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小惑星探査機 はやぶさ

今週のはやぶさ君

2009年6月

2009年6月25日[更新]

本日もはやぶさ君は元気にイオンエンジンを吹いています。
はやぶさ君を運用する人たちは、何種類もの時刻を使い分けなくてはなりません。

まずは日本標準時です。相模原管制室も、臼田のアンテナも日本にありますし、はやぶさ君を運用する人々のうちの大部分が日本で暮らしているからです。夜の運用などで、終電や始発の時間を気にするときも当然JSTです。
次に重要なのは世界時です。天体の観測や、人工衛星、人工惑星の運用には、基本的に世界時が使われています。これは、日本時間と9時間の差があります。

さらに、はやぶさ君が現在光の速さで往復約40分の距離にいるため、次の3種類の時刻にも気をつけなくてはいけません。
「はやぶさ君に命令を送った時刻」
「はやぶさ君がその命令を受け取って実行した時刻」
「はやぶさ君が命令どおりに実行したことを地上で確認できる時刻」
これらの時刻にも気を配りながら、片道20分の時間差を見込んで運用計画を立てていくのです。

2009年6月22日9時27分(日本時間では、6月22日の18時27分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離337,673,350km、赤経3h21m17s、赤緯17.55度にいます。
(10日単位で計算を行っているため、今週は先週のデータの再掲になります)

2009年6月18日[更新]

今日も、はやぶさ君はがんばって航行を続けています。
ほんのちょっとしたお手入れで、たとえば、ほんの少し油をさしただけで、自転車の動きが見違えるように軽くなることがよくあります。しかしながら、悔しいことに、地球から遠い宇宙空間を旅するはやぶさ君のお手入れをすることは誰にもできません。
せめて、最もはやぶさ君の負担にならない動かし方やタイミングを考えて指示を出してあげようと、地上のスタッフたちは議論を繰り返しています。

イオンエンジンのお手入れをしたくてたまらないスタッフの様子がここにあります。

2009年6月22日9時27分(日本時間では、6月22日の18時27分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離337,673,350km、赤経3h21m17s、赤緯17.55度にいます。

2009年6月11日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中のデータを送ってくれます。
現在のはやぶさ君との通信速度は8bpsと相変わらず遅いです。これは、はやぶさ君がイオンエンジンを吹くために必要な方向を向くと、アンテナの向きが地球からちょっと外れることと、はやぶさ君と地球との距離がまだまだ遠いことによります。

一方で、はやぶさ君は地球からの運用をしていない時間にも、ずっとイオンエンジンを吹き続けています。地球に帰ってくるためには、計画通りにイオンエンジンを吹かなくてはいけません。
はやぶさ君がちゃんと帰ってきているのかを知るためには、はやぶさ君の向きと、イオンエンジンのご機嫌の情報がとっても重要なのです。

少しでもたくさんの情報が欲しいのですが、通信速度が遅い上に、はやぶさ君の運用を臼田さんから行っている時間は、一日に7時間程度しかありません。
そこで、この細い回線を最大限に使って少しでもデータを得るために、ずいぶんと細かい努力が積み重ねられています。タイミングを見計らったり、はやぶさ君のコンピュータのプログラムを書き換えたりです。
例えて言うなら、機内持ち込み用の小さなキャリーバックに、二週間分の荷物を詰め込んでしまうような感じですね。

※府中市郷土の森博物館で、「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」の上映が始まりました。上映期間は6月6日〜9月6日です。

2009年06月11日14時16分(日本時間では、06月11日の23時16分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離343, 829, 600 km、赤経2h55m7s、赤緯15.75度にいます。

2009年6月4日[更新]

はやぶさ君は、今日もイオンエンジンを吹き続けています。
はやぶさ君本体に付いているイオンエンジンは、計画の通りに細く長く吹き続けなくてはいけませんが、宇宙科学研究本部1階のロビーにある、はやぶさ君の「実物大模型」のイオンエンジンのスイッチには、「連続点灯1時間で30分休み」という注意書きが貼ってあります。
これは、模型に取り付けられたイオンエンジンのスラスタの模様の付いたパネルが、中に組み込まれている電球の熱で熱くなってしまうからだそうです。

