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小惑星探査機 はやぶさ

今週のはやぶさ君(2008年7月〜12月)

2008年12月

2008年12月25日[更新]

はやぶさ君はやぶさ君は、まだ太陽と合の位置にあります。はやぶさ君から見た、地球と太陽の方向がとても近いので、はやぶさ君との通信は太陽の上層大気を通らなくてはいけません。そんなわけで、しばらくの間は、はやぶさ君との通信回線が細くなってしまっていますが、はやぶさ君自身はいたって順調にスピンしながら航行している模様です。「せっかくクリスマスカードを書いたのに、この通信回線の細さでは送れないよ」と本人が嘆いているかどうかはまったくわかりませんが。
はやぶさ君が、実際にイオンエンジンを吹くのは、もう少し先の話です。

来週は元旦にあたるため、更新はお休みさせていただきます。
来年のはやぶさの運用は、1月3日から始まります。来るイオンエンジン再起動に向けて、そして2010年の帰還に向けて、準備は着々と進んでおります。
皆様も、よいお年を!

2008年12月18日[更新]

今日もはやぶさ君は順調に回転しながら航海を続けています。宇宙空間を行くはやぶさ君にとって、自分の向きを知ることはとても重要なことです。ですから、1次元の太陽センサと2次元のより精密な太陽センサを使って常に太陽の向きをチェックしています。
ハイゲインアンテナの上には、2次元の太陽センサ1つと、1次元の太陽センサ2つが取り付けられています。1次元の太陽センサはこの他にもいろいろな面に取り付けられていますよ。JAXA相模原キャンパスの1階ロビーにあるはやぶさ君の模型のリエントリカプセルが付いている面にも、コインの投入口のように見える2つの1次元太陽センサがついています。
自転する地球の上に立ってシャッターを開きっぱなしで北の夜空を撮ると、北極星が小さな輪を描いて動いているように見えますが、これは地球の回転軸が北極星の方向から少しずれていることによるものです。同じように、はやぶさ君の回転軸は太陽の方向からちょっとずらしてあるので、はやぶさ君が報告してくれる太陽の位置をグラフにすると円になります。

2008年12月11日[更新]

はやぶさ君はやぶさ君から見た地球の方向と太陽の方向がずいぶん近くなってきました。そろそろ合です。合は今年の夏にもありましたが、はやぶさ君と通信する電波が太陽の大気の上層を通過しなくてはいけなくなるため、雑音が入ってしまうのです。通信速度や信号を処理するときの条件を変えたりして、少しでも上手にはやぶさ君と通信ができるように工夫を重ねています。
また、合で通信状況が悪くなってしまう一ヶ月半の間をはやぶさ君が無事に乗り切れるよう、はやぶさ君の姿勢や軌道に関しても、いつにも増して入念なチェックを行っています。

2008年12月4日[更新]

近日点でのはやぶさ君の温度が上昇する時期が無事終わり、太陽からの距離が遠くなるのにつれて、はやぶさ君の温度がわずかずつ下がってきました。おかげさまでひと山越せたな、という感じです。とはいえ、これからまだ今年度に限ってみても、太陽との合や、イオンエンジンの運転再開など様々なイベントがはやぶさ君を待ち受けています。
ゲームや小説では冒険の帰り道が省略されていることがありますが、はやぶさ君にとっては地球に帰ってくるまでが冒険です。

2008年11月

2008年11月27日[更新]

はやぶさ君は、今週も元気に回転しています。回転といっても、フィギュアスケートで見られるような華麗な高速スピンではありません。だいたい10分に一回転ですから、メリーゴーランドよりも遅く、横浜の大観覧車(15分で一回転)よりも少し速いくらいになります。意外とゆったりと回っていますね。

2008年11月20日[更新]

はやぶさ君は、高利得アンテナ(ハイゲインアンテナ)をほぼ地球の方向に向け、太陽電池パネルに光をいっぱい受けて回転しております。このところ、はやぶさ君から見た太陽の方向と地球の方向が近いので、回転しながらの通信にも発電にも都合が良いです。
とはいえ、今年の夏の合の時のように、はやぶさ君から見た太陽の方向と地球の方向とが近くなりすぎると、はやぶさ君との通信のための電波が太陽大気に邪魔されてしまって雑音が増えてしまうのですが。
はやぶさ君が実際の通信に使っているのは、高利得アンテナではなく中利得アンテナ(ミディアムゲインアンテナ)の方です。中利得アンテナは、高利得アンテナと比べると通信速度は落ちますが、やや広い角度範囲からの電波を受信することができるため、回転中の今のはやぶさ君にとっては便利なのです。

