No.288
2005.3

宇宙科学を支えるテクノロジー

ISASニュース 2005.3 No.288 


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特集 第5回宇宙科学シンポジウム
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- 宇宙科学を支えるテクノロジー
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膜面展開構造物の展開ダイナミクスと形状安定性


 ソーラーセイルは,大きな帆にたくさんの太陽光を受けて宇宙航行します。太陽電池アレイは,面積を大きくすることにより発電量を増やすことができます。これらは大きいままではロケットに載せて打ち上げることができないので,小さく折り畳んでロケットに載せ,宇宙で大きく広げることになります。

 ソーラーセイルの帆や太陽電池アレイは,大きな面積を必要とするのですが,厚みはあまり必要としません。従って,薄く軽量化することが可能になり,主に膜面で構成される構造物で作ることができます。しかしながら,1辺の長さが数十mから100mもある膜面をうまく作り,これをうまく折り畳んで収納する技術が必要となります。また,これを真空無重量の宇宙空間で安定して展開・運用する技術開発が必要です。

 ISASでは,膜面を畳み込んだ状態から遠心力を利用して展開し,そして安定化させる膜面展開構造物の研究に取り組んでいます。展開途中の膜面の振る舞いや展開後の安定性を確かめるために,回転テーブル式の展開実験装置を作って,展開ダイナミクスを計測しています。その計測データを用いて数値シミュレーションできるように,解析方法の研究もしています。膜面には折り癖やしわができやすいので解析が大変難しく,宇宙で使う実際の大きさのものは地上では実験できません。このため,解析方法の研究も大変重要です。図は,何種類もの折り畳み方を考え,その展開実験をしたときの様子です。これらの成果は,2004年にS-310ロケットによって行われた宇宙実験で開花しましたが,今後はもっと大きく開花するように検討しているところです。

図 膜面の折り畳み方

(衛星構造・機構研究班/ISAS/JAXA) 


  JAXA:宇宙航空研究開発機構
  ISAS:宇宙科学研究本部


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