- Home page
- No.264 目次
- 研究紹介
- お知らせ
+ ISAS事情
- 科学観測気球大空へ
- 東奔西走
- いも焼酎
- 編集後記

- BackNumber
M-V-5号機第2組立オペレーション行われる

 2月4日から鹿児島県内之浦町の鹿児島宇宙空間観測所(KSC)で,M-V-5号機の第組立オペレーションが行われました。昨年12月TVCオペでノズル周りの制御装置の動作確認を行い,本年1月の第組オペでノズルをモータケースに取り付け,2月の第組オペでロケットを整備塔に組立てました。第組オペは1ヵ月近く続きますが,その間,大物の移動および組立作業が3回あります。組み立て順にM-14セグメント(第段ロケットの下半分,約45トン),M-14セグメント(第段ロケットの上半分,約42トン),M-25(第段ロケットと1/2段接手,約40トン)と,いずれも40トンを越える重量物で,門型クレーンによってM組立室から整備塔まで運ばれ,整備塔内にゆっくりと吊り込まれる姿はさすがに圧巻です。

 これらつのロケットが積み上げられると全長約20mとなり,いよいよロケットの完成した姿に近づきます。今回のオペではまだ衛星(ミューゼス小惑星探査機)は登場しませんので,段ロケットから上はM組立室にあります。今回のオペによってロケット側の準備が整い,続いて3月に衛星が内之浦入りし,最終整備を開始します。4月にロケット上部に衛星を搭載すれば打上げに向けてすべての準備が整うことになります。新緑の頃,内之浦町には小惑星に向かって飛び立つM-V-5号機のごう音が響くことでしょう。

(石井 信明) 


Return
Next

- Home page
- No.264 目次
- 研究紹介
- お知らせ
+ ISAS事情
- 科学観測気球大空へ
- 東奔西走
- いも焼酎
- 編集後記

- BackNumber
第9回技術発表会

 1月28日研究・管理棟A会議室において,宇宙科学研究所の技術職員による第回技術発表会が開催されました。発表件数は口頭発表7件,ビデオ2件,ポスターセッション1件でした。  内容は午前が振動試験の運用,技官の特許申請,高野研修委員長挨拶,飛翔体搭載用アンテナの特性測定技術,シンプルなホームページの作り方,午後からはカプセル回収(ビデオ映写),発射管制,乗鞍からLUNAR-Aまで,衛星分離時におけるモーター燃焼終了後の残留ガスによる衛星汚染の実験室的シュミレーション,バイコヌール宇宙基地(ビデオ上映)が行われました。ポスターセッションはロケットモータ大気燃焼試験に関して行われ多岐にわたる興味深いものでした。参加者が60人近くあり,好評を得ることができました。今後も技術職員の積極的な参加を期待しています。

(技術職員研修委員会) 


骨折治療中にも関わらず松葉杖で発表した伊藤技官

Return
Next


- Home page
- No.264 目次
- 研究紹介
- お知らせ
+ ISAS事情
- 科学観測気球大空へ
- 東奔西走
- いも焼酎
- 編集後記

- BackNumber
宇宙学校・相模原が盛況裡に開催

 さる1月25日(土),相模原市立産業会館において,宇宙学校・相模原が開催され,延べ615名の方々の参加を得ました。今年の特徴は,例年に比べて子どもたちの参加が多かったことで,非常に嬉しいかぎりです。

 1時限目の「星の王子さまに会いに行こう」では,澤井秀次郎さんがMUSES-Cの話を,黒谷明美さんが宇宙と生き物の話をしてからQ&Aには入りました。最初に質問に立ったのは74歳の方で,
「あまり来たくなかったのだが,近くに住んでいるのでつい来てしまった。あまりに世の中に夢がないので,何かの足しになるかもしれないと思ってね」
と発言して,会場の笑いを誘いました。
MUSES-Cが持って帰ったかけらはどのように分析して,どんなことが分かるのか」
とか
2種類のアミノ酸は見た目は変わらないのか」
などの専門的な質問が出ました。

 2時限目は「近未来のロケット(成尾芳博さん)と「超小型衛星の魅力(大西晃さん)」で,やはり
「一般の人が宇宙へ行けるのはいつごろか」
という質問はもちろん,
「超小型衛星の実装技術は
などの疑問も飛び出して盛り上がりました。

