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No.221 |
ISASニュース 1999.8 No.221 |
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「はるか」が結ぶネットワークNASAジェット推進研究所25年前に我々のグループは,スペースVLBI用の10mのアンテナをスペースシャトルを使って軌道上に上げる,というJPLのプロジェクトを進めていました。世界中のいくつかのグループも同じようなことを考えていました。15年前に,豪州,日本,および米国のグループが協力してTDRS衛星を使ってスペースVLBI技術を確認するための実験を行いました。10年前には,世界中のスペースVLBIのグループが相模原に会して,VSOPのための最初の公式の国際会議を開きました。 このプロジェクトには,実にいろいろな背景を持った人々が参加しています。仕事の仕方もさまざまです。例えば,西欧人は「その仕事は明日までにします」といってからしばらくすると,「済みません,後でするかもしれない」と言います。日本人は「多分できません。」と言ってからしばらくすると「済みません,できてしまいました。」と言います。宇宙関連機関(フォーマルで几帳面)とそれ以外の機関(インフォーマルで速い)の違いもありました。そして,我々が皆,共に働くことができたのは,幸運なことに,すべての人たちが英語をコミュニケーションの手段として受け入れてくれたことです。 日本のプロジェクトは高品質のブランデーからVSOPとつけられています。それなら,われわれもとプロジェクトの名前をいろいろと考えました。ロシアのプロジェクトはVODKA( VLBI Orbiting Dish for Kosmological Astronomy )がいいでしょう。米国のプロジェクトは,DIAQUIRI( Developing Astronomical Images of Quasars Using International Radio Interferometry )というところでしょうか? 観測運用をしているあいだ,考えられるすべての小さなトラブルを起こしました。衛星が考えたとおりに動かなかったり,逆に間違ったコマンドを打ってしまったり,衛星受信局の時計が知らないうちに狂っていたり。相関器が違う相関窓を見ていたり,望遠鏡が違う波長の電波を観測していたり,違う天体を見てしまったり。 しかし,スペースVLBIのミッションはうまく組織されスムーズに運用され,成功を納めました。そして,スペースVLBIのミッションがユニークな科学的成果をだせることが分かりました。色々な文化をもった世界中の何十もの機関の,何百人もの科学者,技術者が共に苦労して宇宙の神秘を説き明かすための,新しい種類の国際的な観測装置を作り上げることに成功したのです。 10年後には,また我々はまたどこかに集まって,次のスペースVLBI計画の成功を祝っているでしょう。それは,欧州か,日本か,ロシアか米国か? 非常にスムースな運用と,われわれのエキサイティングな発見と成功に乾杯。 (NASAジェット推進研究所・J.Smith )訳:村田泰宏 |
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