PLAINセンターニュース第119号 |
日本福祉大学生
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●インストールや初期設定も記載する(解析ソフトはどこから入手すればよいのか、どのように環境を構築すればよいのか) 。 |
●専門用語はなるべく使わない。使うのであればきちんと解説をつける。 |
●データ解析の具体例を記載する。 |
というものです。
なかでも3つ目については、ただデータ解析ソフトの使い方に留まるのではなく、具体例を挙げて研究者が既に行った解析を追解析できるようにします。このマニュアルで一番力を入れていきたいところです。これが実現できれば、研究者と学部生との掛け橋になるようなマニュアルになるのではないかと、密かに期待をしています。
私(森上)は卒業研究のテーマであるダークマターについて記載しようと思っています。しかし、データ解析の具体例の記載の前に、ダークマターそれ自体の説明が必要です。ダークマターは曲者です。なぜなら自分自身でどんな電磁波も放出しなければ吸収もしないので、直接観測することは出来ないからです。したがって、間接的に観測(銀河団全体の質量から、銀河団のバリオンを引くことにより、ダークマターの質量を推定する)するしか方法がありません。このようにダークマターの特徴や、このことから何がわかるかといったような記載も当然必要になってきます。さらに、データ解析の途中でスペクトルをフィッティングする必要があります。フィッティングするためには黒体輻射や制動放射といった X線放射モデルを適用しますが、その物理モデルの意味を正しく理解していないと、誤った結論に至る可能性もあります。このような問題点をいくつも見つけては、答えを考えながら進めています。
私(伊藤)は M51 という AGN (活動銀河中心核/銀河の中心にある巨大ブラックホール)を解析することにしました。センターの人から M51 に関する論文を読んで追解析を行えば、モデルやパラメータがわかるのではないか、というアドバイスを受けました。追解析を行うことで、天体がどのような X線放射をしているか考えた上でモデルを設定すればよいかがわかります。今まではただ闇雲にモデルや、パラメータを設定していました。モデルやパラメータは、詳しい物理知識が無いと決めることが出来ないと思っていました。今はまだ勉強途中ですが追解析を進めて X線放射の仕組みが解れば、どんなモデルを設定すればいいか、(熱的X線放射の場合は黒体放射スペクトルモデルを使ってみる等) より理解できるようになると思います。
私たちはこのような理想を胸に PLAIN センターで学習を進めたのですが、人に1つ説明するには、自分は10も20も知っていないといけない難しさを知りました。大学の研究室には超新星爆発、γ線バースト等研究しているメンバーがいるので、彼らとも協力して多くの解析例を載せ、充実したマニュアルを作れるようにしていきたいと思います。
10日間というとても短いひと時でしたが、トップレベルの研究者の方々に混じってデータの解析をしたことは、たいへん刺激になりました。また、最終日には滞在中に学んだ成果を PLAIN センターの方々の前で発表しました。この場では、長瀬先生をはじめ多くの方から今後の研究に非常に役立つアドバイスを頂き、とても緊張しましたが良い経験をすることができました。ここで得た経験を今後に生かし卒業研究を進めていきたいと思います。PLAIN センターの皆様、どうもありがとうございました。
(付記)この両名の PLAIN センターでの研修に当っては、田村隆幸、馬場肇が指導に当った。
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