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INDEX(れいめい)打上げ成功


 INDEX衛星は,オーロラの微細構造の理学観測と,先進的な衛星技術を軌道上で実証するミッションを持った,重量70kgの小型衛星です。ロシアのドニエプルロケットにより,カザフスタン共和国バイコヌール基地の地下サイロから,日本時間8月24日6時10分に打ち上げられました。

 バイコヌールまでの衛星の輸送,射場での衛星の点検作業には,特殊な環境での苦労が数多くありました。モスクワまで1日,そこからバイコヌールまでさらに1日。そこは,7月には気温45℃にもなる砂漠地帯です。大学院学生や宇宙研の若手スタッフが,昼は試験室で衛星試験をし,夜は単語帳のロシア語によるシシカバブとビールで頑張りました。

 打上げ約1.5時間後には,ノルウェーのスバルバード局でテレメトリー信号が受信された旨の電話が入り,内之浦20m・34mアンテナ一同,どよめきました。web上でテレメトリーファイルを取得し,すぐさま初期太陽姿勢捕捉の自動シーケンス過程が見られます。

 打上げ6時間後の12時10分,内之浦20m・34mアンテナ局で,予想されていた時刻・方向からINDEXからの電波が捕捉され,コマンド送信の後,モニター画面上にINDEX衛星のテレメトリー情報が表示されました。太陽パドルは入感直前に展開しており,電力的にも安全な状態に入っていました。一同,ほっとする間もなく,昼に2パスの運用,深夜に2パスの運用があり,スピン状態での衛星機能の確認作業を継続し,1日に2回起きたり寝たりの生活を強いられました。

 現在までのところすべての機器に異常はなく,8月28日には超小型GPS受信器に電源を入れてからわずか7分でコールドスタート測位を完了し,時々刻々と衛星位置をテレメトリーで表示してきてくれます。そして,8月29日にはバイアスモーメンタムの3軸姿勢安定状態に入りました。8月31日未明にはオーロラ観測のカメラも電源投入試験を行い,ファーストライトとして九州地方の夜間の市街地の光が8Hzの動画で撮像されました。

 今後は,姿勢制御系の本格運用とオーロラカメラの理学観測,そして粒子センサーの動作試験を行い,カメラと粒子センサーの同時観測によるオーロラ観測を行っていきます。

 新設の相模原新A棟屋上に設置した3mアンテナも順調に稼働し,131kbpsでのテレメトリー受信にも成功しています。

 INDEXの打上げと初期運用の成功により,小型科学衛星による機動性と先進性のある宇宙科学・工学の時代を迎えることを願い,「れいめい」という愛称が選ばれています。


INDEX衛星のバイコヌールからの打上げをスクリーンで見守る
内之浦20m局の運用チーム

(齋藤 宏文) 


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ISASニュース No.294 (無断転載不可)