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一般公開開催される

 恒例の宇宙科学研究所相模原キャンパスの一般公開が,8月26日(土)に行われました。今年は天候にも恵まれ,夏休み最後の週末が公開日となったためか,家族連れが多く目立ちました。また夏休みの宿題の追い込みでしょうか,一生懸命メモをとっている小学生もたくさん見かけました。

 今年は6会場41のブースが展示・実演・講演・ビデオ上映等を行いました。中庭が工事のため,共和小学校の校庭をお借りして水ロケットの打ち上げを行いました。子供たちのカウントダウンと一緒に行ったパラシュート付ロケットの打ち上げも印象的でした。新企画としてフォトルミネッセンスや宇宙の大きさを測ろう(X線天文学)なども加わり,年々パワーアップしています。

 「わかりやすい説明を」という呼びかけに,各ブースの展示では,コンピュータや映像・ポスターが工夫されていました。当日は,駐車場は満杯,水ロケットの整理券が早々になくなり,ビデオ上映も満員御礼,各展示も行列のできる盛況ぶりでした。入場者数はなんと約25,000人。来訪者数の記録を更新しました。

 最後に一般公開をスムーズに運営していただいた管理部の皆さん,設営や準備をしていただいた観測部や技術部の皆さん,さまざまなアイデアで展示をしていただいた各ブースの皆さんに,この場を借りてお礼を申し上げます。

(実行委員長・久保田 孝) 


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「21世紀夢の技術展」宇宙研ブース大盛況

 日経新聞主催の「21世紀夢の技術展」が,7月21日から8月6日まで東京ビッグサイトで開催され,宇宙科学研究所も文部省の後押しで300平方メートルという広いブースを出展しました。広い会場に70を超すブースが趣向を凝らして展示・催しを繰り広げ,入場者は17日間118万人に上りました。

 宇宙研のブースでも宇宙への夢を広げてもらおうと,いろいろな企画を行いました。現在から過去へ宇宙の時間をさかのぼるコズミックタイムトンネルの大壁画や,科学ミッションを衛星模型,ビデオ,絵本で紹介するコーナーでは,説明員がさまざまな質問からお叱りにまで対応しました。

 月・惑星探査ローバの実演は大人気で毎回大勢の観客があり,毎日4回5回も実演する目玉イベントでした。「ようこう」の太陽のX線画像の出力も列が出来るほどの人気でした。ジオラマまで手作りの太陽発電衛星SPSのコーナーでは熱心にビデオに見いる人も多く,会場で受け付けた質問用紙の1/3が太陽発電に関するものでした。

 ミニミニ宇宙教室は土日毎に開かれ,1回2人ずつの先生が専門分野から宇宙の果てまでの熱心な質問に答えました。終了後も質問攻めにあっている姿も見受けられました。プロのブラスアンサンブルのミニコンサートはくつろぎのひとときを提供してくれました。

 企画から会期中の要員まで,多くの方々の協力を得てこの一大イベントを無事終わらせることが出来ました。

(周東三和子) 

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MT135-72,73号機のかみ合わせ試験

 MT135-72号機73号機のかみ合わせ試験が,8月21日から24日までC棟で行われた。3年前からKSCの職員が主体的に打ち上げを行っているので,そこから3名の職員の参加があった。振動と衝撃試験,さらにオゾン観測機に100Gの衝撃試験を行ったが,不具合の発生がなく無事に試験を終了した。

 9月8日にパラシュートの本組みを行う。前年の71号機の打ち上げでは,パラシュート吊索とライザーの連結部が切れてしまったので,今回はその結び目をボーラインノットからラークスヘッドノットに変更して強度を8割程増加した。実験の目的は,オゾン層におけるオゾン密度の変動を長期的に観測することである。オゾンは酸素ガス中での放電で発生する毒性の強いガスであるが,上空のオゾンは太陽からの紫外線を吸収する。それにより人類は皮膚ガンを免れているのであるが,この20年,成層圏に拡がったフロンガスがオゾン層を破壊するという問題が起きている。フロンは,冷蔵庫の冷却剤やスプレーの噴射剤に用いられた無毒で不燃性のガスである。現在では,フロンの製造は禁止されているが,フロンの寿命は数十年もあるので,過去に空気中に放出されたフロンが今後もオゾン層に拡散しオゾンが減少しつづけると考えられている。将来,古い家屋が取り壊される時,断熱材に含まれているフロンが空気中に逃げることも問題になっている。

(中村良治) 

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再使用ロケット実験機・第4次地上燃焼試験

 7月17日から8月4日まで能代実験場で再使用ロケット実験機のエンジン燃焼試験が行われました。今回の実験はエンジンの推力制御,再着火特性データ取得に始まり,各種搭載機器を取り付けた飛翔形態での離着陸時の環境調査や水素漏れを検知しながらの運用性の確認などを目的として実施しました。実験後半で取り付けた空力整形用ボロかくしのエアフレームも,最初はなんだか変ですが見慣れるとなかなかのものに見えます。合計6回のエンジン燃焼を伴う各種試験を予定通りに終え,再度離着陸実験に臨むためのデータ取得ができました。

 実験前半は梅雨の名残で多少不順な天候でしたが,後半は梅雨も明け,おまけにフェーン現象まで重なる猛暑となりました。前回の3月の試験の時の天気を思い出せば天国のような環境でしたが(天国とはよいことばかりではありません),すっかり黒く焼けた実験班の中で本部周辺だけが日焼けなしというのもバツの悪いものです。後半の暑さに加え体力勝負の実験であることは相変わらずでしたが,最終日の反省会を兼ねた打ち上げパーティーは開放感も手伝って最高に盛り上がりました。内容は実験班だけのヒミツです。

 ともあれ無事に実験を終えた機体はまた相模原に帰ってきました。次は飛ばす実験の準備にかかります。再使用と言う名の無限地獄はなお続きます。

(稲谷芳文) 

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「あすか」事情

 X線天文衛星『あすか』は,7月15日に発生した激しい磁気嵐の影響で姿勢に大きな乱れを生じ,その後,姿勢を回復できない状態が続いています。現在,復旧に向けた努力が続けられていますが,すみやかな回復は困難な状況です。

 『あすか』は,1993年2月の打ち上げ以来,7年半にわたり順調に観測を続け,その間約950編の査読付論文や70編を越える学位論文を生み出すなど,大きな成果を上げてきました。しかし,今年7月の時点では当初530kmだった近地点高度が440kmにまで下がり,軌道寿命はあと1年程と考えられていました。
ところが,7月14日頃に巨大な太陽フレアが起こり,それに伴って非常に発達した磁気嵐が7月15日に発生しました。その結果,『あすか』軌道高度付近の大気密度が突如数倍に増加したため,空気抵抗による外乱が急増し,姿勢が保持できなくなってしまいました。『あすか』は,自動的にセーフホールドモード(安全退避モード)に移行しましたが,想定以上の空気抵抗のためセーフホールドモードが十分機能せず,姿勢が流され続け,太陽電池への日射量が大きく減少し,結果的にバッテリーが枯渇して制御不能となってしまいました。

 衛星機能を回復するためには,まず電力を確保しセーフホールドモードに復帰させる必要がありますが,過放電でバッテリーが損傷を受け,充電が技術的に困難な状況です。現在,衛星の状態を監視しつつ,電力を確保する方法を模索中ですが,すみやかな回復は困難になっています。

(堂谷忠靖) 

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