No.202
1998.1

新年のご挨拶   ISASニュース 1998.1 No.202

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所長  西田篤弘


 あけましておめでとうございます。

 昨1997年は宇宙科学研究所にとって新たな飛躍の年でした。2月12日に行われたM-V初号機の打上げ成功は,1955年のペンシルロケット実験,1970年の「おおすみ」打上げ,1985年のM-3SIIによる「さきがけ」打上げに続くマイルストーンです。M-V初号機によって打ち上げられた第16号科学衛星MUSES-Bは「はるか」と名付けられ,工学実験を計画通りに遂行したのち宇宙電波の干渉計観測を本格的にすすめています。 M-Vの打上げ直後,Nature誌は1ページを使ってこれを紹介し,「世界初の宇宙電波望遠鏡が日本の宇宙科学研究所によって打ち上げられた。この出来事は,超長基線電波干渉計観測(VLBI)の分野で大きな国際協力プロジェクトが実現したというだけでなく,宇宙科学研究所がM-Vロケット初号機による最初の打上げに成功し,月・惑星探査の道を開いたことを意味する」と記しています。

 M-Vによる月・惑星探査の先頭をきるのが,今年夏に打ち上げる火星探査機PLANET-Bです。火星の大気は直接太陽風にさらされ,加速されて惑星間空間に流れだしています。PLANET-Bの主な目的はこの相互作用のメカニズムを明らかにすることです。すでに総合試験が進行中で,打上げのためのM-Vロケットの開発も着々と進んでいます。 宇宙科学の研究がすすみ,より高い目標をめざすようになるのに伴って,より難度の高い実験技術が必要になります。最先端の成果をめざす道は決して平坦ではありません。また,既に確立した技術についても,実験ごとにこれを確実に展開することが必要です。さまざまな開発を着実にこなし,PLANET-Bとそれに続く科学衛星計画においても国際的な期待に応える成果をあげて行きたいものです。

 一方,日本は政治的にも経済的にも転換期を迎えており,その一環として文部省と科学技術庁の合併が進められようとしています。この動きをわが国の宇宙科学の一層の発展に生かすべく,努力して行きたいと思います。所員一同ならびに全国の宇宙理工学研究者のご助言とご協力をお願いする次第です。

(にしだ・あつひろ)


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