ASCA, ROSAT 画像を表示)へのパーマリンク 　　 上記の画像だけへのパーマリンク

   
   
3. 天体名で検索をすることもできます。上部の”Show Information”を on にして、下部の”Information”ボックスにキーワードを入力後、”filter”をクリックしてください。その後、下に出てくるリスト上にマウスを置いてください。天球上に場所が表示されます。
4. ナビゲート中に気になる天体を見つけた場合には、その場所でクリックして、左下の赤いボックスを見てください。自動的にその座標周辺に関連する外部サービス (SDSS、NED、 SIMBAD、ADA) へのリンクができています。
5. 天球下のデータリストからは、観測の基本情報 (FITS header)、FTP サイト、UDON へのリンクが張られています。
   

5. UDON

　UDON は「すざく」XIS 検出器の画像、スペクトル、ライトカーブを見るための QL システムです。画像から円形や四角形の領域を選択して、データをプロットすることができます。これらのプロットをテキスト (QDP) と FITS 形式で保存できます。ざっとした使い方を覚えれば、数分で「すざく」のデータを早見できます。

6. 最後に

　とある先生、曰く、「良い論文を書くには、常に研究の現場にいて、実際のデータを目の前にして考え抜くこと」だと。DARTS を活用して、データを使い倒してください。