PLAINセンターニュース第122号
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新SIRIUSシステム (データの管理形態他) 第2回

加藤輝雄
宇宙科学研究本部
システム運用部情報処理グループ

今回は新 SIRIUS システムのデータ管理形態面についてお話します。

1. パケットテレメトリデータに対応した管理構成
2. セキュリティとデータのアクセス制限


1. パケットテレメトリデータに対応した管理構成

 宇宙科学研究所( 現 JAXA 宇宙科学研究本部)では、 M-V ロケットの時代に入り科学衛星のテレメトリ方式として、CCSDS(Consultative Committee for Space Data System)に準拠したパケットテレメトリ方式を採用しました。新 SIRIUS システムはこのパケットテレメトリ方式に対応することを一つの目的として開発されました。下図にパケットテレメトリデータの管理形態を示しています。以後、この図にそって説明をして行きます。


図:パケットテレメトリデータの管理形態

衛星データは Sバンド及び Xバンドの電波で地上に送られてきます。この S及び Xのテレメトリテレメトリデータを受信局毎に分類し、バーチャルチャネル(仮想チャネル)と呼ばれる単位(例えば、衛星に搭載されている観測器ごとにバーチャルチャネルを割り当てる)にテレメトリデータを分離したものが、図の VC1,VC2・・・VCnの部分で VC-ID によって識別されます。更に、各バーチャルチャネル内のパケットデータ(パケット自身は APID によって識別される)をサーチして分類整理したものがパケット情報ファイル(データ)です。これにより目的とするパケットデータを高速に取り出すと共に衛星データ全体をコンパクトに収納することができます。パケット情報データの下にある高速アクセステーブルは時刻とデータ位置を対応させたテーブルで、時刻をキーとしてハードディスク内のデータを高速検索するために使用します。パケット情報ファイルの作成や不要データの削除、そしてデータの時刻付等の処理は基本処理と呼ばれ、SIRIUS 格納前処理として綿密になされます。旧 SIRIUS システムで管理されていた「あけぼの」衛星データ等の従来型の非パケット形式のデータは、新システムでは一つのバーチャルチャネルと一種類のパケットのみが存在する特殊なパケットテレメトリ形式として扱われます(旧 SIRUS 上のデータは新システムへ全て移行されている)。各データは右端の衛星データ索引表、受信局関連表、パスデータ索引表、アクセスパス管理表を参照することにより目的データを高速検索出来る構造となっています。管理表としては、これ以外に、データ格納装置管理表、ホスト管理表、データアクセス優先順位管理表等の管理表があります。これらの管理テーブルを参照することにより、データ格納媒体の構成やデータアクセス経路の選択に自由度を持たせシステム全体として柔軟な管理構成としています。

2. セキュリティとデータのアクセス制限

 新 SIRIUS システムでは、データの提供を SDTP インタフェースによるソケットインタフェースによって行っています。そのためセキュリティ確保のため SDTP の入り口である中継用サーバ(CPU サーバ)で IP アドレスの制限やデータ利用範囲の制限を行っています。次にこれらのアクセス制限機能についてお話します。 利用者が許可なく他人(他プロジェクト)のデータをアクセスしないように、また平等に資源の利用を出来るように次のような制限をしています。これらの制限(許可範囲)は、利用者ごとに登録されます。

  1. 衛星データに対するアクセス制限
    • 衛星プロジェクトのユーザ及び許可を得たユーザのみのアクセス
    • 衛星データのアクセス可能な期間を制限(データ取得1年未満のデータはアクセス不許可等)
  2. CPU 等の資源に対する制限
    • 取得データ量の制限(1度に○○ギガ以上のデータを取り出すことは出来ない等)
    • アクセス時間の制限(OO時間以上データを連続してアクセスすることはできない等)
    • アクセス可能なネットワークポート数の制限

これで今回のお話を終わります。次回はデータの利用形態についてお話します。



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