PLAINニュース第180号
Page 2

太陽地球系物理学分野の新しい Q Lツール : Conjunction Event Finder

宮下 幸長
宇宙科学情報解析研究系

 Conjunction Event Finder (CEF、http://darts.isas.jaxa.jp/stp/cef/cef.cgi) は、太陽地球系物理学 (STP) 分野の各種クイックルック (QL) データを効率的に閲覧できるようにするウェブツールです。DARTS 上で公開されています。

 STP 分野の研究では、太陽から太陽風、磁気圏、電離圏、地上までの多種多様な人工衛星や地上の観測データを調べます。その際、まずウェブ上で QL データの図を閲覧し、多種類のデータをとりあえずさっと調べたり、研究対象になる事例を探したりすることがしばしばあります。しかし、QL 図は、何十種類もあり、世界各地の研究機関・大学に分散しています。そのため、各種 QL 図を表示させるためは、それぞれに対してブラウザを開き、日付を入力するなどの作業をしなければなりません。これは、複数衛星を使った研究や衛星と地上の観測を連携させた研究のように、多種類のデータを解析する研究をするとき、数が多くなればなるほど、非常に煩わしく、悩ましい問題でした。

 そこで、この不便さを解消したいと思い、DARTS が考え出した一つの解決策が CEF です。これを開いて、調べたい日時を一度だけ入力すれば、その日時の様々な QL 図へのリンク集ができ、効率的にデータを閲覧することができます(図参照)。必ずしも難しい技術を使っているわけではなく、見た目も簡素ですが、利便性の高いツールができました。

 また、CEF にあわせて、DARTS のサービスとして、Geotail、Cluster、Double Star (TC1、TC2)、THEMIS 衛星のデータの QL 図と、各種衛星の軌道と地上観測の情報の図を新たに作成し、ウェブ上で閲覧できるようにしましたので、複数衛星と地上観測を連携させた研究に非常に役に立っています。

 最後に、一般的に、公開されている QL プロットは、必ずしも自分にとって使いやすいものであるとは限りません。そこで、自分の目的に合わせたプロットを自分で作り、CEF のようにウェブ上で見られるようにすると、ちょっとしたときにイベントを探したりするのに非常に便利になります。


図1

このページの先頭へ



宇宙情報システム講義第2部 これからの衛星データ処理システムはこうなる (第7回 GSTOS 1)


(665KB/ 2pages)

Next Issue
Previous Issue
Backnumber
Author Index
Mail to PLAINnewsPLAINnews HOME