2009年5月31日19時04分(日本時間では、6月1日の4時04分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離348,471,950km、赤経2h28m55s、赤緯13.72度にいます。
(10日単位で計算を行っているため、今週は先週のデータの再掲になります)

2009年5月

2009年5月28日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中です。
新年度を迎え、はやぶさ君を支えるチームにも新メンバーが加わりました。はやぶさ君にとっても、地上のメンバーにとっても、まだまだ頑張り所が続きます。それに備えるべく、新メンバーへの技術伝承が行われています。

2009年5月31日19時04分(日本時間では、6月1日の4時04分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離348,471,950km、赤経2h28m55s、赤緯13.72度にいます。

2009年5月21日[更新]

はやぶさ君は今日も頑張って航行中です。
はやぶさ君は、深宇宙探査機です。この場合の「深宇宙」というのは、「地球周回衛星」と比べたときのお話で、月の軌道あたりから太陽系の端くらいまでを指しています。
深遠な宇宙全体と比べると「意外に近い」と思われるかもしれませんが、「探査機が実際に行く」ことを考えると、これが結構大変なのです。

地球を回る軌道から離れるためには、大きい加速度が必要ですし、地球から遠くに行けば行くほど通信に使う電波の強さが減衰してしまうために、通信が困難になるからです。さらに、太陽に近づきすぎれば高温にさらされますし、 太陽から離れすぎれば太陽電池による電力の確保が困難になります。

だから、水星を目指すベピちゃんの側面は鏡張りになって、熱さから身を守る予定ですし、逆に、火星を目指したのぞみちゃんや、小惑星に行ったはやぶさ君には、大きなハイゲインアンテナや太陽電池が必要になるのです。

2009年5月20日23時53分(日本時間では、5月21日の8時53分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離351,606,440km、赤経2h2m36s、赤緯11.45度にいます。

2009年5月14日[更新]

はやぶさ君は5月9日に6歳を迎え、今日も元気に航行中です。
2003年5月9日、はやぶさ君は鹿児島県内之浦から打ち上げられ、その約1年後の2004年5月19日には地球スイングバイを行いました。はやぶさ君が地球に最接近した時の距離は3700kmで、月と地球との距離(約38万km)の100分の1ほどしかありません。スイングバイをしながら撮影した地球の写真には、日本上空の前線と台風がくっきり映っており、まるで「一日気象衛星はやぶさ」のよう。天気予報で使ってくださったテレビ局もありました。

2009年5月10日4時42分(日本時間では、5月10日の13時42分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離353,229,450km、赤経1h36m5s、赤緯8.97度にいます。
(10日単位で計算を行っているため、今週は先週のデータの再掲になります)

2009年5月7日[更新]

地上は連休でしたが、はやぶさ君は地道にイオンエンジンを吹き続けています。
先日、ついに最後の地球からの距離が大きい時期を通過しました。これから帰還までは、日ごとに地球が近くなります。
2003年5月9日の打ち上げから、はや6年。はやぶさ君も、もうじき6歳になります。

2009年5月10日4時42分(日本時間では、5月10日の13時42分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離353,229,450km、赤経1h36m5s、赤緯8.97度にいます。

2009年4月

2009年4月30日[更新]

はやぶさ君は本日も快調に加速を続けています。

臼田さんから、はやぶさ君が見えるのは、早朝5時から午後3時半くらいまでです。はやぶさ君は、ずいぶん「朝型」になってきました。これからはだんだんと見える時間帯が早くなっていきます。
はやぶさ君に「おーい」と呼びかけてから、「ハーイ」と返事が返ってくるまで40分くらいかかります。運用時間は7時間程度なので、はやぶさ君への質問も計画的に行います。

2009年4月29日9時30分(日本時間では、4月29日の18時30分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離353,413,310km、赤経1h9m14s、赤緯6.29度にいます。
(10日単位で計算を行っているため、今週は先週のデータの再掲になります)

