PLAINセンターニュース第168号 |
加藤 輝雄、小野 縁 宇宙科学資料室は本年4月に宇宙科学本部の内部組織として発足した組織です。名前からすると随分大きな組織を想像するかも知れませんが、システム開発部の情報システム開発グループを中心とした小さな組織です。将来的には名前に相応しい組織となることを願っています。現在、プレインセンターの協力の下に活動しています。
宇宙科学資料室の目的は、宇宙科学関連資料の保護・管理・有効利用に有ります。将来的には、宇宙科学関連プロジェクト全般に渡る資料を扱う宇宙科学本部の中枢的な組織をめざしています。 この資料室の設置の発端となったのは、次期固体ロケットの開発研究に向けて、M-V 関連資料を整理し如何に有効活用を進めるか、また宇宙科学研究本部に残された膨大な資料を如何に後世に継承するかにありました。 現在、宇宙科学研究本部には、宇宙科学研究所、宇宙航空研究所、そして生産技術研究所時代に溯る 50年間以上に及ぶ膨大な資料が保管されています。その中には、退官された先生方が残された膨大な資料もありますし、歴史的な意味を持つ貴重な資料もあります。これらの資料のほとんどが、紙ベースあるいはフィルムの形態であり、未整理のものも沢山あります。この資料を整理し、デジタル化し、データベース化して有効活用することが本資料室の当面の課題であり、目的とするところです。また、これを通じて将来に渡って利用可能な資料管理システムの構築を行うとするものです。資料保護の観点から強調した言い方をすれば、死にかけている資料に息吹を与え、眠っている資料を呼び起こし、貴重な資料に光をあてることです。もちろん最新のデータを管理することも重要であり並行して進めなければなりませんが、所蔵している資料の内容を理解できる人が年々少なくなって来ていることは大問題です。団塊の世代の大量退職はその問題を更に深刻なものとしています。それ故に、古い資料の整理・電子化は急を要します。 さて、現在どの様な資料がどれだけ有るかをここで紹介しておきます。主に宇宙工学側の資料ですが、先ずは、これらの資料から手を付けて行こうとしています。 ○ データセンタ保管資料
○ 映像記録班保管資料
○ M計画室保管資料
○ 対外協力室保管資料
○ 高速度カメラ(光学観測等)記録資料
これらは、代表的なものですが、この他にプロジェクト保管資料や先生方の秘蔵資料も沢山有ることと思います。何れこれらの資料も宇宙科学資料室で管理すべき資料であると考えています。 資料室が発足して半年になりますが、専従の人がいない(他業務と掛け持ち)こともあって、思うような活動が出来ないのが実情ですが、取り敢えず映像関係資料を先行してデジタル化を行っています。映像記録班管理のフィルム(スチール写真)は5年計画でデジタル化をし、対外協力室管理の記録映画関連は3年計画でデジタルビデオ化を行い順次関係者へ公開してゆく予定です。また文書資料、映像関連資料の管理・検索システムを並行して3年程度で段階的に開発する計画でスタートしています。しかし、難題が有ります。それは、デジタル化した映像資料、つまり1枚1枚の写真をチェックして検索キーワードを付ける作業です。当然その内容を良く知っていなければ出来ませんから、諸先輩の応援を仰ぐ等して人海戦術でてやらざるを得ません。同様のことは、文書データの検索キーワード付けに関しても言えることで、大変な作業がこの先に待ち構えていることになりますが、難関を克服して、資料の有効活用を図って行きたいと考えています。 最後に、宇宙科学資料室は発足したものの、海のものとも山のものともつかない存在です。これから先より良い組織として行くためには皆様方の手助けを必要とします。理学関係、工学関係・・・・各プロジェクト等々、他本部も含め多数の皆様の参加、応援を期待する次第です。
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