2008年11月13日[更新]

はやぶさ君は、いつもどおり悠々と航行中です。イオンエンジンを吹いていない今は特に、平和で単調な運用が続きます。とはいえ、はやぶさ君がいるのは太陽の向こう側です。太陽の地球からは観測できない方の面に照らされての航海ですので、油断はできません。
太陽の向こう側まで行って、運用を行った探査機は、さきがけ君、すいせい君、のぞみちゃんに続いて日本で4機目なんですよ。

2008年11月6日[更新]

はやぶさ君は、今週も順調に航行中で、近日点付近にやってきました。太陽との距離が近くなった分暑くなり、夏モード真っ盛りです。
一方で、日本ではいよいよ冬の足音が聞こえてきます。(ちなみに地球が太陽の周りを回る軌道は円に近いので、こちらは地球と太陽との距離が遠くなった影響ではありません。地球の自転軸がちょっと傾いているため、北半球ではこの時期、太陽の当たる時間が短くなったり、お昼の太陽の高さが低くなったりしているからです。)
朝の運用開始の時の臼田局の気温は、もう一桁になっています。これからは、臼田の雪やみぞれに要注意です。

2008年10月

2008年10月30日[更新]

今週もはやぶさ君は順調に回っています。「はやぶさ君はどの辺まで帰ってきているの?」とよく聞かれるのですが、これがなかなか一言では答えられない難しい質問なのです。
太陽の周りを回らなくてはいけないですし、その回る速度にもいろいろと決まりがあるので、はやぶさ君は、一直線に我々の元に返ってくることが出来ません。はやぶさ君は、太陽の周りをもう一周してから地球に戻ってきます。ですから、来年の中頃にははやぶさ君と地球はいったん離れますが、これも計画のうちなのです。
そのあとは地球に向けてどんどん近づいてくることになります。

2008年10月23日[更新]

今週もはやぶさ君は悠々と航海を続けています。はやぶさ君のチャームポイントの一つは、大きな太陽電池パネルだと思います。地球周りの観測衛星に関わる人から、「本当に大きな太陽電池パネルだね」と言われたこともあります。はやぶさ君の場合、太陽から離れて火星の軌道よりもちょっと外側まで行くのと、イオンエンジンを使うための電気が必要なのとで、このように大きな太陽電池パネルになったのです。

2008年10月16日[更新]

臼田さんお月見今の時期は、地球から見た太陽の方向とはやぶさの方向が近いので、ほぼ「太陽の見える時間には、はやぶさ君と通信ができる」状況です。
臼田の64mアンテナではほかの探査機の運用もやっているため、はやぶさ君は、一日一回、3時間から7時間くらいの運用を行っています。はやぶさ君の場合、遠くにいるときは、命令をひとつ送ってからお答えを得られるまで30分以上もかかります。探査機の状態も4分間に一セットくらいの割合でしか受信できません。
これに対して、あかりちゃんやひので君は地球の周りを回っている観測衛星で、日の出と日の入りの時間の近くで、一日何回か、一回あたり10分くらいの運用を行っています。命令には即反応してくれますし、通信速度もけた違いに速いです。はやぶさ君に慣れてしまうと、その情報量と応答の速さに圧倒されてしまいます。
月周回衛星のかぐやちゃんはひたすら月の周りを廻っておりますし、ジオテイル君は地球の磁場の作る尾っぽを見るために、地球をひとつの焦点とした長―い楕円を描いています。一口に衛星・探査機といってもいろいろと個性があり面白いです。

2008年10月9日[更新]