2009年4月23日[更新]

本日もはやぶさ君はイオンエンジンによる加速を続けています。
はやぶさ君の運用を長年やっているせいですっかり慣れっこになっていますが、探査機を加速することは実はオオゴトなのです。燃料を噴出した弾みでへんな方向を向いてしまったり、間違った方向に加速してしまったら大変ですからね。探査機の軌道や向きをじっくり見定めて、エンジンのご機嫌まで計算に入れてから、慎重にコマンドを送るものなのです。火星探査機のぞみちゃんのデルタV(加速)のときには、偉い先生方がずらりと並んで、厳かに宣言したものです。

今、はやぶさ君と地球との距離が大きくなり、2.4天文単位に近くなってきています。
過去3回経験した「地球からの距離が大きい時期」と比べると、今回は距離的にはやや近いのですが、加速のために必要な向きにするため、アンテナの向きが通信に最適の向きから少しずれるので、通信回線が細くなってしまいます。それでも、地上にいるメンバーは工夫を凝らして、はやぶさ君が小惑星イトカワから地球へと続く細く長い道を踏み外してしまわないように、微妙な調整を指示しているところです。

2009年4月29日9時30分(日本時間では、4月29日の18時30分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離353,413,310km、赤経1h9m14s、赤緯6.29度にいます。

2009年4月16日[更新]

はやぶさ君は本日も順調に航行中です。
衛星にコマンドを送るための管制卓を表から見ると、古いタイプのがっしりとしたスイッチやライトがずらりと並び、歴史の重みを感じさせますが、裏から見ると意外とスカスカだったりします。
棚や机としての部分は、さきがけ君、すいせい君たちを運用していた時代から現在も引き続き利用されていますが、中身は科学技術の進歩を受けて、だんだん変化していきます。
画面にふくらみを帯びていたディスプレイが次の世代では平らになり、さらにはブラウン管から薄型に変化しました。

2009年4月18日14時19分(日本時間では、4月18日の23時19分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離352,208,820km、赤経0h41m50s、赤緯3.43度にいます。

2009年4月9日[更新]

カノープスが見えたはやぶさ君は本日も快調にイオンエンジンを吹いています。
はやぶさ君が星を観測し、星図のデータと照らし合わせて自分の向きを知る装置を、スタートラッカといいます。現在、このスタートラッカの視野にカノープス(りゅうこつ座の-0.7等星)が入っています。
この星の赤緯は-52度なので、南半球では簡単に見られますが、日本からではなかなかお目にかかることができません。(東京からでは、観測に一番良い季節でも、南の水平線・地平線から少し顔を出す程度です)古い言い伝えで、カノープスを見ると長生きすると言われています。

2009年4月7日19時08分(日本時間では、4月8日の4時08分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離349,703,140km、赤経0h13m46s、赤緯0.42度にいます。

2009年4月2日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中です。
イオンエンジンを吹いているときのはやぶさ君にとっては、「向き」がとても大事です。計算どおりに軌道を変更するためには、計画どおりの正しい向きにイオンエンジンを吹かなくてはいけないのです。
そのため、運用者たちは、はやぶさが送ってくる「向き」のパラメタ(「太陽が見える方向は正しいか」「星はどちらに見えているか」「ジャイロセンサの値はおかしくないか」)を常にチェックします。基本的には、大航海時代の船乗りたちと同じ方法です。ジャイロセンサの技術は、カーナビでも使われていますね。

衛星や探査機の向きのことを、「探査機の姿勢」と言ったり、略して「姿勢」と言ったりします。「姿勢に注意して、はやぶさのデータを監視していてね」といわれて、慌てて背筋を伸ばした学生も大勢います。

2009年3月27日23時56分(日本時間では、3月28日の8時56分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離346,039,450km、赤経23h44m43s、赤緯-2.71度にいます。
(10日単位で計算を行っているため、今週は先週のデータの再掲になります)

