No.299
2006.2

ISASニュース 2005.2 No.299

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ブラジル出張 

大気球観測センター 福 家 英 之  


長旅

 今年度から始まった日本ブラジル共同気球実験のため,2005年12月10日から2週間ほど出掛けてきました。宇宙研としてのブラジルにおける気球実験は,超新星1987Aの爆発をきっかけに1988年から1992年にかけて行われて以来14年ぶりで,私にとっては初めてのブラジル訪問です。日本からブラジルへの飛行機は直行便がなく,主としてアメリカで乗り継いで十数時間のフライトをハシゴするしかありません。おかげで映画もたくさん観られます。

 実験場所はブラジル南部,サンパウロとリオデジャネイロの中間に位置するカショエイラ・パウリスタという小さな町。ブラジルの国立宇宙研究機関であるINPEの広大な敷地内には,気球関連施設に加え,気象関係の研究棟などが点在しています。


風物

 季節が日本と逆転するブラジルは,まさに夏本番。照り付ける太陽が,厳冬からの訪問者に容赦なく光を浴びせます。暑さで消耗した体力の回復には,何といってもシュラスコが最高! 鉄ぐしに肉の塊を刺して焼いた豪快な郷土料理で,肉の種類も豊富です。また,ガラナという果実から作られるジュースも,カフェインが多く強壮作用があるとして愛飲されています。

 現地では驚くほど英語が通じないため,料理を注文する際にはひと頑張りしないといけません。それでも,成田からの機内で一夜漬けしたポルトガル語を駆使すれば,何とかなるもの。私たちも,INPEや日本の大学からの共同研究者たちと一緒に舌鼓を打ち,異文化交流を楽しみました。

 辛党の皆さんへのお薦めはピンガ(カシャーサともいいます)。サトウキビから作られる蒸留酒で,アルコール度数は40度もあります。ストレートでも飲まれますが,砂糖とライムを混ぜたカクテル「カイピリーニャ」なら口当たりも良く,早速私もサウージ(乾杯)! ただし,ラテン系のノリで飲み過ぎるとベバド(酔っ払い)になってしまいますので,そこは要注意。

 さて,ブラジルといえば,やはりサッカー。どんな小さな町でも,子供たちがボールと戯れている姿が見られます。私たちもINPEのスタッフたちと少しボールをけりましたが,なるほど,どのオジサンも基本ができていらっしゃる! 滞在中にはサッカーチームの世界一を決めるトヨタカップの決勝戦が行われており,街中の飲食店には日本からの生中継を食い入るように見つめるサポーターの人だかりができていました。そして,地元のサンパウロFCが王者に輝いた瞬間には,花火が上がったり車のクラクションが鳴り響いたり。サッカーが国技であり生活の一部でもあるということもうなずけます。


贈物

 肝心の気球実験は,というと,2回の放球試験と1回の測風気球追尾試験を順調にこなし,予定通り完了させることができました(詳しくは「ISAS事情」参照)。

 当初の帰国予定では,12月24日にアメリカで乗り継ぎ,日付変更線をまたいでクリスマスの晩に日本着,というクリスマスイブの夜がないスケジュールでした。そのため,サンタさんからプレゼントをもらえない!と心配していたのですが,結果的には予備日を前倒しして帰国できるという思わぬプレゼントを授かることになりました。もっとも,予定より早く着いた日本は,やはり寒かったです。

 こうして地球の裏側にまで,東西だけでなく南北にも「奔走」した年の瀬でしたが,来年度以降の本格実験開始に向け,実り多き遠征とすることができました。

連日の炎天下での作業で皆すっかり日焼けしてしまいました

(ふけ・ひでゆき) 


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