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牧島一夫さん、「林忠四郎賞」を受賞


受賞記念講演を行う牧島一夫 東京大学教授

 X線天文学グループでおなじみの牧島一夫さん(東京大学大学院教授・理化学研究所主任研究員)が、2005年度の日本天文学会「林忠四郎賞」を受賞されました。牧島さんは東京大学へ移られる前、大学院を含めて約10年を宇宙研で過ごし、初代の『ISASニュース』編集委員でもありました。「林忠四郎賞」は、分野への寄与が大きく独創的な研究に対して天文学会から贈られるもので、今回が10回目に当たります。X線天文学では、京都大学の小山勝二さんが第3回に受賞されています。牧島さんがいまさら、という感を持たれる方も多いかと思いますが、とにかく大変おめでたいことで、心からお祝い申し上げます。

 牧島さんの受賞対象となる業績は、ブラックホール天体と銀河団のX線観測研究です。ある程度シニアな方はよくご存知のように、牧島さんは小田稔先生の遺志を継ぐ形で、日本のブラックホール研究の牽引車としてパワフルな仕事を続けてきました。降着円盤の内縁の温度からブラックホールの質量を導いたり、ULXという名で世界的に広く知られることになった超光度のブラックホール天体を系外銀河の中にいくつも見つけています。一方、銀河団では、それまで信じられていたクーリングフローという仮説に合わない現象をいくつも見つけ、銀河団の中心で銀河の磁場や巨大ブラックホールが莫大なエネルギーを生み出しているらしいことを示しました。

 牧島さんの仕事は、宇宙に存在するブラックホールやダークマターや磁場(つまり、えたいの知れないもの)のしっぽを何としてもつかんでやろうという意気込みに満ちたもので、牧島さんにあこがれた何人もの若い人々が研究者として成長し活躍しています。個人的には東大牧島研の立ち上げ時期に、「あすか」衛星のGIS検出器を中心に、若い人たちと夢中で実験や解析や酒をやっていたころのファミリー的な雰囲気が懐かしく思い出されます。

 牧島さんの「林忠四郎賞」受賞を、みんな大変喜んでいます。受賞を機に、ますますパワフルな研究を展開し、X線グループを引っ張っていってください。

(首都大学東京 大橋 隆哉) 


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ISASニュース No.302 (無断転載不可)