 3時限目は「ブラックホールはX線で輝く(中澤知洋さん)」と「宇宙望遠鏡による天文学(和田武彦さん)」でした。この天文学の時限はいつもブラックホールの質問で9割くらいが占められるのですが,今回は和田さんが赤外線カメラという新兵器を準備して対抗したので,赤外線天文学に関する質問もたくさん出てきました。こういった簡単な演示実験を含むのも一計と感じさせられた和田さんの試みでした。

 相模原市の方々にもお世話になりました。統合後もこうした連携が末永く発展するといいなと考えながら家路につきました。

(的川 泰宣) 

Return
Next

- Home page
- No.264 目次
- 研究紹介
- お知らせ
+ ISAS事情
- 科学観測気球大空へ
- 東奔西走
- いも焼酎
- 編集後記

- BackNumber
宇宙学校・東京(2/1)報告

 東大駒場キャンパスで行われた宇宙学校には総勢675人のみなさんに集まって頂きました。会場では,名古屋からの小学4年生も含め1/3程を子どもたちが埋め,活発に質問をしてくれました。中には,惑星探査では
「どんな波長で観測するのですか 赤外線ですか,紫外線ですか,X線ですか
と言う専門家顔負けの鋭い質問があったりしました。講師の先生も待ってましたとばかり,熱心に答えて頂きました。しかし,恒例の
「ビッグバンの前には何があったの
と言う質問がでてきたりもし,校長も含めて
“知ることができないことは分からないとしか答えられない”
とコンニャク問答のようなやり取りもありました。でも,一般的な聴衆のみなさんの関心は,
「本当に宇宙に行けるのか」と
「ブラックホールとは」
「宇宙の最初は
にもっぱら集中していました。丁度,この講演会の翌日,スペースシャトル“コロンビア”の事故があり,もしこの講演会と時期的に入れ替わっていたら,とても私の校長ではつとまらない宇宙学校になっていたかもしれないと,ヒヤリとしました。ただ,この事故の後だったら,安全性,将来の方向などの質問にどう答えたか,私も含め日本の宇宙計画に携わる者全員が,自らの問題として答えを用意しておく必要があると思います。

(國枝 秀世) 

Return
Next

- Home page
- No.264 目次
- 研究紹介
- お知らせ
+ ISAS事情
- 科学観測気球大空へ
- 東奔西走
- いも焼酎
- 編集後記

- BackNumber


  MUSES-C 月報−3


熱真空試験を終えて


 MUSES-Cは,1月から2月のはじめにかけて,打上げ前の最後の大きな関門である飛翔型モデルによる熱真空試験を実施しました。試験は2回に分けて行いました。この探査機の最大の特徴はイオンエンジンの運転にあるため,試験では実際にこの運転に必要な大電力機器を用いました。前半には,イオンエンジンの加速電源に擬似負荷を接続しつつ,搭載各機器の温度と熱制御の妥当性を確認しました。小惑星表面の温度は摂氏でおよそ100℃と推定されているため,接近・着陸のシーケンスを模擬して,探査機下面搭載機器の温度上昇を確認することも大きな目的のつでしたが,これも無事終了しました。

 後半の試験では,飛翔型探査機で実際にイオンエンジンを駆動しイオン加速までを行ってみるという,これまで世界でも類をみない試験を実施しました。加速電源の負荷がエンジンそのものであることが前半の試験との違いです。MUSES-Cはクラスタ型のイオンエンジン構成を採用していますが,幸いにして各エンジンヘッドの運転も正常であることを確認することができました。

 あまり注目されていませんが,MUSES-Cで採用されている新技術のつに,消費電力拘束つきの熱制御装置があります。従来の衛星,探査機では,所定の下限温度を下回ると個々のヒータにスイッチが入り,最悪のタイミングで同時に全ヒータがオンとなるとヒータ部の電力消費が極端に大きくなってしまいます。MUSES-C探査機では,常時イオンエンジンを駆動する電力を一定量確保しておく必要があるため,このヒータ電力消費の上限を拘束しておく必要があり,新しい制御論理を導入してコンピュータ化しています。化学推進機関の電磁弁が駆動されて短時間ながらもピーク電力が高くなる際は,ごく短時間ですがヒータ電力をオフにするという細かい芸当もできるよう工夫されています。重点の実証技術には掲げられていませんが,こんなところにも新しい技術が採用されています。2月後半は打上げ前のアライメントや慣性量の測定を行い,最終の機能試験を行って3月中旬に内之浦射場に搬入される予定です。

(川口 淳一郎) 

Return


#
目次
#
科学観測気球大空へ
#
Home page

ISASニュース No.264 (無断転載不可)