ダークバリオンの直接探査を目指した
小型衛星計画DIOS
我々の宇宙は,ダークマターとダークエネルギー※という未知の存在によりエネルギー的に支配されています。しかし,よく知っているはずの普通の物質(バリオン)ですら,存在するはずの量の半分以上が未検出で,ダークバリオンとなっています。宇宙の構造と進化を探るためには,直接検知可能なバリオンの観測が必須であり,ダークバリオンをとらえることは非常に重要です。
※ ダークマター:銀河や銀河間物質など通常の物質でない質量で,宇宙の全質量の90%を占める。
ダークエネルギー:斥力となる負の重力源で,宇宙のエネルギー密度の70%を占める。
ダークバリオンの多くは温度100万度ほどの希薄なガスとして,宇宙の大構造に沿って広く分布していると予想されています。小型衛星DIOS(Diffuse Intergalactic Oxygen Surveyor)は,ダークバリオンの電離酸素からの輝線放射をとらえ,それが描き出す宇宙の大構造を3次元的に明らかにします(図)。DIOSは,4回反射X線望遠鏡と撮像型X線マイクロカロリメータにより,これを世界で初めて実現します。このような広視野のサーベイ観測は,遠方の微弱天体の観測を目指す大型X線天文台では不可能で,DIOSのような小型衛星でこそ実現可能です。