PLAINセンターニュース第162号 |
村田 健史 (155号から続く) 3.4 STARS 3:メタデータベースの重要性(続き) 前回、科学衛星観測データファイルを管理するために設計したメタデータベースについて説明した。メタデータとは、データに関する様々な付随情報を記述したデータである。メタデータは観測データそのものではないが、観測データを有効に活用するためには必要不可欠なデータであることが、お分かりいただけたのではないかと思う 一般的な観測データと同じように、メタデータはメタデータベース管理サーバにより管理されている。STARS では、STARS メタデータベース管理サーバを愛媛大学に立ち上げ、管理運営を行ってきた。メタデータを利用する STARS アプリケーションは、STP メタデータベース管理サーバに問い合わせる(クエリを投げる)ことで、データファイルの場所(URI)やその他の必要な情報を得る仕組みである。
メタデータベースは、さまざまな利用方法がある。幾つか、具体的な利用例を挙げてみよう。
前回 の 2つの図(STARS メタデータの例)で表したように、STARS では科学衛星観測データやそれを解析するユーザの関係を木構造で表現している。たとえば、ユーザ情報は Mission(衛星観測計画)−Team(観測班)−Group(観測グループ)−ユーザ(データ利用者)という所属で表した。このデザインを使って、STARS では、データファイルの公開場所(URL)や各データファイルの観測日時だけではなく、ユーザへのアクセス権限を設定した。これにより、データを公開する側(たとえば宇宙科学研究本部)は、データファイルごとにデータアクセスを特定のユーザに与えることができる。データアクセス権限の制御は、上記の各ノードに対して柔軟に与えることができる。たとえば、データファイルを特定の観測班に所属する全員に公開する事もできるし、ミッション全体や特定の個人ユーザに公開する事もできる。 ファイルごとにデータ公開の範囲を設定することは、科学衛星観測データを公開には重要である。たとえば、「2006 年以降のデータはまだキャリブレーションが終わっていないので宇宙科学研究本部内の関係者にのみ公開したい」と言う場合や、「まだ一般公開はされていないがキャンペーンのために特定の 1週間分だけデータを公開したい」というような場合など、ファイル単位でのデータ公開範囲を変更が必要になるのはよくあることである。同様に、たとえばミッションノードのアクセス権限を解除することで、ミッションデータ全体を一般公開にすることが簡単な処理一つで実現できる。最近の例では、PI の決定により GEOTAIL/PWI/SFA と MCA データを一般公開することになったが、STARS メタデータベースの設定を変更することで、STARS 上でも一般ユーザがデータにアクセスすることができるようになっている。 (次号 に続く)
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