はやぶさ君ウォームビズはやぶさ君は、11月後半に近日点を通過する予定です。太陽に近づくため、はやぶさ君の体温が上がる傾向になります。万が一、2005年に漏れた燃料がはやぶさ君に凍り付いたままで残っていて、はやぶさ君が暖まった拍子に放出されたりすると困ります。そこで、今回の近日点通過に向けて、そこでのはやぶさ君の向きや太陽との距離、どこの部分をどの程度までなら暖めてもよいかを考えながら、ヒーターの温度設定を下げてみるとか、いろいろな対策を検討中です。
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我が国が主体的に取り組み主導していけるミッションとして、はやぶさ2の実現は大変重要です。先日のJAXA岸和田タウンミーティングでも、はやぶさ2の実現を求める声が高く寄せられました。
新しいウィンドウが開きます JAXAタウンミーティングin岸和田:第一部「JAXAの宇宙開発が目指すもの」で出された意見
新しいウィンドウが開きます JAXAタウンミーティングin岸和田:第二部「宇宙からさぐる宇宙」で出された意見
新しいウィンドウが開きます 月・惑星探査プログラムグループ:小惑星探査機「はやぶさ2」

2008年10月2日[更新]

はやぶさ君から送られてくる情報は、何かと16進法で表示されています。16進法では、いつも使っている0〜9の数字以外に、A〜Fのアルファベットも使います。 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の次がA,B,C,D,E,Fです。Fまで来たところでようやく繰り上がって10(イチゼロ)になります。
人間にはちょっとわかりにくいですが、コンピュータにとってはとても扱いやすい形なのですよ。なぜかというと、(Off,Off,Off,Off)とか、(On,On,Off,On)などの「On/Off情報の4個セット」で表すことができるからです。
はやぶさ君を運用するためのコンピュータには、16進法の数字どうしの計算をしたり、16進法の数字を10進法に直したりするためのデスクトップアクセサリの電卓が入っています。

2008年9月

2008年9月25日[更新]

今週もはやぶさ君は悠々と回っています。その一方で、日本にある地上局のほうは台風シーズンの到来に、戦々恐々としております。探査機との電波通信を行うために地上局に設置された深皿型のアンテナの直径は、それぞれ10m、20m、34m、64mもあり、これらを通信する探査機との距離に応じて使い分けています。これらのアンテナは、お皿の面積が大きいだけに、強い風が苦手です。風の強い時は、アンテナを真上に向けて風の抵抗を減らして耐え忍びます。この間の台風では鹿児島局がお休みになり、その分を臼田局や世界各地にあるJAXAのアンテナでカバーしました。

2008年9月18日[更新]

はやぶさ君がいる真空中では、熱は放射でしか伝わりません。ですから、はやぶさ君の太陽にあたっている側は熱くなり、影になっている側は放射冷却される一方でどんどん冷えていきます。
はやぶさ君の中の暖まった部分から冷たい部分へは、熱伝導や放射で熱が伝わりますが、これらの方法では、空気の対流と比べてほんの少しずつしか熱を伝えることができません。そのため、はやぶさ君の暖まっている部分と、冷えている部分との間には90度近くの温度差があります。
これでもヒーターや、放熱板や、断熱材を使って、各機器にとって耐えられる温度環境になるように調節した結果なのです。ちなみに、ハイゲインアンテナが白色なのも熱対策です。

2008年9月11日[更新]

遠日点にいた2月の頃とくらべると、はやぶさ君はずいぶんと温まっています。はやぶさ君にとりつけられた温度計のなかには、10度以上、上昇したものもあります。(日のあたらない部分など、場所によってはヒーターを点けて暖めていますが)
はやぶさ君と太陽からの距離が変化するにつれてはやぶさ君の温度や発電量が変化していくのを見ると、予測された範囲内とはいえ「はやぶさ君も大変だなぁ」と思います。

2008年9月4日[更新]

はやぶさ君の運用は、長野県の臼田にある、64mのアンテナを使っています。山の中腹にあるので、気象条件は厳しいです。今は、雷が一番怖いかな。はやぶさ君は、カミナリサマの手の届かない宇宙を悠々と航行中なのですが。

2008年8月

2008年8月28日[更新]

