PLAINセンターニュース第142号
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海老沢教授着任挨拶

海老沢 研
PLAINセンター

 私は高校卒業まで相模原で過ごし、その後京都で学生生活を送りましたが、X線天文学を学ぶために大学院では相模原の宇宙研に戻ってきました。「ぎんが」衛星を使ったブラックホールの研究で博士号を取得後、1992年よりメリーランド州のNASAゴダード宇宙飛行センターで「あすか」衛星を使った研究とデータアーカイブスの開発に従事、その後2001年から2004年までは、ジュネーブでヨーロッパ宇宙機構のINTEGRAL衛星プロジェクトに参加しました。今まで、日本、アメリカ、ヨーロッパ、約10台の高エネルギー天文衛星データを使って、ブラックホールや天の川からのX線放射の研究を行ってきました。私は過去13年、いろいろな国籍の研究者と共に衛星プロジェクトに参加し共同研究を行う中で、宇宙科学というものは政治的、金銭的な利害が絡まないからこそ、国境を越えた共同研究やデータの共有が容易で、異なった国々や民族を結びつける力になりうる、ということを確信しました。縁あってまた相模原に戻ってきたのは、日本の優れた科学衛星データを世界に発信することによって、世界の宇宙科学の発展に貢献する使命を担ったのだと感じています。願わくは、人類が協力して宇宙の真理を探究し、科学的知識を共有することで、宇宙と地球と人間の尊さに一層目覚めることを。それが、国や民族同士の争いを妨げ、より平和な世界の構築に少しでも役立つことを。

 今後ともよろしくお願い致します。




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