No.200
1997.11

初めての第三者評価   ISASニュース 1997.11 No.200

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 宇宙科学研究所は,1993年12月16日〜18日に国内外の有識者からなる「第三者評価委員会」の評価をうけた。研究所の第II期計画を策定する時期にあたって,これまでの成果を客観的に評価していただこうというのが主な動機であった。第三者による評価は既に東京大学理学部物理学教室や理化学研究所などで行われていたが,構成員が一体となってプロジェクトを推進しているという点で,宇宙科学研究所はこれらの機関と本質的に異なった性格を持っている。そこで,個人評価や研究室単位の評価ではなく,プロジェクト研究組織としての所そのものを対象とする評価をお願いすることになった。この方針に基づいて,所の沿革,性格,運営方針から始まり,主な研究成果,さらに将来計画におよぶ浩瀚なレポートを作成して10月に各委員に送付した。11月末にまず書面によって予備的な意見をいただいた上で,12月に会議を持ったのである。委員各位はいずれも重要なお仕事をお持ちになり,非常に多忙な方々ばかりであったが,全員が出席してくださった。議長は R. Lust (前ヨーロッパ宇宙機関長官,前マックスプランク研究所総裁)と近藤次郎(日本学術会議会長)の両先生で,他の委員は秋本俊一,有馬朗人,飯吉厚夫,中村桂子,西沢潤一,大沢弘之,L.A. Fisk, M.S. Longair,J.R. Maddox, V.J. Modi,J.Yang の諸先生方であった。評議員会会長の小田稔先生には世話人として準備段階から大変お世話になった。

 委員会の席上では秋葉所長ほかが所の活動について簡単な紹介を行ったのち,所内視察をはさんで活発な意見の交換があった。委員の方々は最初から好意的で,配布したレポートに対して多くの方からお誉めの言葉を戴いた。評価委員会報告の「要約」には次のように記されている。

○宇宙科学研究所第三者評価委員会(以下委員会という)は,以下のことを勧告する。
 (1) 一年に少なくとも一機の科学衛星を打ち上げる
 (2) 年間予算と人員の20%増加

○委員会は,宇宙科学研究所が過去の活動への評価をふまえて,以下のとおり宇宙科学の研究活動を継続することを期待する。
 (a) X線天文学及び宇宙プラズマの研究における理学者と工学者の連帯した協同の努力
 (b) Mシリーズ打上げシステムの高い信頼性の達成と,M−V打上げシステムの開発のための研究開発
 (c) 宇宙科学研究と大学院教育の両面における多面的達成
 (d) ハレー探査,GEOTAIL衛星,「ようこう」衛星におけるような,国際共同研究の推進
 (e) 科学衛星,工学実験衛星の打上げのための系統だった計画づくり

○委員会は,宇宙科学研究の第II期計画の構想を了承した。

○委員会は,宇宙科学研究所が近い将来,適時,第三者評価委員会を開催することを勧告する。

 このように宇宙科学研究所の特徴と成果をよく理解していただくことができたのは大きな収穫であった。また同時に,委員の一人である科学雑誌『ネイチャー』誌の編集長 Maddox 氏は極めて好意的な意見を論説に書いてくれた( Recipe for a good research laboratory, Nature, 366, 717, 1993 )。しかし,勧告していただいた「年間予算と人員の20%増」がいまだに実現しないのは残念と云わねばならない。

(西田篤弘)


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