ここの所、とても平穏な運用が続いています。いつもと同じように、地球とはやぶさ君との間の距離を測ったり、はやぶさ君が溜めている非可視中(はやぶさ君との通信を行っていない時間帯)の状態のデータを教えてもらったりしています。
はやぶさ君から降ろしたデータは、JAXAのコンピュータに蓄積されていきます。これを、各機器や軌道の担当者が読み出して解析し、厳重にチェックするのです。

2008年8月21日[更新]

はやぶさ君を運用している部屋にも、一般公開でお配りしているペーパークラフトの完成品がいくつかあります。説明用のスペシャルバージョンになっており、座標軸の方向や、12基ある化学推進エンジンのスラスタの番号などが書き込まれています。
赤いボールペンでXと書かれているペーパークラフトを最初に見つけたときにはびっくりしましたが、軸の名前だったんですね。ちなみに、はやぶさ君の場合は、長期間にわたる軌道変更に必要なイオンエンジンの噴出方向がX軸、通信に重要なハイゲインアンテナの方向がZ軸になっています。

2008年8月14日[更新]

地球から見た太陽とはやぶさ君との角度が大きくなりましたので、はやぶさ君との通信への太陽のコロナによる影響はほとんどなくなりました。はやぶさ君との通信状態もよいです。ですから、はやぶさ君には、現在の体調だけではなく、非可視中(はやぶさ君との通信を行っていない時間帯)の状態も少しずつ報告してもらっています。

2008年8月7日[更新]

はやぶさ君の運用をする部屋には、はやぶさ君の送ってくれる体調レポートを表示するコンピュータがあります。はやぶさ君の場合、電波の速さでも往復約40分かかる距離にいますので、実際は20分前のはやぶさ君の状態なんですけどね。向きや、発電量、コンピュータの様子など様々な情報が入っています。各部分の温度の表示だけでも100個以上あるんですよ。この画面を通じて、はやぶさ君を見守ります。

2008年7月

2008年7月31日[更新]

はやぶさ君は今、太陽の向こう側にいます。太陽とはやぶさ君との距離は、太陽と地球との距離の約1.5倍です。ここ数週間ほどこれらの3つの位置が直線に近くなったため、地球から見ると、はやぶさ君が太陽のすぐそば、見かけの角度にして数度くらいの位置を通過します。
太陽直径が0.5度、コロナという太陽大気の外層がその10倍以上に広がっていますから、この合の時期、はやぶさ君と通信をするための電波は、コロナの中を通らなくてはいけません。ゆらゆら揺れる水の向こうの景色が、ゆらゆらして見えるように、コロナを通ってきたはやぶさ君からの電波もゆらゆら揺れてしまうため、通信のノイズが増えるのです。もっとも、コロナは水よりもずーーーっと薄いのですが。
はやぶさ君と太陽との間の角度が再び大きくなるにつれ、通信状況はだんだん良くなってきました。でも、油断は禁物ですので、臼田での受信状況を確認しながら、気を引き締めて運用に当たっています。

2008年7月24日[更新]

今週のはやぶさ君7月24日管制室には、横軸に電波の周波数、縦軸に臼田で受信した電波の強さを表したグラフが、刻一刻と表示されています。通称、スペアナです。画面中央にピンと立ち上がったところがはやぶさ君からの電波で、その周りがノイズをあらわしています。現在はハードディスクレコーダーに録画していますが、はやぶさ君の救出運用当時はビデオテープに録画していたため、本棚には大量の「スペアナビデオ」があります。

2008年7月17日[更新]

地球から見た、はやぶさ君の方向と太陽の方向がかなり近くなってきました。合です。はやぶさ君と通信する電波が太陽のごくごく近くを通るので、ノイズが増えます。これはもちろん予想されたとおりですが、万が一に備えるべく、運用者の間では真剣な議論がなされました。

2008年7月10日[更新]

はやぶさ君と地球との位置関係が良くなってきたので、通信状態が良くなってきています。ただいま128bps。ほぼ5分おきに、はやぶさ君の体調チェックができます。はやぶさ君が溜めているデータのダウンロードも少しずつ始めました。

2008年7月4日[更新]

はやぶさ君は、スピン安定で、くるくる回りながら、弾道飛行を続けています。冬眠モードとはいえ、週5日くらい運用をしておりまして、はやぶさ君の体調チェックをしたり、距離を測ったりしています。