No.242
2001.5

宇宙電波,「ひのとり」,「ようこう」…  
ISASニュース 2001.5 No.242  

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平 山 淳 


 小田先生は今ごろグリンデルヴァルトの雲の上を短ズボンで飛び回っておられるのでしょう。奥様とご一緒に名誉市民とは何とカッコよいことでしょう。そういえば何かの会の帰りに武蔵境の駅の階段を降りながら突如言われた言葉を思い出します。「人間,ツガイになるのが一番ですよ」と。その頃まだ日本の天体望遠鏡計画が「国内3. 5メートル鏡」になっているときでした。「“国内”はとおりませんよ」,と電車を降りる前にいわれた矢先のことでした。「国内に作る計画は賛成できませんよ」という風に聞こえました。ずっと先を見通して云っておられるのだと思いましたが,それにしても唐突に「ツガイ….」とはナンですか,お宅へのご帰還がもう目の前になったのでそう云われたのでしょうか,お聞きしたく思います。

 先生が日本の太陽電波の草分けの一人であることは良く知られていますが,「宇宙電波のファンです」ともおっしゃっていました。当時カシマシカッタ宇宙電波の若手たちをずいぶんと助けられたことと思います。そして勿論「すだれコリメーター」の登場です。今は亡き田中捷雄さんが「ひのとり」によって大活躍しましたね。ひき続いて「ようこう」でも搭載され,太陽フレアの硬X線の画像にはループの足元の二つ目玉の他にループの頂上で光るものもあることが発見されました。お蔭様で日本の現役の太陽研究者達は胸を張って世界を闊歩しております。「ようこう」メンバーは外国人を含めて溢れんばかりの人数をお宅に呼んでいただいて笑顔で励まして下さいました。合同葬のおりに,「あとに続く我々も先生には負けていられない」と言うお話がありました。全く同感で,脳神経細胞からの信号の「すだれ」による検出を考えだされるなど,感心ばかりしてはいられないと思っています。

 お嬢さんの教会での凛とした聖書朗読は,あまりに早かった旅立ちに,納得できません不条理ですと言われているように響きました。

(国立天文台名誉教授,明星大学) 


故伊藤富蔵先生と「すいせい」誕生を祝う(1985年8月)


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小田先生は電波天文学者?
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