【アイソクロン】

 放射性核種は時間とともに自発的に放射線を放射しながら壊変し,最終的には安定な核種へと変化する。壊変する核種を親核種といい,壊変の結果生ずるものを娘核種という。放射線核種の壊変の割合は放射性核種により固有の値を持ち,時間の関数として記述される。例えば,原子量87のルビジウムの約半分が500億年で原子量87のストロンチウムに壊変することが知られている。アイソクロンとは,放射壊変をする親核種と娘核種について,ある一定年後の親核種と娘核種の含有量の関係を示す線であり,等時線とも呼ばれる。具体的には,あるマグマが固結してさまざまな種類の鉱物を晶出したと考えると,娘核種の濃度が一定のマグマから同時代に晶出した固相はすべて同じアイソクロン上の値をとることから,逆にアイソクロン上の二つの異なる測定点を得れば固相の晶出した年代が求められる(アイソクロン法)。

(中村栄三)


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