PLAINセンターニュース第128号
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中国出張報告

馬場 肇
早稲田大学教育学部
教育情報化推進委員会

 2004年5月24〜28日に中国北京にて開催された、"The 12-th UnitedNations / European Space Agency Workshop on Basic Space Science"というワークショップに参加しましたのでご報告します。
 もともとは2003 年5月に開催される予定だったのですが、SARS の影響を受けて1年延期となっていたものです。Chairperson の H. Haubold 氏 (国連) と話したところによると、このワークショップでは全員発表を基本にしているので、人数をあまり増やせない(増やしたくない)という意図があり、途上国から約30人、先進国から約20 人、ホスト国から2-30人という割合を保つように努力している、とのことでした。途上国参加者のほとんどは招待で、旅費・滞在費等は UN/ESA 持ちのようです。途上国参加国はアジア、中東、アフリカの一部、南米といったところでほぼまんべんなく散らばっています。日本からは、国立天文台から北村名誉教授と礒部先生、筑波大から阿部氏が参加されていました。
 私は、"Data Archive and Transfer System on JAXA/ISAS" というタイトルで DARTS システムについて発表しました。現在のサービス内容の紹介と、ASTRO-E2 や ASTRO-F などを踏まえた共通基盤整備を進めていること、今後は JVO との連携を進めること、などを紹介しました。VirtualObservatory についてはワークショップの柱のひとつでしたが、AstroGrid や AVO などの先進的取り組みが紹介される一方で、天文データセンター的な捉え方をしている国もあり(中国/ロシアなど)、捉え方にかなりばらつきがあるような感じです。ただいずれにせよ、途上国であっても電子メール程度のネットワークインフラは既に存在しますし、中長期的には VO の利用者層は途上国に広まっていくものと期待されるのか、参加者の関心は高いように思えました。
 別の日のセッションでは NASA/JPL の Team-X というコンカレントエンジニアリングシステムのオンラインデモ (JPL との TV 会議)も行われたのですが、ある途上国参加者からは「その技術がどのように途上国にフィードバックされるのか」という質問が飛んでいました。言葉は悪いですが、単に「うらやましがらせる」だけのシステムであるように見えたようです。そういった観点からすれば、VO はより機会平等的に映るようです(実際には帯域の壁は大きいですが)。
 また、中小口径望遠鏡を用いた天文学の推進もワークショップのひとつの柱でした。北村先生は日本の ODA (政府開発援助)事業で、途上国に小望遠鏡 (口径 50cm 程度) を贈呈する活動に携わっておられます。これらを連携させて、近接連星系の変光観測などのサイエンスを発展させていきたいとのことでした。また、中東には 2m クラスの中口径望遠鏡が続々と競い合うように建設されているようです。
 ところで、申し込み段階ではポスター発表か口頭発表を選択可能だったのですが、いざ会場に着いてみるとポスター会場は設置されておらず、壁に張り付けるという体たらくでした。このままではいかにも決まりが悪く、発表は初日夕方でしたので、初日午前中の VIP の長たらしい挨拶の間に PowerPoint 資料を急遽作成し、むりやり口頭発表に間に合わせたという次第です。また、会議のレセプションは釣魚台国賓館で開かれました。VIP 気分で食べた北京ダックはめちゃウマで感激でした。
 最後に、今回の出張には PLAIN センターから旅費等の援助を頂いております。長瀬先生をはじめとする PLAIN センタースタッフの皆様に感謝します。

 

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