2009年3月

2009年3月26日[更新]

はやぶさ君は今週も元気に航行中です。一方で、冬の間は臼田の天候、特に降雪が気になります。

臼田さんは直径64mもある巨大パラボラアンテナですが、意外と繊細なのです。はやぶさくんが使っているXバンドと呼ばれる電波の波長が35mmであり、この電波をちゃんと受信するために、臼田さんの表面は5mmの鏡面精度で整えられています。ですから、その表面に雪が積もった程度のでこぼこでも受信感度に影響が出てしまうのです。

さらさらの雪ならアンテナのお皿を立てて雪を落とすことが可能ですが、この時期の湿り気の多いべた雪が引っ付いてしまうと結構面倒です。さらに、臼田の気温が低いと、いったん積もった雪はお日様にあててもなかなか融けてくれません。

相模原は臼田ほど寒くはありませんので、「冬季は臼田の雪に注意」なんて掲示がある運用室もあります。

電波の波長と必要な鏡面精度に関してはこちらをご覧ください。

2009年3月27日23時56分(日本時間では、3月28日の8時56分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離346,039,450km、赤経23h44m43s、赤緯-2.71度にいます。

2009年3月19日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中です。
運用を行った日のはやぶさ君の状態や、はやぶさ君に送ったコマンドなどの記録は、運用ごとにきちっとファイルに挟んで書棚に収めます。このはやぶさ君の日々の挑戦の記録は実に膨大です。はやぶさ君の一挙手一投足が貴重なデータであり、これらの積み重ねがはやぶさ君自身の運用や、次の世代の探査機の設計に生かされていくのです。

2009年3月17日4時45分(日本時間では、3月17日の13時45分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離341,339,110km、赤経23h14m24s、赤緯-5.93度にいます。

2009年3月12日[更新]

はやぶさ君は今日も元気にイオンエンジンを吹きながら長い長い旅を続けています。
そんなはやぶさ君に関するプレスリリースが2件ありました。

まずは、小惑星イトカワの地名が14個、新たに決定されたことです。
はやぶさ君が行くまで、イトカワに関しては、自転周期や、色、大まかな縦横比くらいしかわかりませんでした。はやぶさ君が観測した写真を元にイトカワの地形データを整理した上で、いくつかの地名を国際天文学連合(IAU)に提案し、正式に承認されたのです。ボルダー(大きな岩)に名前をつけることに関しては、まだ議論中だそうです。

もうひとつは、「はやぶさ」の全天周映像が新たに作成され、3月26日(木)にプレス内見が、3月28日(土)に一般向け試写が行われることです。
大阪市立科学館オリジナル作品で、まずは大阪市立科学館のみでの公開ですが、上映期間がかなり長いので、見に行くチャンスは作りやすいかもしれません。美しいCGと大迫力の全天周投影で、かなり泣ける作品だとのうわさです。

2009年3月8日22時34分(日本時間では、3月9日の7時34分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離337,165,670km、赤経22h50m12s、赤緯-8.41度にいます。

2009年3月5日[更新]

本日も、はやぶさ君はイオンエンジンを駆使して少しずつ軌道を変えながら、地球へ向かっています。
太陽から離れるにしたがって、はやぶさ君の温度は少しずつ低くなってきています。はやぶさ君は、太陽電池パネルで発電する限られた電力を使ってコンピュータを動かし、地球と通信をし、ヒーターを暖め、そしてイオンエンジンを動かしています。そのどれもが、はやぶさ君の帰還にとって欠かせないものです。

これから8月頃の遠日点通過に向けて太陽からの距離が大きくなり、はやぶさ君にとっては寒さとの戦いになります。地上にいるスタッフは、はやぶさ君の向きや太陽のあたり具合、イオンエンジンを動かすことによるその周りの温度上昇まで考え抜いて、はやぶさ君の中の電力分配や温度設定を決めなくてはなりません。ちょっと寒がりだしたはやぶさ君に関する熱い議論が繰り広げられます。

