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MT-135-64号機は9月15日11時ちょうどに発射角80°で発射されて,1分50秒後に最高高度56H に達した。予定通り発射後95秒にノーズコーン脱頭,113秒にパラシュート放出,開傘,117秒に温度センサー放出が行われた。開傘直後からオゾン観測を始め,高度7,8Hまでのオゾン密度,気温および風向,風速を測定した。
平成2年8月に初めて成功したオゾン観測は本実験をもって13個の高度プロファ イルを得たことになり,着々とデータの蓄積がなされている。しかし今回は電波テスト時に搭載レーダの送信電波が不安定になった。不安定の原因が現地でつかめず,やむなく冬期に発射予定のMT-135-65号機のレーダ部を取り替えて当初の予定より2日遅れて実験を行った。
これまで12回も実験した後に生じた故障については深刻に受けとめ,その原因については宇宙研の受入れ検査法,および製造メーカの検査体制も含めて早急に検討し,冬期の実験に備えなければならないと思っている。
最後にこの実験期間中に雑用を手伝ってくれたご婦人方から千羽鶴をはりあわせてロケットを描いたパネルが届けられ実験班の心を和ませた。実験班を代表して,ここに謝意を表したい。
(小山孝一郎)
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平成8年度第2次大気球実験は,8月26日より三陸大気球観測所において行われた。放球した気球は大型気球3機,高高度気球1機の計4機であった。
大型気球による実験では,9月4日に,小惑星からのサンプルリターン計画などで必要となる小 型カプセルの地球への帰還時の飛行特性と回収用パラシュートの放出・開傘特性の確認を兼ねた実験が,気球高度からカプセルを投下する実験として行われ無事成功した(詳細は次項参照)。
続く9月6日には,2年後に昭和基地での実施が予定されている成層圏大気採取に向けての予備実験が行われた。ここ10年間三陸で実施されているクライオサンプリング装置に,南極での海氷上の回収に備えた緩衝装置を設ける等の改修を施し,また大気採取装置にも効率を高める改良を図り,それらの総合動作確認を行ったものである。実験は成功裡に行われ,今後南極のみならず海外のさまざまな場所での実験の展開に向け有効な成果が得られた。
9月13日には,高エネルギー1次電子を観測するエマルジョンチェンバーが放球された。この観測にはできるだけ長い飛翔が要求されたため,成層圏の風が西向きから東に変わる境目の時期を狙って放球された。気球は39時間飛翔した後,15日早朝両白山地の安全な山中に降下させた。観測器は18日に無事回収できた。
高高度気球では,今回で3年連続しての観測となる高度40Hを越える領域までの成層圏オゾンの濃度観測が9月10日に行われ,今回も成功した。
今回は,気球および観測器の回収を一層確実にするため,探索にヘリコプターの活用を試みた。幸い,海上の視界に恵まれたこともあり,上記大型気球による実験において,目標物の発見と回収用船舶の誘導に威力を発揮した。
(矢島信之)
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将来の大気圏再突入/回収ミッションを想定した小型カプセル(直径40B)を吊り下げたゴンドラが9月4日岩手県の三陸気球センターから放球されました 。地上の陽気はすっかり秋の気配が漂っているのに上空の風はまだ夏らしく,高度10H付近に吹く西風(ジェット気流)を待って,3日放球の予定が1日延期となりました。
高度35H付近まで気球により浮揚したところでカプセルをゴンドラから切り離し,自由落下させました。カプセルはしだいに速度を速め,マッハ1前後の遷音速域に達した後,今度は空気抵抗によって減速します。十分に減速したところで,カプセル内部に収納された十字傘というタイプのパラシュ ートを放出,展張させるわけですが,その直前までカプセルが激しく揺れ動く様子が搭載したビデオカメラの映像からもはっきりとわかりました。このような動的不安定現象はある程度実験前から予想していましたが,主として静的な力を測る風洞試験等では正確な挙動を知ることが難しいため,カプセルがひっくり返る心配もしましたが,無事パラシュートが開き実験は大成功でした。
パラシュートには丸いのやら四角いのやら,いろいろな形がありますが,十字傘は文字どおり 十文字の形をしたパラシュート(表紙写真:カプセル搭載ビデオカメラで撮影)で,カプセルの姿勢運動やパラシュート開傘時の加速度などを得ることができました。また,パラシュート開傘後,カプセルが安定に降下する様子をビデオカメラによってみることができました。
(石井信明)
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