No.223 |
ISASニュース 1999.10 No.223 |
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宇宙研の施設は北は能代市から南は内之浦町まで各地にありますが,鹿児島県内之浦町にあるKSC(鹿児島宇宙空間観測所)には会計検査を始め幾度となく足を運びました。
そのたびに内之浦町に入ってから最初に目に入ってくる20mアンテナが印象的でした。昨年からは34mアンテナが加わり,2つのパラボラアンテナがならぶ姿は壮観でした。
この2年間のなかで,残念ながら科学衛星の打上げには立ち会うことが出来ませんでしたが,KSCに行くたびに1987年2月5日にM-3S II-3号機で打ち上げられた「ぎんが」を思い出していました。(皆さんご存じでしょうか,「ぎんが」の寄せ書きにじつは私のサインもあるんです。)
宇宙研にあるもので私が好きなものというと,ロケットや科学衛星は当然ですが,もうひとつ,パラボラアンテナも大好きです。
長野県臼田町にあるUDSC(臼田宇宙空間観測所)の64mアンテナやKSCの20mと34mアンテナを見るとぞくぞくします。なぜかといいますと,かつて,電波というものに興味を持つきっかけになった,小学生の悪ガキのころ,家にあった真空管のラジオを近所の友達と一緒に分解し,さて組み立てようとしたら,部品のどれがどこにあったか分からず,結局そのままにしてしまったことから始まり,遠く外国からとどく放送を聞いていた頃や,中学生でアマチュア無線というものにのめり込んでいた頃など,まさに「電波少年(?)」そのままに,現在も飽きることのない趣味の世界があるからです。
それぞれのパラボラアンテナが遠く宇宙にいる科学衛星から送られてくる電波を受信し,貴重な観測データを解析する窓口として活躍していると思うとわくわくします。
特に「さきがけ」の運用を停止させる場にも立ち会えたことも思い出深いものでした。2億km近くも離れた場所からちゃんとUDSCのパラボラアンテナに向けて微弱な電波を届け続けていることに感動し,送信停止のコマンドを送った後,数分後にその電波が途絶えたとき,14年間お疲れさまでしたという感慨深いものがありました。
私も宇宙科学の研究のお役に少しでもたてたらと思いカリフォルニア大学バークレー校で行われているセチ・アット・ホームという,プエルトリコのアレシボ電波望遠鏡で受信された電波を世界中のコンピュータで解析して宇宙人からの電波を探そう,というプロジェクトのため,自宅のパソコンを使って解析させたりもしています。
宇宙研の「宇宙科学講演と映画の会」と「宇宙科学研究所一般公開」は今年も行きました。勤務を離れてもかくれた宇宙科学応援団のつもりですので,今後も毎年この2つのイベントには必ず行って,皆勤賞(?)をねらおうと思っています。(笑)
つきることのない思い出がたくさんありますが,今後の宇宙科学研究所の世界に対するさらなる活躍を期待して筆を置きます。
(文部省情報処理室 情報システム専門官,前宇宙研主計課長 しんがい・かずのり)
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