PLAINセンターニュース第121号
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新SIRIUSシステム (構想から8年)

加藤輝雄
宇宙科学研究本部
システム運用部情報処理グループ


1.  はじめに

 今年度のセンター計算機リプレースにより旧 SIRIUS システムは新 SIRIUS システムに統合され、旧 SIRIUS システム上の 20数年間に蓄積された全データ30万件、4テラバイト余が、新システムへ移行された。これを機にあらためて3回程度の連載で新 SIRIUS システムの紹介をする。第1回目(今回)はハードウエア面から見た新 SIRIUS のお話しを中心とし、第2回目はデータの管理形態面について、第3回目はデータの利用形態面についてお話しする。

  現在運用を継続している「あけぼの」等の衛星については、この衛星運用を目的として旧 SIRIUS の小規模システムが新MSP計算機上で平行稼働しており、この系で処理されたデータは、新 SIRIUS システムへ転送されている。ここに旧 SIRIUS システムが未だ健在であることを書き添えておく。

 UNIX ワークステーションを主体とした新 SIRIUS システムの構想を1996 年4月の PLAIN センターニュース(第30〜34号)に掲載し、2000 年 10月からの(第84,85,88号)に新 SIRIUS システムの現状を掲載して以来、構想から8年余りが経過し、現在の新旧統合 SIRIUS システムに至っている。この間、ハードウエアの進歩はめざましく、磁気テープライブラリ装置と小容量のハードディスク(当時は大容量)そして 100 ベース(100 Mbps)のネットワークに多数の UNIX ワークステーションを並列運転する構想であったものが、現実に出来上がったシステムは、今後5年間に渡り全データを格納出来る超大容量のハードディスク(RAID:磁気ディスクアレイ装置)にファイバーチャネルインタフェースとマルチ CPU の高速 UNIX サーバそして 1,000 ベース(1Gbps)のネットワークとして豪華版で実現している。ASTRO-E,F の衛星計画が発表された当時は、その取得データ量の巨大さと衛星システムの複雑さに度肝を抜かれたものであるが、衛星計画が多少遅れたとは言え十分それに対応出来るシステムが機能的にもハードウエア能力的にもここに実現したと言える。


2.現在のハードウエア構成

 図に新 SIRIUS システムのハードウエア構成とデータの流れを示している。


図: 新SIRIUS ハードウェア構成及び衛星データの流れ

計算機センター設置(B 棟)と書かれている部分が今年度のセンター計算機リプレース時に導入された部分で、今後新 SIRIUS システムの中核をなす部分である。利用者は、CPU サーバと呼ばれているデータ中継用サーバ SunFire280R(@siriusa or @siriusb)にネットワーク接続(ソケットインタフェース)し SDTP プロトコルにより衛星データの受け渡しを行う。@siriusa は所内専用(宇宙科学研究本部内専用)、@siriusb は所内及び所外用として割り当ててあるが、当面双方とも所内専用として使用する。PRIME POWER 400(@siriusm)はデータファイルサーバとシステム管理サーバ等の機能を兼務しており(初期構想システムでは機能別に CPU[ワークステーション]を分散していたが、実現したシステムではサーバの処理能力向上により逆に幾つかの機能を一つのサーバに集約している)、パケットテレメトリ固有の処理やデータの編集、衛星データの索引管理等を受け持っている。図の一点鎖線右側のサーバ群(A 棟 SIRIUS システム室設置)は各局からの伝送データ中継用サーバ、基本処理サーバ(データベース格納前一次処理用)、データ管理サーバ、そしてデータファイルサーバであり、こちらのサーバ群はセンター側とは逆に分散型システムになっている。

 現在、新 SIRIUS のデータは暫定的に SIRIUS システム室サーバ側に格納されているが、センター側 SIRIUS サーバの整備が整い次第そちらへ移行し、 SIRIUS システム室ファイルサーバは、中間処理衛星データの格納用及びバックアップ用として使用する予定である。


3.今後の課題

 新 SIRIUS システムは基本的にネットワーク経由でデータを受け渡すシステムであり、ユーザのデータ処理・解析サーバから直接ファイバーチャネル経由等で SIRIUS データファイルをアクセスすることは出来ない。今回センター計算機システムで導入された DANS(Data Analysis Network System,PLAIN センターニュース本年8月号参照)では各サーバからファイバーチャネルスイッチを経由して衛星プロジェクト共通のディスクアレイ装置(RAID)をアクセス出来る構造となっており、今後この機能を活用して、更なるデータの高速アクセスを実現して行きたい。


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