No.201
1997.12

ISASニュース 1997.12 No.201

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折り紙三昧の日々

   小野 縁


 毎年10月頃に行われる国際宇宙航行連盟(IAF)の総会が,今年はイタリア北部ピエモンテ州トリノ市で,6日(月)〜10日(金)の間,開かれました。今回48回を数えるこの国際会議は,世界の研究者や技術者が宇宙科学・宇宙開発について論文発表などを行う大規模な会議で,毎年世界各地を持ち回りで開催されています。今年の全体テーマは“ Developing business from space ”(宇宙の商業化)で,会議と同時に“ space '97 ”と題した宇宙関連の展示も行われました。

 私の今回の仕事は,宇宙開発事業団(NASDA)と共同で,広さ150m2のジャパンブースの展示を担当するという事でした。入札で決まったイベント屋さんのアイデアで,伝統的折り紙コーナーを作ることになりました。その発案を聞いた的川先生の鶴の一声“折り紙といえばミウラ折りだ!”‥‥というわけで,今回の折り紙三昧となったのです。開催日前日は,ブースの準備でした。先発隊のイベント屋さん2人,運送会社の方,NASDAの米澤さんに,イタリア人の大工さん達も交えて,準備万端整ったと思いきや,思わぬハプニングが‥‥。NASDAで用意していた擬似インターネットのソフトを入れたMOが,現地で借りたパソコンに合わないのです。実は,まだイタリアではMOが普及しておらずFD用のものしかなかったのです。四方八方手をつくし,結局使えるようになるには2〜3日かかってしまいました。

 さてオープニング当日は,入場門での警備の物々しさにビックリしました。それもそのはず,イタリア大統領が,オープニングセレモニーに出席されたためでした。トリノ市長もたすきをかけて,同行していました。トリノ市は人口約100万人,イタリア全国の自動車生産量の約77%のシェアを持つ自動車産業の中心都市で,フィアットの工場が市の南の地域を大きく占めています。今回の会場も元フィアットの工場の跡地に建てられたものです。展示会場は4つのエリア…イタリア,ヨーロッパ,北アメリカ,アジア及びその他の国から成り,91のブースが各々工夫をこらした展示を繰り広げていましたが,中にはあっさりとパネルが並んでいるのみで,説明員もついていないブースもありました。また,事前にもらっていた予定表では,最後の2日間のみ午後10時までで,あとは6時まで展示するようになっていました。ところが,現地で配られた予定表では,毎日午前9時〜午後11時までのオープンとなっていて,皆思わず“聞いてないよ〜”と叫んでしまいました。午前中は会議参加者と学校(小・中・高)の生徒達で,午後からは一般の人,特に夕方から夜は,ファミリーで散歩がてら夕食の前あるいは後に訪れるというパターンでした。ちなみに,登録されていた学校の生徒数約3,500人,学会登録者1,500人,そのうち日本人会(日本人参加者の交流会)に参加した方は7〜80人,それらを含めた展示入場者は延べ3万5千人でした。宇宙研からは21人(林・秋葉名誉教授も含め)の参加でした。

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 宇宙研独自のリーフレットは,M-V,将来計画,最近の成果,VSOP各1,000部,ミウラ折りのカラーパンフと折り方各1万部で,NASDAが用意したパンフレットの種類と数の多さにはとても及ばず,リーフレットは最終日を待たずしてなくなってしまいました。また,PLANET-B,LUNAR-A,MUSES-C等の将来のプロジェクトに関するパンフレットを希望する人が多かったのですが,応ずる事ができず残念な思いでした。折り紙コーナーは連日盛況で,もちろんミウラ折り,はばたく鶴やピョンピョン蛙,ロケット等も実演しました。折っているそばから手がでてきて,次々に折りあがるのを待っているという状態で,人波が切れるとホッとしました。でも,折りあがって手にした時のうれしそうにキラキラ輝く瞳をみると,疲れも吹っ飛んでまた折ってしまうのでした。林先生や名取先生も応援して折って下さり,林先生の「かもめ」や「小鳥」は写実的な上にかわいいので,人気を独り占めしてしまいました。的川先生もミウラ折りをすっかりマスターされ,強力な助っ人になり,自分で折ってみようという熱心な見学者達に,一生懸命教えて下さいました。かくして,あこがれのミラノもベネチアも諦め,一度だけ午後2時30分から出発したアオスタ市ヘ行くツアーに参加しただけで,あとは展示会場に張り付き,折り紙に明け暮れたのでした。

(おの・ゆかり)


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