2009年3月4日13時00分(日本時間では、3月4日の22時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離334,777,500km、赤経22h36m50s、赤緯-9.72度にいます。

2009年2月

2009年2月26日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中です。
このあいだ、相模原キャンパスの会議場には、「非化学推進」の看板がかかっていました。「非化学」といわれると、ついつい、念力とか、魔法とか、手漕ぎとかを思い浮かべてしまいましたが、この場合はそうではありません。はやぶさ君でおなじみのイオンエンジンや、ただいま計画中のミッション、イカロスで使うソーラーセイルなどの総称なのです。つまりヒドラジンなどの化学燃料を燃やして噴出するのではない探査機の加速方法ということだったのですね。
プログラムを見ると、さまざまな方法が提案されており、非常に興味深いです。はやぶさ君の弟、妹たちはこういうエンジンを使ってさらなる深みを目指すのですね。

2009年2月27日13時00分(日本時間では、2月27日の22時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離が331,944,950km、赤経22h21m17s、赤緯-11.21度にいます。
この位置データは、はやぶさ君の新しい軌道データをもとに計算しなおしたものです。これまで「はやぶさ」情報に表示していた「地球からの距離」からは数字が大きく変わりましたが、これは計算に用いていた初期値が古かったためで、実際のはやぶさ君の軌道に急激な変化があったわけではありません。ご安心ください。

天体の位置の表記に関しては、こちらをご覧ください。

2009年2月19日[更新]

年が明けて、管制室にお札がまた増えました。はやぶさ君に携わる人々や応援してくださる人々が、折に触れて送ってくださるのです。
新しいお札を置くためにコンピュータの上の棚を整理していたら、「さきがけ運用中」「すいせい運用中」と彫られた三角柱がありました。ハレー彗星の観測のために宇宙研が打ち上げた兄弟探査機を駒場の管制室で運用していたときに、どちらを運用しているのかをはっきり確認するために使った道具です。

今ではコンピュータのディスプレイの壁紙がこの三角柱の役目を果たしています(はやぶさ君なら「MUSES-C」になります)が、さきがけ君、すいせい君時代のコンピュータにそんな余力はなかったですからね。

地球脱出計画「さきがけ」(左)と「すいせい」

深宇宙管制センター(駒場/宇宙科学研究所)

2009年2月12日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中です。3億kmの彼方でイオンエンジンを吹くはやぶさ君を直接眺めることはできませんが、代わりに、イオンの尾をまとったルーリン彗星の観測などはいかがでしょうか?

今月の下旬から来月の上旬にかけて、ルーリン彗星が地球に接近します。この彗星は,2007年に鹿林(ルーリン)天文台で発見されました。台湾の中央に位置する標高2862mの仙人が住んでいそうな山の上にあるこの天文台は、はやぶさ後継機の探査候補天体を観測するのに大いに活躍してくれています。実際に探査機を飛ばして小天体の探査を行うためには、その小天体の軌道・自転周期・軸比(形)・スペクトル(色)などを事前によく調べておくことが不可欠ですからね。

はやぶさ君を運用するスタッフのなかにも、この天文台に観測に行っている人がいます。安部正真氏は、ちょうどこの彗星が見つかった翌週に観測を行っていたそうです。
また、北里宏平氏による小惑星イトカワの追跡観測もここで行われました。景色も星空も感動的にきれいな場所です。

ルーリン彗星に関しては、国立天文台のサイトをご覧ください。

はやぶさスタッフの観測風景は、こちらをご覧ください。

2009年2月5日[更新]

はやぶさ君は今日も元気に航行中です。
2月3日は節分でした。節分といえば豆まきです。ここでちょっと、豆の速度を考えてみましょう。

豆を1mの高さから水平に投げて、5mほど先に落ちたとして、空気抵抗を無視して計算すると、あなたが投げた豆の速度はだいたい秒速11mです。プロ野球の選手が本気で投げたら、時速150km、秒速に直すと41mくらいの速度になるかもしれません。

