平成18年度宇宙科学情報解析センター運営委員会報告
平成 19年 3月 13日に開催した上記委員会の報告をさせていただく。下記にある多くの話題に関して報告、審議を行った。JAXA/ISAS 事業に関しては、各年度で外部評価を行うことが中期計画に明記されており、年度末の同委員会の大きな目的は、項目「4.宇宙科学研究（Ｂ）衛星等の飛翔体を用いた宇宙科学プロジェクトの推進（７）宇宙科学データの整備」に関して 18 年度の事業成果に関する評価と 19 年度計画に関する議論を行うことである。
ISAS 外からの出席委員は、芝井広（名古屋大学）、近田義弘（国立天文台）、家森俊彦（京都大学−TV 会議）、小川哲（JAXA 総合技術研究本部）の先生方4名、本部内委員を加えて出席者は11名であった。規則上委員としてカウントできないが、議論を活発にする意味で欠席の外部委員には代理を打診し、横山央明（東大−千葉大松元亮治先生代理）、安部文雄（名古屋大−名古屋大荻野龍樹先生代理）のお二人の参加を得た。
1. 審議
(ア) 宇宙科学情報解析センター現状報告
(イ) 平成 18 年度事業報告および平成 19 年度事業計画
I ) ネットワーク運営
ISAS-LAN、JAXA統合ネット、super-SINET
II ) 計算機運営
スパコン、衛星データ解析サーバ、共用ソフト
III ) データベース開発、運用
SIRIUS、EDISON、DARTS
(ウ) 平成 18 年度事業評価および平成 19 年度事業承認
2. 報告
(エ) JAXA 情報化事業による DARTS, EDISON の基盤整備
(オ) Super-Sinet の状況と今後について
(カ) 平成 18 年度シンポジウム報告
(キ) 委員改選−平成 19/20 年度委員候補
(ク) 平成 19 年度計算機共同利用 公募スケジュールと審査員選定
3. 議論
宇宙科学情報解析センターの将来像
昨年の委員会の反省（PLAIN センターニュースNo. 151 参照）を踏まえて、例年通りの事業報告は簡素にし、18年度特段の項目を中心としてセンターからの報告させていただいた。委員会では、概ね予定した事業は問題なく実施されたと判断され、本部長に提出する委員会としての内部評価案は Aとなった。以下、変化のあった２つの項目を簡単にまとめておく。
科学衛星データアーカイブ
17年度の「すざく」、「あかり」に続き 18年度は、「ひので」の打ち上げがあった。これらの衛星に対しては、科学衛星データベース DARTS、衛星工学データベース EDISON の個別衛星非依存の共通部分を抽出し、共通基盤とすることで開発の効率化を図ってきた。さらに、今後の JAXA プロジェクトにおいても本開発手法利用が図れるよう、これを公開した。
ネットワーク運営
JAXAnet の整備が進んだ。主要機器の冗長化を行い、安定運用を図った。系の分割を行い、相模原各居室に複数の系に属する４つのポートを設置、研究・プロジェクト系ネットワークを再編して、セキュリティを向上しつつより柔軟な接続形態とした。また、大学共同利用や来訪者の利便性向上のために「外」扱いのオープンネットワークを整備した。４月以降、旧ネットワークを運用しつつ、徐々に新ネットワークに移行する予定である。
PLAIN センターの今後に関する議論
テレメータからのデータ受信からデータ公開まで衛星データアーカイブ作業をどのように進め、そのどこまでを PLAIN センターが担うべきか、その中で如何にして定例実務を効率化しセンター研究者の研究時間が確保できるか、プロジェクト進行にどう PLAIN が関わっていくべきか、などの議論があった。科学衛星データは、アーカイブされたデータが利用されてはじめて成果となるという事実を宇宙科学コミュニティに再認識してもらい、今後立ち上がる科学衛星プロジェクトにおいては、その初期段階から、（1）データアーカイブの担当者を設定する（2）プロジェクト予算の (例えば)５％をデータアーカイブに利用する、といったことのルール化を要望することで、委員のみなさんの意見の一致がみられた。限られた時間ではあったが、今回の意見交換は大変有意義で、月・惑星探査推進チームの発足など JAXA 組織変化に対応した科学衛星・探査機データ処理の方向性の議論なども含め、次年度適当な時期に委員会を再度開催させていただきたいと考えている。
|