これに対して、はやぶさ君に積まれている試料採取装置の金属球の射出速度は秒速300mと、ほぼ一桁速くなります。
ヒドラジンを使ったエンジンからの燃焼ガスの放出速度はさらに一桁速く、秒速3kmになります。
はやぶさ君が使っているイオンエンジンでは、さらに一桁速く、秒速30kmもの速さでイオン化したキセノンを放出します。

はやぶさ君は、このキセノンイオンを投げ出す反動を使って、少しずつ軌道変更をしながら、これから一年余りかけて地球を目指します。

2009年1月

2009年1月29日[更新]

はやぶさ君とその関係者たちは、帰還に向けた作業を着々と続けています。
つい先日、1月26日は新月でした。新月の日は地球から見た太陽の向きと月の向きがとっても近く、それぞれの中心間の角距離がひと声5度以内になります。中でも今回は、太陽と月の角距離が小さいので、インドネシアなどでは月が縁だけ残して太陽を覆ってしまう金環食が見られました。横浜でも夕方ごろには、太陽と月との角距離が1.5度になりました。

ということは、月の周りを回っているかぐやちゃんと、今のところ地球から見て太陽に近い方向にいるはやぶさ君とは、見かけ上同じ写真に納まってしまうくらいの位置にいるのですね。もっとも、はやぶさ君の現在地は3億キロのかなた、かぐやちゃんは40万キロの距離と、両方とも遠すぎますし、太陽にカメラを向けるのは危険なので、実際に写真を撮ることはできませんが。

日食に関しては、国立天文台のサイトに詳しく掲載されています。

2009年1月22日[更新]

明日1月23日は、はやぶさ君との通信復活記念日です。

現在は、臼田で受信したはやぶさ君からの電波の状況を示す、通称「スペアナ」のグラフには、ぴんと一箇所に山が立ち続けています。ケータイでたとえると、アンテナ4本です。

ですが、はやぶさ君との通信が途絶した2005年12月当時は、そうではありませんでした。はやぶさ君がいるだろう方向にアンテナを向け、はやぶさ君が出している可能性のある周波数をさがしながら、ノイズの波が果てしなく続く画面を何度も見直していたのです。

そんな努力が実り、はやぶさ君が出している電波をようやく見つけ出したのが、3年前の明日なのです。

2009年1月15日[更新]

はやぶさ君と太陽の見掛けの角度が近くなる合の時期も終わりに近づき、通信状況は回復しつつあります。もちろん、はやぶさ君は、今日も元気に航海中です。

2007年1月17日、はやぶさ君は残されたバッテリの力を振り絞って、リエントリカプセルのふた閉めを行いました。
この大仕事を終えてから早2年、まるでホッとしたかのように、はやぶさ君のバッテリの電圧が下がってきています。もう、バッテリを使った運用の予定はありませんので、われわれはこれを静かに見守っています。

2005年12月、はやぶさ君が姿勢喪失をして、太陽電池パドルに光がよく当たらない方向を向いてしまいました。この時、はやぶさ君のバッテリは過放電を経験し、いくつかのセルは壊れてしまいました。しかしながら、リエントリカプセルのふたを閉めるためには、このバッテリの力が必要だったのです。
2006年7月から、このバッテリを慎重に慎重に、一日一日、一晩一晩、見守りながら充電しました。(運用時間が昼のとき も夜のときもありました)そして、2007年1月17日、カプセルのふた閉めは成功したのでした。

2009年1月8日[更新]

[ 画像クリックで高解像度画像 ]

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

はやぶさ君の送ってくれたイトカワの画像には色をつけて、縁起物のなすびに仕立てました。
はやぶさ君との通信回線はまだ細いので、画像の大部分は代筆です。

これらのイトカワの画像は、
新しいウィンドウが開きます 「はやぶさ」サイエンスデータアーカイブ(英語)でご覧になれます。
 ・Data → AMICA
 ・Operation Phase → Home Position Phase
 ・Obs.Date → 全体を見るには20051001あたりがお勧めです。(今回の画像もここから)